ツール・ド・ツガル / 晩秋の岩木山神社
ほんの1ヶ月くらい前までは、平気で半袖Tシャツで過ごしていたが、気持ちの良い秋を感じる間もなく冬が近づいている。
長年、洋服屋だったせいもあり、秋のファッションが一番好きであり、故に季節も秋が好きだった。しかしTシャツの後はいきなりフリースの世話になるような気候になっている。日本に四季はなくなり、二季になるとか。
暑いのは苦手だからとサボり続けていたロードバイク。寒くなると身体が面倒くさがる。
それに、よくツーリングしていた岩木山界隈や黒石あたりにも熊が出ているらしい。激坂を上っている途中で熊に出会ったら逃げる自信はない。
そうやって熊を理由にサボっていたら、自分の身体が熊のようになっていた。
気持ちと身体をリセットするときは、岩木山神社と決めている。
相当身体はナマりきっているが、神社までは走れるだろう。気温は15度くらいだから、ちょうど良さそうだ。ゆっくりと秋の弘前の街を抜け、あかね橋を渡った。
百沢へ向かうバイパスの坂を上る。太腿はすぐに疲れ始めた。今の自分には、このくらいの坂がちょうどよいのかもしれない。
岩木山ヒルクライムに参戦していた頃は、斜度が10%以上もの激坂を上って鍛えていたけれど、今なら1分と持たないだろう。八甲田や十和田湖へと向かうクライムツーリングは、過去のものとなりつつある。
バイパスの坂を上り切ったあたりで、岩木山が美しいシルエットを見せていた。まだ15時を過ぎたあたりだったが、ほんのりと暮れ始めている。
数日前に山頂あたりに降った雪が、わずかに白を見せている。

神社に着くと、車が数台停まっていた。カップルが鳥居の前で手を併せている。
向かいの店の自販機でレッドブルを買って、一気に飲み干した。
何年も使い続けていたグローブは、ところどころ破けていた。そういえば、ヘルメットやサイクルウェアも、随分長い間同じものを身につけていた。
安全を確保するという意味でもギアは大切だ。そろそろ新しいのを買おうか。ホントのことを言えば、サイズがきついのだ。

サドルの上にはレッドブル缶
さて、帰ったら晩飯の支度をしよう。
来たときと同じ道を走る。バイパスの坂を下りきると、汗をかいていた身体は一気に冷えた。
岩木の裏道を走り、岩木橋を渡る。工業高校の坂を上りきって、そのまま弘前公園に入る。
市民会館の駐車場はひっそりとしていた。歩き始めたばかりの小さな子どもとお母さんが散歩をしている。赤ドアの前にロードを停める。

美しいコンクリート壁に、オレンジが描く木々のシルエット。
来週、この赤いドアの向こうで、ステージに立つ予定になっている。1団体で歌い、2団体で指揮をする。
歌うのは人数もいるのでなんとかなるが、指揮はひとりである。なんとかなるだろうか。
バイパスの坂を下ってくるときに、デカい声を張り上げて歌ってきたから、なんとかなるだろう。
追手門をくぐり、濠沿いをゆっくり走る。
ママチャリの高校生たちが、話をしながら私を抜いていく。
帰ったら、晩飯の支度の前にまずはビールを飲もう。












