東北一周旅紀行 その4 〜道の駅とうわ「花巻 東和温泉」〜
「萬鉄五郎記念美術館」を後にし、上ってきた細い道を下る。
再び小さな商店街に入ると雪が舞っていた。
歩く人は誰もいず、万国旗が少し寂しげにたなびいている。
地方に古くからある街の商店街は、どこも同じような光景だ。
それでも国道283号沿いに出ると街は綺麗に整備されている。道の駅の案内板が目に入った。
国道を渡ると、すぐ目の前に「道の駅とうわ」があった。
私はそこで少し休憩をし、今晩宿泊する予定の仙台までの道のりを思案することににした。
仙台までは160kmほど。高速を使わずに国道4号をひたすら南下する。途中、休み休み走れば19時頃には着くだろう。
睡眠不足が少々不安だった。
弘前仙台間のちょうど中間地点まで来たが、今のところは大丈夫そうだ。しかし昨晩はほとんど眠れていなかった。
ふと目の前を見ると、お城のような建物があった。
あまりセンスの良さそうな外観ではなかったが、よく見ると「温泉」の文字が目に入った。
(この建物、温泉なのか…)
音楽とアート、ラーメンと温泉をテーマにした東北一周車旅だったが、この地での温泉は全く予定になかった。しかし、迷いが生じる。
(温泉に浸かってシャキッとするか? いや、温泉に浸かったらメチャ眠くなるんじゃね?)
他人に迷惑がかかるのでなければ、迷った時は行動すべし。
そんな座右の銘があるわけではないが、歳を重ね時間も有限と感じるようになってからは、やれることはやっておく。
そう思うようにしている。今後訪れることがないかもしれぬ土地であれば、なおさらだ。
「霊湯」という言葉はちょっとズルい。浸かってみたくなるというものだ。
ただ中に入ってみると「霊湯」というよりは、スーパー銭湯的な賑やかな雰囲気。道の駅内にあるせいか、観光で立ち寄ったと思われる客が多い。
受付で料金を支払う。大人700円。少し高めだが、観光地の温泉としてはこんなものだろうか。
浴場に入ると湯船は二つあった。
外にも露天があるらしいのだが、残念ながら4月までは閉鎖中とのこと。
浅めの湯船は温めで寝湯ができる。熱いのが苦手な自分はこちらでしばらく寝ながら浸かる。
炭酸ガスを溶け込ませた炭酸泉らしく、泡が身体を包んでくれる。
明日の秋保温泉から温泉はスタートする予定だった。
でもこうした思いがけない予定変更が、高速を使わないのんびり旅の良いところだ。
最近の温泉はスマホ撮影禁止が多いので、画像はHPから借用。
少し身体が温まったところで、大きい方の湯船に浸かる。温度は少々高め。
源泉100%の掛け流しの単純温泉(弱アルカリ性高温泉)で、刺激は少なめだ。少しだけギシギシとした湯感がある。
運転で凝り固まった肩や腰をほぐしながら、ひたすら湯に浸かる。
湯上がりは、シャキッとするか眠くなるかはちょっとした賭けだが、どうにかなるだろう。
ただ不安がひとつあった。
温泉に立ち寄ったことで、行く予定だった仙台の「牛タン」専門店が閉まってしまうかもしれない。
まあ、これもどうにかなるだろう。
外に出ると、空は暗くなり始めていた。
「牛タン」目指して、いざ出発!
「花巻 東和温泉」公式HP →
岩手県花巻市東和町安俵6-135
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