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2024-12-07

『 てぃんさぐぬ花 』


 

市民会館のコンクリート壁を背景に、桜の花が映える4月の弘前公園は美しい。

しかし、淡い灰色のコンクリートには11月の紅葉がより映える。そんな11月の初旬に、弘前市合唱祭が開催された。

 

昨年結成された少年少女合唱団「HIROSAKI  MELA  VOCE」は、昨年に続き今年も参加することができた。「できた」と表現したのは、ギリギリまで何人揃うかわからない状態だったからだ。

最近の子どもは、大人が思っている以上に忙しい。自分の部屋で閉じこもってスマホばかりを弄っているイメージがあるが、その分いろいろと友達との付き合いやら部活やら…たいして勉強をしているようには見えないが忙しいのだ。

各パートが2〜3名で構成されているアンサンブル。ひとり欠けると大変だ。ふたり欠けるとアウトに近い。それでも本番はなんとか7名で演奏することができた。

 

今回演奏したのは、やなせたかし作詞、木下牧子作曲の『ひばり』と、信長貴富が編曲した沖縄民謡『てぃんさぐぬ花』の2曲。

『ひばり』は、ひばりの一生を描いた詩で、最後にはひばりが死んでしまう…せつなくも美しい曲。やなせたかしの言葉はとてもわかりやすく、ひとつの絵本を読むよう。しかし詩を読むうちにいろいろと考えさせられる。

 

 

 

『てぃんさぐぬ花』は、古くから歌い継がれる沖縄民謡で、信長貴富が編曲した三部合唱曲。

「てぃんさぐ」はホウセンカのことで、昔から沖縄では「ホウセンカの赤い汁を爪に塗って染めると悪霊除けの効果がある」と信じられていたそうだ。

歌詞の内容は、親や年長者の教えに従うことの大切さを説いていて、親が子を想う歌となっている。

 

この『てぃんさぐぬ花』は、私自身にとっても思い入れのある曲だった。

娘が6年生のとき、和徳小学校の合唱部ではこの曲をコンクールの県大会で演奏することに決め、夏休み返上で毎日のように練習していた。

しかし小学生が歌うには難しすぎたため、最終的に断念することになり(そのときは入部したばかりの低学年が半数以上だった)、別の曲を演奏することになった。

顧問のH先生は、ちょうどその年度で定年退職ということもあり、少し残念なお気持ちもあったに違いない。

 

 

 

今回の歌うメンバーには、その5年前のときの子どもたちが4人いた。娘も入っていた。

親が指導している団では歌う気にはならなかったらしく、昨年はメンバーに入っていなかった娘だが、今回はこの曲を歌うということもあり加わってくれた。

 

本番のステージ。子どもたちは、少ない人数ながらも素晴らしい演奏をしてくれた。

昨年までは「子どもの声って癒されるよね」という評をいただくことが多かったが、今年は「素晴らしかったよ!」とおっしゃってくださる方もいた。

後日、H先生からもメッセージがあった。ご夫婦でお聴きくださったらしく、お褒めの言葉をいただいた。とくに『てぃんさぐぬ花』に感動した…ということが書かれてあった。

(いつか子どもたちと一緒に演奏してみたいな)という想いが、少しだけ叶ったような気がした。

 

この度、2曲まとめて動画にしました。イラストレーションは、以前も描いてくださった熊本在住の友人「おおたにまさえ」さんの画です。

素敵なイラストとともに、子どもたちの声をお聴きください。(イヤホン推奨です)

 

 


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