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2024-05-15

東北一周旅紀行 その13 〜悠々の杜温泉「アイアイひらた」〜


 

「土門拳記念館」を出ると酒田の街は夕暮れに染まり始めていた。

最上川からほど近いところにあるホテルにチェックインをする。酒田での晩飯は決めていなかった。

ホテルのベッドで少し休みながら、酒田のグルメを検索してみると、なんと酒田もラーメンが有名なのだそうだ。

しかし昼に鶴岡で食べたし、二日前に、仙台&福島で日に2度ラーメンを食べるという暴挙をしたばかりだ。さすがに今夜は控えよう。

 

晩飯は適当に済ませることにして、私は再び車に乗り込み、夕暮れの酒田を走り出した。

最上川を越える。河口に位置する酒田市を流れる山形最大の河川は、悠々としていた。

そういえば大学時代、全日本合唱コンクールの東北大会に参加すると、審査発表の前に山形大学の男声が「最上川舟唄」をよく歌っていたっけ。

 

東に向かって走り続けると、やがて小高い山のシルエットが見えてきた。

この丘の上に温泉があるらしいのだ。ネットで検索済だった。カーナビにその住所を打ち込み、ナビの通りに山道を上っていく。

しかし何か変だ。道が狭すぎるのだ。温泉を知らせる案内板も見当たらない。道は急坂になり、車一台がようやく通れるくらいの道幅になった。

これはどう考えてもおかしい。しかし、カーナビはこの道を示している。私は諦めて、ゆっくりとバックしながら道を下った。

 

車を停めて、スマホでグーグルマップをみると別の道があった。

すでに空は暗いし、周りも家並みが少なく暗い。やや不安な気持ちになりながら走ると、交差点に温泉の案内板が見えた。

右折し、山道を上っていく。先ほどの道とは比べものにならないくらい普通に広い道だ。なんなのだあのナビは。

九十九折の道をしばらく走る。一番高いあたりに着くと、そこは少しひらけていて温泉施設らしき建物があった。

 

悠々の杜温泉「アイアイひらた」

 

建物はとてもきれいな雰囲気

 

鄙びた温泉というよりは、山の上にあるリゾート温泉といった趣で、大鰐のあじゃら山に似てる気がする。中に入ると思いのほか混んでいた。けっこう地元では人気があるのかもしれない。

それにしても丘の上とはいえ、山奥というわけでもないこの場所で、天然温泉ということはかなり深いところまで掘ったのだろうか。少し疑問に思い公式HPを見てみた。

 

〜 日本列島が大陸から離れ日本海ができ、現在の島の形になったと言われる。約1千万年前、日本列島の背骨にあたる中央部が海から隆起、その時期の地殻変動によって地層が褶曲し、海底に堆積した泥や砂の層に当時の海水が閉じ込められた。「アイアイひらた」の源泉の塩分濃度は海水に近いが、それは海から浸透したものでなく、その時の地殻変動で、この地層に閉じ込められた当時の海水が地下に溜まったと推定されている。そして今、約1千万年前の時を経て、地下1,271mからくみ上げられ、私たちの身体を包み込んでることにロマンを感じずにはいられない 〜 (公式HPより)

 

浴場も混んでいた。湯船はやや変わった形をしていて、大きなガラス越しに外の風景が見える…が、すでに暗くなっていてよく見えない。いくつもの椅子が置かれていて、座りながら寛いでいる人が何人もいた。

外に露天風呂がある。多角形の形をしている。

温度はちょうど良かった。少しだけ舐めてみるとほんのりとしょっぱい。泉質は「ナトリウム塩化物温泉」と書かれてあった。

 

露天風呂(公式HPより)

 

外気はやや冷たかったが、露天に浸かりながらひんやりした空気を吸い込むのは好きだ。

そしてなんといっても、露天から眺める酒田の夜景が美しい。昼間であれば、豊かな庄内平野を望むことができよう。泉質もさることながら、この眺望を味わうために来る人も多いのだろう。

私は、約1千万年を経た湯に身をうずめ、しばし悠久の時間の中にいた…(嘘くせ!)

 

悠々の杜温泉「あいあいヒラタ」(公式HP → 「あいあいヒラタ」

山形県酒田市山楯字南山32-4

 

さあ、明日は秋田を経由して、ようやく弘前に帰れる。

書き始めて1ヶ月半が経った。長い旅だ。

 

 


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