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2022-11-02

ツール・ド・ツガル / 大鰐温泉 〜『青柳会館』の熱い湯でぬぐだまル〜


 

碇ヶ関「三笠食堂」のカツカレーで腹を満たした後は、いざ温泉へ。

碇ヶ関で昼飯を食ったのであれば、碇ヶ関の温泉に浸かりたいところだが、風呂道具は大鰐に停めた車の中。国道7号を大鰐方面に向かって走った。

 

20分ほど走ると、Y字路が見えてくる。その左側を走っていくと、大鰐の街に入る。

そのまま街中を走ると、お洒落な土蔵が見えてきた。蔵の前に「高久」と見覚えのある名が入った車が停まっていた。私はロードを店先に停め、蔵の中に入った。

蔵=「WANY」の中には、店主のNさんと、「高久」の店主Tさんがいた。二人ともジャージ姿の私を見て驚いた様子だった。

 

「WANY」は老舗の温泉旅館「ヤマニ仙遊館」の一角にある土蔵を改造した小さなレストランだ。

亡くなった妻が、昨年の春頃、ここでアルバイトをしていた。店主のNさんには、随分とお世話になった。

Tさんは大鰐町内で商店を営む方で、とても人間的に熱い人間である。大鰐温泉の育ちだからだろうか。

お二人は、なにやら議論をしていた。やはり議論も熱そうだった。

 

これからの大鰐の街を、どうやったら盛り上げていけるのだろうか。そんな熱い議論を交わしていた。決してTさんは、「WANY」で仕事をサボっていたのではない。

温泉の街、リゾートの街、スキーの街として、かつては賑わっていた大鰐温泉だが、温泉を営む公衆浴場や旅館は年々減少し、街の商店も減りつつある。

そんな大鰐の街を、どのようにして復活させていこうか。二人は、そんな熱い議論を交わしていた。

とくにTさんは、大鰐に残る数少ない公衆浴場を管理する立場にもあり、日々風呂掃除も担当しているらしく、その分、強い思いがあるようだ。

 

ジャージ姿の私は、二人の熱い議論に引き込まれ、いつの間にか意見を言い出していた。

Tさんが管理(掃除)する二つの浴場は、温泉そのもの・建物・立地など、存続できる財産を持つ温泉だ。

中でも、雰囲気の良い川沿いにあるという立地は、他にはない資源だと思う。かねてから、この川を眺めながらの露天があればイイのになあ…と思っている。

 

まあ、そんな勝手な意見が言えるのは、外部の人間だからだろう。

それでもTさんは、そんな外からの意見を聞けるのは嬉しいと言ってくれた。

また機会があれば、熱い議論に参加してみたいな。

 

「WANY」を後にして、私はその川沿いを眺めることができる橋の上に行ってみた。やはり、いい風景だと思う。

後から車でやってきたTさんが、窓越しに話しかけた。

「川沿いって、やっぱりイイですね」

 

私は車に戻り、本日目的の温泉に向かった。

 

 

「若松会館」同様、Tさんが管理(掃除)している「青柳会館」。

古くから地元の方に親しまれている老舗の公衆浴場だ。道を挟んで目の前には平川が流れている。

料金を払って中に入る。それにしても大鰐の公衆浴場の入浴料は安すぎる。

 

中には地元のオッちゃんが二人ほど。

古い浴場ではあるが、中はとてもキレイで清潔感がある。

浴槽は真ん中にひとつだけ。ほぼ無色で透明。

さっそく、足を入れてみる。

 

 

ア、アヂーーーーーーーーーーー!

 

源泉がドボドボ流れ込んでいる管の上に、水がドボドボ流れているホースが乗っかっていた。

私はすかさずホースのところに避難した。が、同じ場所で源泉も流れ込んでいるから、熱いやら冷たいやら…いや、熱い。

そういえば「若松会館」も熱かった。「WANY」のNさんに言わせると「それが大鰐の温泉なんだ」らしい。

が、大鰐の外から来る人間にしてみたら、もうひとつ温めの浴槽があれば嬉しいところだ。

美しく流れる川を眺めながら、ゆったりと浸かれる露天風呂であれば、なお嬉しいところだ。

きっと、町外から訪れるリピーターが増えることだろう。

 

そんな軟弱な思いを抱きながら、熱い湯で身体を赤く火照らせるオッさんは、

平然とゆったりと浸かる地元のオッさんを尻目に、早々と脱出するのであった。

 

 

「公衆浴場 青柳会館」

青森県南津軽郡大鰐町大鰐湯野川原27−2

*アッつけど、イイ湯っこなので是非!

 

 


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