京都のラーメン / 「麺匠 たか松」「麺対軒」「本家 第一旭 たかばし本店」「新福菜館本店」…
京都には、40年前と8年前に訪れたことがあったが、京都でラーメンを食べたことはなかった。もっとも40年前は修学旅行だったのでラーメンは食べてなかったと思うが、いや、何を食べたかなど記憶はない。
オタクではないけれど、そこそこのラーメン好きとしては、滅多に行くことのない土地に赴いたならそのご当地ラーメンは食しておきたいところ。
コンクールの合間を縫って、自由に歩ける時間帯の食事は「京都のラーメン」にしよう。そう決めていた。
決めたものの「京都のラーメン」の知識はゼロ。京都へ行く前の日になり、あわてて検索してみた。そして、散策できる範囲で3軒ほどの候補をピックアップ。
いざ出陣!
京都1日目。
知り合いのセレクトショップと、知り合いの息子さんが勤めている老舗の和菓子屋さんを巡る。ここまでは比較的順調な京都散策である。
この日は、朝に青森空港へ向かう車の中で、おにぎりを1個食べただけ。すでに15時半。京都に着いてからは、目的のラーメンをより美味しくいただくために、何も食べずに散策していた。
目的のラーメン屋は「麺対軒」というお店。烏丸御池の和菓子屋さんから歩いて20分ほどのところにあった。時折、スマホのグーグルマップを確認しながら歩く。地図を広げなくてもいい時代になったのはいいが、少々味気ないのも確か。
「麺対軒」は、有名店というよりは、昔から地元の人に愛されている典型的な「ご近所のラーメン屋」らしい。画像で店の外観を見てもそんな雰囲気。地元ならではラーメンを味わうには、うってつけの一軒だろう。
烏丸の通りを真っ直ぐに歩く。それらしい看板が遠くに見えてきた。初めて食べる「京都のラーメン」に心もじゃわめぐ(これは津軽弁です)
さすがに16時近くになっていれば、人気店とはいえ店の前に行列は無し。しかし様子がどうもおかしい。入り口から中を覗くと、客は一人もいなかった。
(ん?)と思い、よく見ると入り口に札が下がっていた。
「準備中」
(あれ? 営業時間は11時から23時になってたはずだけど)
念のため営業時間はチェックしていた。入り口の戸は開いた。厨房の奥に店の人がいるのが見えた。
「すいませ〜ん。今の時間、営業してないんでしたっけ?」
「あー!…今日なんかすごい混んでしまいまして…今、再度仕込み中なんですよ。すいません。5時にはオープンできますんで!」
(あ”…あ”〜あ”〜…)
朝から、何も食べずに歩き回っていた自分の身体は、もう限界だった。
私は諦めて、河原町方面に向かった。確か河原町あたりにも候補の店があったはずだ。しかし、そこも準備中だったらどうしよう。18時にはホテルに戻らないといけない。だんだんと集中力がなくなり始めた。ロングライドで食事にありつけずにハンガーノックになりそうなあの感覚。
大丸百貨店前の人混みに目眩がした。小路に逃れると目の前に暖かそうな明かりの店が現れた。
私は一瞬立ち止まったが、(ここで妥協してはいけない)と、その場を通り過ぎた。しかし20mほど歩いて、再び店の前まで戻ってきた。
気がつくと、券売機で食券を買い、私はカウンター席に座っていた。

「京都ラーメン」とは、どんなラーメンなのかイメージはなかった。ググってみるとどうやら「鶏がベースの少しこってりした醤油ラーメン」というのが多いらしい。
「麺匠 たか松」は、京都市内に3店舗ほどあるらしく、ここは「四条店」だった。事前にチェックした候補にはなかった名前だが、メニューにある写真も美味しそうだし、店内も今じんまりとしているが清潔感がありいい感じ。
私は「煮干し香るらぁ麺」というのを注文した。
「お待ちどうさま〜」

目の前に現れたラーメンはとても美しく、上品な見た目であった。京都という観光地にもかかわらず690円という懐にも優しい値段。思わず煮卵をトッピングしたが、最初から煮卵半分は入っているようだ。
スープを飲むと身体に優しいトロリとした味わい。確かに鶏がベースになっているようだ。「煮干し香る」とあるが、津軽の人間にしてみれば「煮干し?どこ?」くらいの風味ではあるけれど、とても美味しい出汁である。
京都らしい九条ネギ(かな?)も添えられ、チャーシュー、そして麺と、バランスのとれた美味なラーメンだった。何よりも、京都に来て何も食べていなかったのだから美味しいはずである。
……………………………………………..
京都3日目(最終日)
2日目は、朝から晩までコンクールに参加した仲間と一緒だったので、ラーメンはお預け。3日目の最終日に「京都のもう一杯」を目指す。
昼までは京都在住の鍋師さんに京都案内をしていただいた。そのあとは、ホテルからバスで京都駅まで。駅に着くと、私は大きな荷物を抱えながら、駅の東側向かって歩いた。
実は、京都でも有名なラーメン屋2軒が、駅東側の大通りに並んで面しているのだ。これは、事前に調べておいた。
1軒は「本家 第一旭 たかばし本店」、もう1軒は「新福菜館本店」というラーメン屋だった。どちらの店も、京都のオススメ20選などに名を連ね、レビューでもなかなか高い評価を得ていた。京都旅は、ここで締めくくろう。
少しだけ不安があった。時間が12時半過ぎだった。まさにお昼時。混んでるかもしれない。
私は、駅から東に向かう細い道を通り抜ける。視線の先に大きな通りが見えた。しかし、その大通りに沿って、10人ほどのシルエットが見えた。
(あれ?もしかして並んでる…?)
私は大通りまで出て愕然とした。
確かに、2軒の店は仲良く並んで建っていた。が、それぞれの店の入り口から、どちらも50人ほど、人が列を作っていた。
伊丹行きのバスに間に合うはずもない。
私は、(別に、ラーメンを食べにここへ来たのではないよ)という素振りをしながら、再び京都駅に向かって歩き出した。
京都のラーメン、恐るべし。
麺匠 たか松
四条店:京都府京都市下京区東洞院四条下ル元悪王子町39-2
オフィシャルサイト → 「麺匠 たか松」
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