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2026-02-25

「アレコホール」でルネサンスを歌う 〜青森県立美術館ナイトミュージアム〜


 

青森県立美術館では、月に一度「ナイトミュージアム」というイベントが開催されている。

「夜の美術館で、ゆったりした時間を楽しんでもらう」という趣旨のもと、マーク・シャガールの作品が展示された大空間「アレコホール」が無料開放、奈良美智作品の「あおもり犬」もライトアップされ、それにあわせて様々な音楽ジャンルのコンサートも開催される。

 

 

2月21日の「ナイトミュージアム」夜の部では、2名の方のピアノ演奏、そして「合唱団Apio」のアンサンブルの演奏が予定されていた。

今冬の青森市の雪害は記録的なものだった。2月のイベントにいささかの不安はあったが、幸いにもここ数日は好天が続き、県立美術館へスムーズにアクセスできた。

それでも美術館の周りにはかなりの積雪があり、駐車場から館へと続く道は細長い回廊のようになっていた。

 

 

美術館奥に位置するスタジオで18時頃まで練習をする。

コンクールではないので、メンバーも皆リラックスした雰囲気。ただ、演奏する曲は7曲もあり、30分立ちっぱなしとなる。オッさんにはちと辛い。

それにしても県立美術館で演奏する日が来るとは、夢にも思っていなかった。しかも、あの天井の高い大空間「アレコホール」での演奏である。どのような響きを体感できるのだろうか…

 

もしかすると、個人的に他のメンバーとは異なる感情があったかもしれない。

何故なら、青森県立美術館には、弘前大学美術科時代の恩師である村上善男先生の作品が数多く収蔵されているからだ。

村上先生の月曜日朝イチの講義は必須であった。私は徹マンや二日酔いで何度か遅刻をし、その度に先生に怒鳴られ教室を退出させられた。故に、県立美術館で歌うというのは、自身にとっては懺悔のような思いがあった。

 

ホールに響いていたピアノの演奏が終わり、私たちはバレエ「アレコ」舞台背景画全4幕に囲まれた大空間の中に身を置いた。

会場には70人ほどの観客がいた。弘前で一緒に歌っている歌仲間や中学のときの友の姿があった。白崎先生もいらしていた。

 

 

1曲目、オケゲム(Johannes Ockeghem)の「Ave Maria」を歌い放った瞬間、ゾクっとする残響が身体を覆った。なんと素晴らしいホールだろうか。

 

プログラムはルネサンスのポリフォニーを7曲。忘備録として記しておこう。

・Johannes Ockeghem  「Ave Maria」
・Josquin des Prez    「Mille regretz」
・Josquin des Prez    「Nymphes des bois」
・G. P. da Palestrina   「Dies sanctificatus」
・G. P. da Palestrina   「Missa Papae Marcelli – Kyrie」
・Orlando di Lasso     「Salve regina」
・William Byrd             「Ave verum corpus」
 

ルネサンスのポリフォニーは教会で歌われる宗教曲が多いが、中にはシャンソンのような世俗曲もある。

2曲目に歌った、Josquin des Prez / ジョスカン・デ・プレの「Mille regretz」は、儚くも美しいフランス語のシャンソンである。タイトルの「Mille regretz」は「千々の悲しみ」と訳されている。

この曲は、1590年頃にローマへ派遣された「天正遣欧少年使節団」により、帰国後、豊臣秀吉の前で演奏されたとも言われている。

「regretz」には「後悔」の意味もあり、恩師への懺悔を歌う自分のためにあるような曲であった。

 

(画像をクリックするとお聴きいただけます)

 

それにしても、この曲の終わり方はなんともお洒落でカッコ良い。最も好きな曲のひとつ。

( 2分ほどの小品です。是非お聞きになってみてください  →「Mille regretz」

 

今回、私たちの演奏を記録撮影してくださったのは、県立美術館のスタッフであり、美術科構成研究室の先輩でもある現代美術作家の三浦孝治氏。

このことも、私の心を熱くさせるファクターとなった。コージ先輩、ありがとうございます。

 

演奏を終え外に出ると、美しくライトアップされた美術館の遥か上に、細長い月のカタチが静かにあった。

 


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