2025 東北旅紀行 〜山形のラーメン〜 ふられ続けて辿り着いた「麺家 林商店」
秋田湯沢の山間の温泉で身体が温まった後は、県境を越え山形市へ。
新庄、尾花沢、東根と国道13号を南下する。この辺りは、スイカやさくらんぼが有名だ。東根に至っては、JRの駅名が「さくらんぼ東根」という宣伝ぶり。
しかも東根の街のど真ん中には「山形空港」があり、国道のすぐ脇をジャンボ機が飛んで行くという、驚きの光景を目にすることができる。
山形市内に入った頃は、車のヘッドライトが続く時間になっていた。
ホテル提携の駐車場に車を入れると、翌朝まで出られないらしいので、夕飯を済ませてからチェックインすることにした。
夕飯とは書いたが、もちろんラーメンである。昨年の東北一周同様、各都市のラーメン屋は事前にチェック済み。ラーメン屋は昼営業が多いので、夜でも食える店を調べておいた。
山形駅から少し南にある「ほんわか」という店。食べログには19時半までの営業と書いてある。まだ大丈夫だ。
住宅街をぐるぐる回り、「ほんわか」の前に着いた。店内の明かりが漏れていない。車の窓を開け、ドアの張り紙を見た。
「本日はお昼のみの営業となります」
まあ、よくあることだ。自分あるあるだ。いつものことだ。
気を取り直して、候補の2軒目へと向かう。山形のラーメンランキングでは上位の常連「麺辰」さん。
名前がいかにも老舗な感じ。営業時間は21時までとなっている。全然余裕。
少し郊外に位置するが、15分ほど走るとすんなりと着いた。店の明かりはついていたが、店の前を通り過ぎてしまったので、コンビニで切り返して戻る。
そして店の前に戻ると、看板の灯りが消えた。「???」と思い、張り紙を見ると
「スープ品切れにつき終了」
21時まで営業の店が、19時過ぎに閉店とは。こんなことがあっていいのだろうか。
2軒続けて振られるのは、ごくたまにはある。が、ここ山形となると店も知らないし、時間も20時になろうとしている。焦る。
急いで、コンビニの駐車場で検索する。20時でも営業しているとなると、かなり限られる。飲み屋街にはあるかもしれないが、できれば車で行けるところが良い。
一軒の店が目に留まった。ここから5分ほどで行けそうだ。迷わず決めた。迷わず行けよ!
確かに5分ほどで着いたが、駐車場が満車だった。しかし満車ということは営業中の証である。
すぐ近所で車を廻し、戻ってくるとタイミングよく一台の車が出た。すかさずそこに車を入れる。
急いで車を降り、入り口を確認する。よし営業中だ。
迷わず決めたのには、もうひとつ理由があった。「麺家 林商店」という店の名である。
アンサンブルコンテストのステージで、私のすぐ隣で歌う名テノールが林君だった。なんとなく験を担いだ。(ゲン担ぎの漢字がこの字だと初めて知った)
カウンターに座る。背脂入りの「にぼしW中華」と背脂無しの「にぼしシングル中華」がある。
最近は背脂をトッピングすることはない。年齢的に厳しい。素直にシングルで注文する。
店内はとても綺麗で、奥の方には座敷もあり、ほぼ満席に近い状態。人気店なのだろう。
私の右隣に男性客はつけ麺の大盛を食べていた。左隣の女性客は、なんと汁なし油そばの大盛を食べていた。凄い。
そういえば、山形市は「ラーメン消費量日本一のまち」らしい。ラーメンといえば、福岡や札幌、喜多方や我ら津軽の煮干しが有名だと思っていたが、消費という点では山形が日本一なのだ。
消費が一番というだけあってラーメン屋のバリエは多いが、山形らしいラーメンというのは「煮干しと鶏出汁ブレンドの醤油ラーメン」のようだ。また、元祖と言われる「冷やしラーメン」が有名だ。
ラーメンが運ばれてきた。煮卵トッピングの太麺バージョン。うっすらと張るのは鶏の脂だろうか。
スープを一口。おお、こってりしてそうだが、身体にじゅわっと染み入る。美味い。津軽の煮干しほどの濃さはなく上品な味。
モチモチとした太麺は食べ応えがある。チャーシューや煮卵、メンマの味、バランスも良し。
なによりも、2軒振られた後のラーメンは美味しいのであった。
3月20日(木) 東北旅紀行一日目 その3
まだ一日目。まだまだ続く。