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2024-03-27

東北一周旅紀行 その2 〜花巻のラーメン「麺屋わかな」でたまげル〜


 

福島市で行われるアンサンブルコンテストの全国大会。

これが今旅の最大の目的であることに違いはないが、交通手段を新幹線ではなく車にしたのには理由があった。

「美術館巡り」をするという目的があったからだ。花巻市にある「萬鉄五郎記念美術館」もそのひとつだった。

 

盛岡を過ぎ、4号線を南下すると空の向こうに飛行機が見えた。空港があるのだ。

花巻空港は地方にしては珍しく街に隣接していて、しかも国道沿いにある。見たことのない風景だった。

着陸した飛行機とすれ違うようにして、車は花巻の市内に入った。

 

「萬鉄五郎記念美術館」は花巻市の郊外、というよりもほとんど隣町にあるので、先に花巻市内で昼飯を済ませることにした。

昼飯は、当然ながら事前に調査済みであり、当然ながらご当地のラーメンに決定済み。

その店は、花巻駅からほど近いところにあった。ただ入口は道路に面してなく、脇道を入った裏の駐車場に小さな入り口があった。

 

「麺屋わかな」

 

「魚とんそば」というラーメンが美味いという口コミがあった。ネーミングにも少し惹かれる。

食べ物に関する情報サイトが信頼できるかどうか?というのは多くの人が思うところだろう。

確かに自分の住むエリアの店を検索したときに「え?この店がランキング1位なの?」ってことはよくある話だ。

多くのサイトが情報操作されたり、口コミもやらせだったりという話を聞くこともある。

でもまあ、そんなのも含めてのネット社会であり、そのくらいの振れ幅も楽しむくらいの方が良い。

ただ知らぬ街を訪れたときは、情報サイトに頼らざるを得ない。あとは自分の勘次第。

 

店の中に入ると客は4人ほど。券売機で「魚とんそば」のボタンを押す。

カウンター席に座る。店主は妙に雰囲気があって文学者のようにも見える。

あらためてスマホで検索してみると「魚とんそば」は、結構とろみがあるらしい。青森でもよくある「ドロ煮干し」みたいなラーメンだろうか。

 

「魚とんそばです」

目の前に出されたラーメンを見て、私は目を疑った。

 

魚とんそば

 

「な…なんだ?このスープは?」

レンゲでスープを掬おうとするが、レンゲの中にスープが入ってこない。

中華料理店にあんかけラーメンというのがよくあるけど、似てるようでまるで違う。ドロ煮干しとも全く違う。

あんかけがラーメンの上に乗っているのではなく、強烈に粘度の高いスープが丼の底まであるのだ。

 

麺を持ち上げようとすると、麺がスープと一体となって全然持ち上がってこない。

もしかして、特別な食べ方があるのだろうか。独自のルールがあるのだろうか。

少し焦って周りを見回したが、おそらくは同じメニューを頼んだであろう他の客は普通に食べている。そうか、普通に食べていいんだ。

私は落ち着いて、レンゲにスープがゆっくりと入ってくるのを待ち、そしてそれを飲んだ。

「お…」 見た目と違い、味はそんなに濃くはない。

飲みやすいとは言えないドロっぷりではあるが、青森のドロ煮干しに比べれはやや上品なお味。

麺は太麺で、勿論しっかりとスープが絡んでくる。絡むなと言っても絡んでくる。

そして、決してスープに浸ることのないチャーシューはデフォルトでも結構な量があり、なかなか美味い。

津軽の中華そばのように「ズズズーッ」と啜りながら食べる感じではない。

私は、ゆっくりと麺にスープを絡ませながら食べた。少々食べにくいこのラーメンを時間をかけてじっくりと味わった。

 

一軒目からなかなかインパクトのある強者に遭遇したが、味以上に食したことのない食感とビジュアルに満足。

東北ラーメンの旅は、まずは順調な出だしということにしよう。

ドロっとしたスープを完飲したあとは、いざ「萬鉄五郎記念美術館」へ!

 

 

 


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