弘前のラーメン・番外編 / 「ラーメン やまや」(田舎館)
「最近、弘前のラーメンのこと書いてないなあ」と思って、遡ってみたら3月から書いていなかった。
骨折、そして何よりもコロナウィルスの影響もあって、外食を控えていた期間があったのは事実だ。しかし、ラーメンを食べていなかったわけではない。
前回は、八戸のラーメンを3連チャンで紹介したけれど、弘前で食べるのはなんとなく決まったところが多いのが事実なのだ。
(べつに、弘前のラーメンを紹介することに燃えているわけでもないしなあ…)
でも、いつか書こうかなと思いつつ、スマホに保存されているラーメンの画像も知らぬ間に貯まっていて、写ってるラーメンも心なしか伸びている気がする。
というわけで、久しぶりに「弘前のラーメン」のご紹介…いや、久しぶりだけれども、正確には弘前ではなく田舎館村なのである。
弘前近郊には、「三忠」とか「山忠」とか「〈山忠〉やまや」とか、似たような名の食堂やラーメン屋が何軒かあって、ちょっとややこしく思う人もいるかもしれない。
百年食堂で有名な「三忠食堂」と、市内に3店舗ある「山忠」は別だけれども、黒石の駅前にある「〈山忠〉やまや」と「山忠」には繋がりがあるらしい。
そして、その弘前の「山忠」と黒石の「〈山忠〉やまや」の総本山に当たると言われているのが、田舎館村にある「ラーメン やまや」です。
場所は田舎館村前田屋敷の県道110号線沿い。
ローソンのある交差点から赤い看板が見える。周りには、これまた真っ赤に実った林檎の畑が広がっている。
店内に入ると「いらっしゃませ〜」と元気のいい若者の声。どうやら店主のお孫さんのようだ。(黒石やまやの息子さんだとか)
店内座席はカウンターとテーブルが二つ、小上がりのテーブルが二つ。
「何を食べようか?」などと迷う必要は一切ナシ。何をトッピングしようかなどと迷う必要も一切ナシ。
なぜならば、メニューは「ラーメン 500円」一択だからである。チャーシューメンもナシ、味玉もナシ、それどころか大盛りもナシ!である。
今のこの時代にあって、なんと潔いことか。
どんなビジネスでも「ユーザーの立場に立って、いろいろなサービスを提供し続けなければ生き残っていけぬ現代」にあって、このやり方はなんとも潔く、商売の本当の大切さを説いてくれているような気がしてならない。
などと、小難しいことを考えていたら、ラーメンがきた。
スープを一口。
津軽の老舗ならではの、あっさりした津軽中華をイメージしがちだが、わりと濃いめの煮干しが効いた醤油味。
麺も同様。津軽中華によくある細いちぢれ麺ではなく、少しゆるい縮れの中細麺で、ツルツル感のある自家製麺。
具はやや多めのメンマとネギ。そして小さめのロースチャーシューが4枚とシンプルな構成。
他にはないスペシャルな味!というほどでもないが、どこにでもありそうなシンプルな津軽中華…というのでもない。
めちゃ中毒性があるぞ〜ってわけでもないが、なんかまた食べたくなるような…
そんなラーメンです。
というわけで、完汁するのも何故か後ろめたさのないスープ。
ちょうど客が私一人になったので、店主のおじさん(といっても80代かな)に聞いてみた。
「おじさん、昔、和徳でお店やってましたよね。私、すぐ近くに住んでるんですよ」「あ〜、んだのが〜」
「暖簾が出てればやってますよの合図で、なかなか食べれないお店でしたよ」「ははは、んだべの〜」
「なんで、看板出してなかったんですか?わざとですか?」
「なもなも、昔、でっけ〜ダンプぶつかってきて、看板壊れで、ダンプそのまま逃げでまって。ジェンコ(お金)かがるはんで、そのまま看板ナシにしたんだおん」
私が和徳に住み始めた頃、まだ、おじさんがやってた「ラーメン やまや」は、和徳大通りにあった。
看板もなく(上で書いてることが理由だったとは知らなかった)、暖簾が出てればラッキー。10時半くらいに開けて、でも昼過ぎには閉めてしまう…伝説の店とも言われていた。
2回ほど、おジャマしたことがあったが、知らぬうちにお店はなくなっていて、建物そのものもなくなっていた。
でも、今はまた、お孫さんと一緒に田舎館でラーメン屋を始めて、なんか幸せそうである。
帰り際、おじさんが言った。
「田舎館の方さ用事で来ることあったら、まだ寄ってけへの〜」
「用事なんかなくても、まだ来ますよ!」
ラーメン やまや
田舎館村前田屋敷字東中野2-7
営業時間:11時~17時(品切れ次第終了) 定休日:月曜日
コメントを残す