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2025-05-05

白神矢立 湯源郷の宿『日影温泉』


 

毎年、ゴールデンウィークになると(桜の写真撮らなきゃ…)と思う自分がいて、それがとても苦痛だった。

桜が嫌いなわけじゃないし、桜祭りにも行きたくないという訳でもない。現に、桜が咲き始めた4月19日には、少年少女合唱団のお花見があり、娘と娘の友達と一緒に園内を歩いて回った。でも公園に行ったのはその一度きり。

4月末には暴風雨が吹き荒れて、(散らないでくれ〜)と多くの人が願ったことだろう。おそらく昔の自分であればそう思ったに違いないが、今は少し違う。桜が咲くのも自然であれば、風が吹き荒れるのも自然。自然には逆らわず、身をまかす方が良い。

そんな仙人のような考え方に偏っているので、あえて桜の写真を撮るのはヤめることにした。そう決めてしまうと何故か気分もすっきり。写真は「反抗的に」が楽しい。

 

ただ、何もしないゴールデンウィークというのも少し気分が落ち込むので、ちょっとドライブでもしよう。平日とはいえ観光地は混んでるだろうから、山間の温泉に行こう。

というわけで5月1日は県境を越え、秋田は矢立峠にある『日影温泉』へ。

 

明治26年創業の知る人ぞ知る『日影温泉』だが、2014年に一度廃業をしている。その後、2017年に経営も新たに生まれ変わった。

当然この温泉のことは知っていたが、昨年まで訪れたことがなかった。

 

北東北が豪雪に見舞われた今年の1月末、初めて訪れた。

そのときの写真。

 

国道から1kmほど山の中へ入ると 看板がお出迎え

 

温泉の前には川が流れていて風情あり

 

歴史を感じる建物の雰囲気もよく、硫黄の匂いが漂う白濁した温泉が最高だった。

しばらく2〜3日もの間、身体は硫黄の匂いに包まれていた。

 

雪景色から姿を変えた新緑の5月、再び訪湯。

観光客で少しは混んでるかなと思ったが、駐車場の車は数台ほど。思いの外、ゆったりとできそうだ。

あらためて建物の中を観察すると、秋田の名木がふんだんに使われ、細部まで丁寧に造り込まれている。再建にあたり綺麗に仕上げたことが伺えるが、基本的な作りは昔のままらしい。

 

視覚的な導線デザインも美しい

 

浴場へと通ずる廊下は雰囲気が良く、レトロな図書室もある。廊下の奥の小さな階段を下ると浴場がある。

先客は二人だけだった。

 

総青森ヒバ造りの贅沢な浴槽

 

『日影温泉』は「皮膚に効く薬湯」と言われる。

源泉4ヶ所から湧き出る日景の湯はすべて源泉かけ流しだが、ここは二つの源泉の混合泉とのこと。

肌に優しいヒバ造りの浴槽に溢れる白濁した湯は熱すぎず、ゆったりと浸かることができる。

 

露天風呂

 

露天風呂も素晴らしい。この日は天気も良く、青空が気持ちよかった。

同じ泉質なのだろうが、露天の方が燻したような匂いを強く感じる。少し舐めてみると味も濃い。

 

先客の二人が先に上がり、一人になった。内湯と露天をそれぞれ3回ずつ、存分に味わった。

世の中、ゴールデンウィーク真っ只中のこの時間。誰もいない秋田の山の温泉に、ただ一人。

贅沢な時間。

 

日影温泉

 

気持ちの良い時間を過ごすことができた。紅葉の頃にまた来よう。

帰り際、記念に写真を一枚パチリ。

 

あ、桜を撮ってしまった。 

 

公式HP  ⇨  白神矢立  湯源郷の宿  『日影温泉』    秋田県大館市長走37

 


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