『第二回 APC写真展』
2月8日〜11日、百石町展示館にて『第二回 APC写真展』が開催された。
「APC」は「AOMORI Photo & Video Club」の略で、弘前を中心に県内外の写真愛好家によって構成されているグループ。写真仲間の小田桐啓太さんが中心となり運営されている。
「第一回」は、以前、西目屋村の白神館にて、白神山地の写真展と並行して開催された小規模な写真展だった。弘前の街で開催されるのは今回が初となる。
グループには100名以上のメンバーが籍を置いているが、今回の写真展に参加したのは24名。
幅1.8mほどのスペースに各自が好きなように展示するというもので、厳格なルールは無し。

代表の小田桐さんの作品は、娘さんと奥様の幸せ溢れる写真。ちなみに奥様は、私が骨折したときのリハビリを担当。お世話になりました。

今回、会場を仕切ってくださった重鎮町田さんの作品。解像感が素晴らしい。
私は3点の作品を出展した。
モノクロームの地味な写真。モノクロだが被写体は桜である。桜を選ぶのは自分としては珍しい。
桜を選んではいるが、桜の美しさを表すというよりは、被写体の持つ色味をモノクロに変換したらどのように映るのだろうか、光の加減はどのように映るのだろうか…
そんな自分の好奇が主題となっている。

中央が出展の3作品。右は八戸の成田Kさん。左はエロチカの作品。
いざ展示してみると反省が先に立つ。
好奇を表すというのは、裏を返すとそれはマスターベーションに偏っており、わかりにくい作品となっていた。
作品展は鑑賞者がクライアントではないので、観る人に媚びる必要はない…が、首を傾げながら素通りされると、つい説明したくなるのはアマチュアのサガである。
ステージの上から放たれた音楽は、演者の手を離れ聴く者のモノとなる。
会場に展示された作品は、製作者の手を離れ観る者のモノとなる。
自らがどれだけ愛着を持っていても、その良し悪しを判断するのは鑑賞者に委ねられる。
故に、説明文は添えないようにしている。しかし、来場した知人が首を傾げながら観ていると、つい説明したくなるのは、やはりアマチュアのサガである。
写真展も無事に終わったので記録として残しておくことにする。
作品は3点だが、タイトルはひとつ。
「弘前市民会館管理棟の桜」
弘前市民会館は、弘前市内に点在する前川建築の中でも最も知られた建築であり、大ホールを有するホール棟と管理室や喫茶室のある管理棟で構成されている。
世界に誇れる建築であり、年に数回この大ホールで歌う機会がある自分にとっても愛着のある建築である。
ホール棟と対をなす管理棟は小規模ではあるが、無機質な素材の中にもリズム感のある階段、佐野ぬいのステンドグラスが洒脱な佇まいを魅せる。
2年前の春。管理棟のまわりを歩いた。
春には多くの観光客が来弘するが、管理棟の裏手を歩く人は誰もいない。
わずかに散り始めた桜が、賑やかな公園内にある桜とは違う表情を見せていた。
管理棟入口の横にある外水栓に溜まっていた水に映る桜と管理棟。
水面に映る画がゆらゆらしている。わかりにくい写真。
4月も末というのに、仕舞われぬ雪かき道具は津軽の所以。
光と陰。わかりやすい写真。
左上にボケて写っているのは満開の桜。
中央に写っているのは桜ではなく桜の木からこぼれる木漏れ日(つまりコンクリートの日陰部分が桜である)。
そして窓ガラスに写り込む桜。
と3種の桜を表現したが、これまたわかりにくい写真。
説明を添えると幾分わかりやすくなるが、持ち味が半減するのもアートや音楽である。
いや、そもそもわかりやすいか否かを語ること自体がナンセンスだと気づいた。
が、こうして記録に残そうとするのは、永遠にアマチュアのサガである。
これでいいのだ。
*この度、写真展にご来場いただいた皆様には、この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。
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