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2018-09-28

ツール・ド・ツガル 西目屋の大秋集落 


久しぶりに予定のない休日。前日の夜は雨が降っていたが、予報を見ると午前中からは晴れそうだ。久しぶりに走れそうだ。そういえば、娘の全校遠足もあるのだった。

5時半に起きて外を見ると、雨が降っている。なんだよ、天気予報もあてにならないな。再度、予報を見ると10時頃からは晴れそうだ。娘の遠足は弘前公園までの徒歩での遠足だ。公園に向かう頃には晴れてくれるといいのだが。

リュックにしまっておいた雨用のアウターを取り出して着せる。少しぱらついていたので、傘をさして娘が登校していった。路面を見るとかなり濡れている。ロードはちょっと厳しそうだ。10時頃からは晴れるという天気予報を信じて、少しだけ寝ることにした。

……………………………………

目を覚まして携帯を見ると、11時になっていた。少しだけ寝る予定が3時間も寝ていたようだ。カーテンを開けると青空が見えた。地面は乾いていた。天気予報もまんざらではない。

私は黙々とサイクルジャージに着替えて、カメラをウェストバッグに入れた。随分と走っていなかったので、タイヤに空気を入れる。娘が遠足から2時半に帰ってくるので、もはやロングライドは無理そうだ。私はサドルに跨り目屋方面に向けて走り始めた。

この時期になると、鯵ヶ沢方面にはなんとなく気持ちが向かなくなる。海は夏がいい。十三湖方面も悪くないが、今の自分の脚力だとかなりの時間的余裕がないと難しい。秋はやはり山がいいのだが、酸ヶ湯や八甲田の紅葉を眺めながら走るとなると、あと2週間ほどだろうか。

そんなときは、目屋や岩木山がいい。とくに西目屋までの道のりは、気持ちをゆったりさせながら走りたいときには最高だ。とくに絶景があるわけでもないのだが、なんとなく気持ちが落ち着くのだ。

東目屋に入ると、刈り取り直前の田んぼと岩木山が姿を現した。岩木山の頂は雲に覆われている。

西目屋まで走るとき、往路は旧道を走る。古くからの家々や作業小屋など、趣のある風景が続く。左手に岩木川上流の流れを見ながらのんびり走る。やがて、大好きな箱庭風景が見えてきた。

高低差のある風景は、まるでドローンで見ているかのようで、山合いにありながらも遠くまで広がる目屋の田園風景は、いつの時期に見ても心に染み入る景色だ。

しばらく走ると「ビーチにしめや」に着く。「道の駅」に昇格したせいか、随分と混んでいた。ちょうどお昼時ということもあり腹も減っていたが、ジャージスタイルで混んでいるレストランに入るのは少し躊躇いがあった。

少しだけ喉を潤して、私は西目屋の役場方面に向かい、そのまま勾配の急な坂を上り始めた。9%の坂が続く。しかし以前よりは随分と走りやすい道になっている。以前まではかなり凸凹で、ところどころ急な箇所があったが、現在は道がかなり整備されている。まだ工期途中のようで、坂の上の方では盛んに工事が行われていた。

坂を上りきり、少しだけ下ると現れてくるのが「大秋」の集落である。年に何度かヒルクライムの練習で訪れる集落だったが、今年は初めてだった。西目屋そのものも、弘前からはだいぶ離れたところにあるイメージだが、そこからさらに距離というよりも、かなりの高度を乗り越えてくる「大秋」は、少し隔世された感もある集落だ。

誰もが車を走らせる昨今であるから、弘前までも30分もあれば行けるだろうが、一昔前は交通の面でもなかり大変だったのではないだろうか。集落からスカイライン方面に行ける道もあるが、そのルートもかなり険しく勾配のきつい道である。

私は集落の一番奥の方に向かって走った。右手には山。左手には黄金色の田圃が広がっている。ロードバイクのスタイルは少々異形に映るのだろうか、小屋に繋がれている犬に吠えられる。一番奥の方に神社があった。そこにバイクを停めて、広がる田圃を少しの間ぼーっと眺めていた。

(よくこんな交通の便の悪いところで暮らしているなあ。真冬は世間から隔離されてしまうのではないだろうか。食料なども何日分もまとめて買うのだろうか)..そんなことがふと頭を過る。いや、ここに住んでいる人にとっては大きなお世話だろう。

ずっと生まれた時から、この地で気持ち良く暮らしているに違いない。確かに冬場などは大変なこともあろうが、それも昔から変わらぬことであって。なまじ、街で暮らしているからこそ「大雪だ、大雨だ」と、我々は大騒ぎをしているのかもしれない。

少しの間、ぼーっとし、すぐにまたロードを走らせた。練習と考えるのであれば、さらにスカイライン方面へ激坂を上るところであるが、2時半までは間に合いそうになかった。娘はたしか今日は鍵を持って行かなかったはずだ。大秋の坂を下ろうとしたら雨が降ってきた。なんだよ、昼からは晴れの予報だったじゃん…やっぱダメだな天気予報。

私は西目屋から雨水たっぷりのバイパスを走った。前輪からの水しぶきをたっぷりと浴びながら走った。やがて弘前市内に入ると雨はすっかり止んでいた。路面も濡れていない。街では降っていなかったのか?そういえば天気予報でチェックしたのは弘前市だったっけ。

天気予報は正しかったのかもしれない。


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