ツール・ド・ツガル / 大鰐温泉 〜『青柳会館』の熱い湯でぬぐだまル〜
碇ヶ関「三笠食堂」のカツカレーで腹を満たした後は、いざ温泉へ。
碇ヶ関で昼飯を食ったのであれば、碇ヶ関の温泉に浸かりたいところだが、風呂道具は大鰐に停めた車の中。国道7号を大鰐方面に向かって走った。
20分ほど走ると、Y字路が見えてくる。その左側を走っていくと、大鰐の街に入る。
そのまま街中を走ると、お洒落な土蔵が見えてきた。蔵の前に「高久」と見覚えのある名が入った車が停まっていた。私はロードを店先に停め、蔵の中に入った。
蔵=「WANY」の中には、店主のNさんと、「高久」の店主Tさんがいた。二人ともジャージ姿の私を見て驚いた様子だった。
「WANY」は老舗の温泉旅館「ヤマニ仙遊館」の一角にある土蔵を改造した小さなレストランだ。
亡くなった妻が、昨年の春頃、ここでアルバイトをしていた。店主のNさんには、随分とお世話になった。
Tさんは大鰐町内で商店を営む方で、とても人間的に熱い人間である。大鰐温泉の育ちだからだろうか。
お二人は、なにやら議論をしていた。やはり議論も熱そうだった。
これからの大鰐の街を、どうやったら盛り上げていけるのだろうか。そんな熱い議論を交わしていた。決してTさんは、「WANY」で仕事をサボっていたのではない。
温泉の街、リゾートの街、スキーの街として、かつては賑わっていた大鰐温泉だが、温泉を営む公衆浴場や旅館は年々減少し、街の商店も減りつつある。
そんな大鰐の街を、どのようにして復活させていこうか。二人は、そんな熱い議論を交わしていた。
とくにTさんは、大鰐に残る数少ない公衆浴場を管理する立場にもあり、日々風呂掃除も担当しているらしく、その分、強い思いがあるようだ。
ジャージ姿の私は、二人の熱い議論に引き込まれ、いつの間にか意見を言い出していた。
Tさんが管理(掃除)する二つの浴場は、温泉そのもの・建物・立地など、存続できる財産を持つ温泉だ。
中でも、雰囲気の良い川沿いにあるという立地は、他にはない資源だと思う。かねてから、この川を眺めながらの露天があればイイのになあ…と思っている。
まあ、そんな勝手な意見が言えるのは、外部の人間だからだろう。
それでもTさんは、そんな外からの意見を聞けるのは嬉しいと言ってくれた。
また機会があれば、熱い議論に参加してみたいな。
「WANY」を後にして、私はその川沿いを眺めることができる橋の上に行ってみた。やはり、いい風景だと思う。
後から車でやってきたTさんが、窓越しに話しかけた。
「川沿いって、やっぱりイイですね」
私は車に戻り、本日目的の温泉に向かった。
「若松会館」同様、Tさんが管理(掃除)している「青柳会館」。
古くから地元の方に親しまれている老舗の公衆浴場だ。道を挟んで目の前には平川が流れている。
料金を払って中に入る。それにしても大鰐の公衆浴場の入浴料は安すぎる。
中には地元のオッちゃんが二人ほど。
古い浴場ではあるが、中はとてもキレイで清潔感がある。
浴槽は真ん中にひとつだけ。ほぼ無色で透明。
さっそく、足を入れてみる。
ア、アヂーーーーーーーーーーー!
源泉がドボドボ流れ込んでいる管の上に、水がドボドボ流れているホースが乗っかっていた。
私はすかさずホースのところに避難した。が、同じ場所で源泉も流れ込んでいるから、熱いやら冷たいやら…いや、熱い。
そういえば「若松会館」も熱かった。「WANY」のNさんに言わせると「それが大鰐の温泉なんだ」らしい。
が、大鰐の外から来る人間にしてみたら、もうひとつ温めの浴槽があれば嬉しいところだ。
美しく流れる川を眺めながら、ゆったりと浸かれる露天風呂であれば、なお嬉しいところだ。
きっと、町外から訪れるリピーターが増えることだろう。
そんな軟弱な思いを抱きながら、熱い湯で身体を赤く火照らせるオッさんは、
平然とゆったりと浸かる地元のオッさんを尻目に、早々と脱出するのであった。
「公衆浴場 青柳会館」
青森県南津軽郡大鰐町大鰐湯野川原27−2
*アッつけど、イイ湯っこなので是非!
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