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2018-10-26

ツール・ド・ツガル 八甲田山一周 / 「箒場のラーメン」はスリリング


仕事が休みになった。天気.jpをチェック。お、朝から晴れとな。なまりきっている身体に喝を入れるチャンス。

娘を学校に送り出すとすぐ準備に取り掛かる。ただ、ここしばらくは娘の部活がないので下校時間が早い。15時までには戻ろうか。だとしたら、今の自分のチカラでは山岳ロングは無理か。無理だ。

でもせっかくのこの時期だから、八甲田方面の紅葉を見ながら走ってみよう。実は先々週、八甲田方面に行ったのだ。大学の先輩が県病に入院したとの報を聞き、お見舞いに行くことにしたのだが、国道7号を往復するのもつまらないと思い、行きは城ヶ倉経由で行くことにした。もちろん車で。

ところが城ヶ倉大橋に着く頃には、紅葉はおろか中国の墨絵を見るような状況になっていた。まあ、これはこれで趣がある。自然とは人間の都合に合わせて演出してくれない、そこがまたいいのだ。正直なところ写真に関して言えば、悪天候に見舞われたときの方が、いい写真が撮れることのほうが多い。

でもツーリングも兼ねてとなると、やはり青空のもと走るほうが気持ちがいいのは確かだ。一応、X-T1をウェストバッグに入れるが、今日は身体をリセットさせるために気持ちよく走ることに重きを置こう。

ロングは無理そうなので、城ヶ倉大橋から酸ヶ湯、田代平を経由して八甲田を一周することにした。距離にすると42kmとそんなに長くはないが、上り下りを繰り返すこのルートは獲得標高が約1000mほどあり、それなりのヒルクライムを楽しむことができる。

八甲田を一周したのはいつ以来だっけ?と思い、Facebookのアルバムを見返してみた。3年前の10月だった。4年前の10月も走っていた。そのときは高原茶屋で豪雨に見舞われている。最初に一周したのは5年前の5月。たしか昼飯を食べる予定だった高原茶屋が閉まっていて、ハンガーノックを起こし、両足が攣りまくったときだ。2年前も一周しようとしたが、そのときは酸ヶ湯で雪が舞い始めて、諦めて車で蔦沼に行ったのだった。

蔦沼といえばここ数年、多くのカメラマンによる大混雑ぶりが多くのメディアで報じられている。これに関してはいろいろ賛否はあるようだが、自分自身はこの時期に、あの人混みの中で写真を撮るエネルギーはないし、まして夜明け前からスタンバイするほど時間や気持ちに余裕はない。

それにしても、こういう現象を目の当たりにする度に、写真て何なのだろう?芸術って何なのだろう?という???スパイラルに陥るのがいつものパターンなので、この話はもう少し酒が入ったときに書くことにしよう。

………………………………..

城ヶ倉大橋までワープする。朝から夜まで晴れマークだったわりに雲が多く、遠くに見えるはずの岩木山は全く見えず。車からバイクを下ろして、すぐに酸ヶ湯方面へ向かう。橋の上で自撮りをしていた観光客の会話は、ほとんどが中国語のようだった。

酸ヶ湯まではわずか数キロであるが、すぐに息が上がる。腿もすぐに張ってきた。硫黄の臭いとともに、向こうに酸ヶ湯温泉と八甲田大岳が姿を現した。まわりの木々はかなり落葉している。八甲田の紅葉を見よう、と書いたが、ネットの情報ではすでに落葉とあった。確かに中野もみじ山あたりから城ヶ倉大橋に来るまでの間が、ちょうど紅葉していたように思う。

特に今年の秋は大型の台風に見舞われ、山々の樹々はかなり早い段階で落葉したようである。また塩害もあり、黄色や紅にならずにそのまま茶に色が変わってしまった樹々も多いようだ。遠くに見える山の色も、全体にブラウニーであった。

走り始めたばかりなので、まんじゅうふかしを食べる予定はなし。酸ヶ湯温泉も地獄沼も素通りする。淡々と漕ぎ続けるとルートの最高地点の笠松峠に着いた。いつもであれば標識の前で一枚撮るところであるが、今回はここも素通り。しばらく下ると、猿倉温泉、谷地温泉があるが、温泉に浸かる予定もないので、ここも素通り。一度ゆっくりと浸かりに来たいものだ。

交差点を左に折れて数キロ走ると田代平高原が現れる。左手には八甲田山の一つ、雛岳が見える。雛とはいえ、大きく立派な山だ。そして遠くに3軒の建物が見えてきた。その中で一番青森側に建っているのが、今日の昼飯を予定している「レストハウス箒場」である。

「箒場(ほうきば)」とはこのあたり一帯の地名でもある。以前、何かのサイトで見たのだが、ここのラーメンが美味いらしい。店に入ると「焼干し風味ラーメン」というのがあったので、それを注文する。店主は写真が趣味らしく、店内には八甲田界隈の写真が飾られてあった。

トイレで用を足して、テーブルに戻るとラーメンが出来上がっていた。丁寧にラップがかけてあった。昔、鯵ヶ沢でラーメンを出前で頼むと、ラップがかかってきたがそれを思い出した。ラップを取りはずし、さっそくスープをすする。汗をかいて水分も塩分も失っていたので、身体にスープが染み込んでいった。麺をよく見ると、黒いつぶつぶがある。どうやら焼干しを練りこんであるらしい。山の中にある食堂とはいえ、ずいぶんと手の込んだラーメンだ。

お茶を飲もうと思い、最初に出されたお茶を見たら虫が入っていた。小さなカメムシだった。最初出された時は入っていなかった。飛んできたのだろうか?と思い、天井を見上げて驚いた。私の頭上には何匹ものカメムシが天井にへばりついていた。天井だけではない。店内を見渡すと至る所にカメムシはいた。
そうか、ラーメンのラップはカメムシが落ちてラーメンに入らないようにするためだったのだ。

店の人は、店内のカメムシをひとつひとつ缶カラに入れていた。日々の仕事なのだろう。私は、天井からカメムシが落ちてこないよう、なるべく奴がいないところの下でラーメンを食べた。私はお茶を取り替えてもらうために店の人に言おうかなと思ったが、やめた。この山の中でラーメンをいただくということは、こういうことなのだ。なんとなくそう思ったのだ。

「箒場」をあとにし、再びロードを走らせた。以前の記憶ではしばらくはのんびり走れるイメージだったが全く違っていた。それだけ身体が衰えているのだろう。もう少しエネルギーが欲しくなり、銅像茶屋で焼き団子を食べた。減量どころか、体重は増えているに違いない。

青森方面に下り、さらに左折すると、八甲田ロープウェイへ向かう一直線の激坂が現れる。最後の最後でのこの上り坂は心が折れそうになる。すでに腿はパンパンして攣りそうだった。体力も気力も無くなり始めていた。写真を撮ることなどまったく頭になく、景色を見ることさえ忘れていた。かなりの長い時間漕ぎ続けると、ロープウェイが見えてきた。

ようやくロープウェイ山麓駅に着いた。最後の休憩。観光客でごった返して居たが、ここも中国語が溢れていた。ほんの5分ほど休憩して城ヶ倉大橋に向かった。城ヶ倉に着くと、午前中は見えなかった岩木山が見えていた。

岩木山がもっと大きく見えるところに早く帰ろう。体力のない自分の身体がそう言っていた。


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