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2019-01-20

青森の蕎麦 / そば処 吉田屋の「むじなそば」


キツネやタヌキの姿は想像できるが、「ムジナ」は想像できない。なんか昆虫のようでもあり、妖怪のような名前である。しかし、「ムジナ」は「狢」または「貉」と書き(書いたことはないけど)、実は主にアナグマのことを指すらしい。地方によってはタヌキやハクビシンをそう呼ぶこともあるようだ。

ちょっと調べてみたら、日本の民話では、「ムジナ」はキツネやタヌキと並び、人を化かす妖怪として描かれることが多いのだそうだ。確かに、名前の響き的には「ムジナ」は人を騙すような感じがする。

私たちが「ムジナ」という言葉を聞くのは、「同じ穴のムジナ」ほぼこれ一択だと思う。「ムジナ」のことは知らないが、これは多くの人が知っていることわざだ。「一見違っているように見えるが、実は同類である」という意味だが、あまり良い意味では用いられることはない。迷信では、「ムジナ」が「人間を化かすとされるタヌキと同じ穴で生活する習性をもつこと」に由来しているのだとか(Wiki先生より)

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私が、このことわざ以外で「ムジナ」を知るようになったのは、青森市にある『そば処 吉田屋』に行ったときのことだ。10数年前、廣田神社の近くに、青森での最初の店舗を作った(現在の青森店舗はすぐ近くに移転している⇨「FRINGE aomori」)。相変わらず、内装や什器を自分で手掛けていたので、何日も弘前〜青森を往復した。場所が長島ということもあり、近所に食べるところはあまりなかったのだが、『そば処 吉田屋』というのが歩いて数分のところにあり、よく通った。

弘前にも『高砂』を始めとする美味しい有名な蕎麦屋は何軒もあるが、ラーメン屋に比べると少々敷居が高い。雰囲気もさることながら、天ぷら蕎麦あたりをいただこうとなると、ラーメンの倍くらいの値段だったりする。青森の蕎麦屋はほとんど知らなかったので、『吉田屋』に入るのも最初は少し躊躇いがあったが、それはすぐに杞憂に終わった。『吉田屋』の店内は、どちらかといえば街の食堂の雰囲気に近く、メニューもリーズナブルだった。

そして、そのメニューの中でひときわ目を引いたのが「むじなそば」だった。なぜひときわ目を引いたかといえば、メニューで見たことのないネーミングだったということもあるが、店内に「むじなそば」の張り紙がしてあったからだ。きっとおすすめメニューであり、人気のメニューなのだろう。

私はおそるおそる「むじなそば」を注文した。口にしたことのないメニューを注文するのは少し緊張する。ラーメン屋で初めて裏メニューを頼むときもそうだ。どんな蕎麦なのかはわからなかったが、「温かいむじな、お待ちどうさま〜」とテーブルに置かれた蕎麦を見て、驚いた。真ん中に油揚げがのっていて、そのまわりは沢山の揚げ玉で覆い尽くされていた。なるほど、「きつね」と「たぬき」を合わせたものだったのだ。キツネでもなくタヌキでもない、まさに「ムジナ」にむさわしい蕎麦である。

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この「むじなそば」 ここ『吉田屋』だけのメニューだと思っていたが、そうではないらしく、東日本の蕎麦屋さんではたまに見かけることがあるようだ。

昨日、仕事も兼ねて青森の店に行った。パリコレ出張中のスタッフがいるので、お昼交代のヘルプに来たのだ。早めに昼食を済ませるために、11時半頃に私が先に昼に入ることにした。もちろん昼飯は『そば処 吉田屋』の「むじなそば」 まだ12時前だというのに、店内はすでに混んでいた。2階にも座敷があったはずだが、ちょうどカウンターが一席空いていた。私はメニューを見ずに「温かいむじなそば」を頼んだ。「温かい」というのがあるということは「冷たい」のもあるわけで、夏場はそれを頼む。

この「むじなそば」の良いところ。「きつね」だと油揚げのリッチ感は楽しめるが、なんとなく物足りない。「たぬき」だと揚げ玉が汁に溶け込み、食べ応えはあるが少々贅沢感に欠ける。「むじな」はその両方を補うだけでなく、油揚げと揚げ玉の味がなんとも言えない相乗効果を生み出してくれる。そして何といっても、ここの『吉田屋』の最大の特徴は、蕎麦なのにボリュームがあるということ。

一般的な蕎麦屋さんは、味はよくても量が物足りない、ということがたまにある。とくに「ざる蕎麦」あたりになると、大盛りを頼む男性も多い。しかし『吉田屋』の蕎麦は、通常の蕎麦屋さんの1.5倍はあるだろうか。それに油揚げと、たっぷりの揚げ玉で、昼食としては満足感たっぷりの一品となるのだ。もちろん、味も申し分なし。

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「ラーメン」はよく食べるし、ブログに書くことも多いが、「蕎麦」に関しては全く詳しくない。それに、世には「蕎麦通」と言われる方々がたくさんいるので、「蕎麦」について書くのは少々気がひけてしまう。

そんな自分にとって『そば処 吉田屋』は、気軽に通える街の「蕎麦屋」さんという感じ。「蕎麦屋」とはいえ、うどんもラーメンもあるし、カレーライスもある。でもきっと、青森の店に仕事で行ったときは「むじなそば」を食べるのだろう。


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