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2020-07-19

ツール・ド・ツガル / 『お食事処たっぴ』の「あおさラーメン」と 激坂クライム


 

龍飛埼灯台から少し坂を下ると、「アァア〜ア〜」 と石川さゆりのファルセットボイスが聴こえてくる。

有名な「津軽海峡冬景色」の歌碑の向かい側に『お食事処たっぴ』があった。「龍飛」「竜飛」と迷う地名だが、ひらがなであれば問題ない。いいネーミングだ。

 

『お食事処たっぴ』

 

ここに食堂があったのは知っていたが、入店は初。

前回書いていたが、気分は「ウニ丼」ではなく「ラーメン」だった。壁に貼られてあるメニューを見る。気分ではなかったが、念のため「ウニ丼」があるかをチェック。

「ウニ丼 2800円!」なかなかのお値段。ここはやはり観光地プライスか。その隣にラーメンのメニューがずらりと並んでいた。

龍飛らしく、海鮮系のラーメンメニューが充実している。「岩のり」「ふのり」「あおさ」と食べ比べたくなるような並び。迷った末、「あおさラーメン」を注文した。

 

店内には、若いチャリダーが二人(先ほど上りで私を軽々と追い越して行った若者だ)、年配の夫婦と昼時にしては空いていた。いつもの夏であれば、県外からの客でもっと賑わっているのかもしれない。

県内の経済を回すために、「ウニ丼」を奮発すべきだったか…と一瞬思ったりもしたが、ここは素直に食べたいものを食べよう。身体が水&塩分を欲していた。

 

「お待ちどうさま〜」

 

「あおさラーメン」

 

たっぷりのあおさに、でかい耳のついたホタテがゴロンと2個入っていた。

これで840円(だったかな)なら、そんな高くない。どうやら観光地プライスは丼モノだけのようで、むしろ、ラーメンはコスパがいいのかもしれない。

スープを一口。身体の中にギュンギュンと染み込んでいくのがわかる。スープそのものの味はごく普通だけど、あおさやホタテの出汁が出ていて十分美味い。

麺もごく普通の細麺ではあるが、磯の香りたっぷりのあおさが良い具合に絡んでくれる。そして、なんといっても耳付きのホタテは大好物。

というわけで、最高に食べ応えのあるラーメンとなりました。

 

店舗情報

『お食事処 たっぴ』

東津軽郡外ヶ浜町三厩龍浜54-73 

 

お腹も気持ちも満足になったところで、復路出発。

龍飛の高台から少し下ると、すぐに「竜泊ライン」の交差点がある。そして、そこからは一気にヒルクライムの始まりとなる。

それにしても、昼飯の直後での激坂クライムはちょっとヤバい。次回からは、もうちょっと身体を考えたスケジュールにしなきゃ。

どうせ、しんどいのはわかりきっているのだから、あまり無理せずに淡々と脚を回すことにした。美味しかったラーメンが、きちんとお腹の中にいてくれるように。

 

小泊側から上る路は九十九折りになっており、山や海の景色を楽しむことができる。しかし、龍飛側からの路は、木々に覆われていてあまりパッとしない。

時おり木々の間から日本海が見えるが、どっちにしろゼイゼイと漕いでいるので、景色を楽しむ余裕などないのだ。

いや、景色を楽しむどころか、道端のところどころにある動物の糞らしきものが気にかかる。おそらく猿だろう。クマじゃないと思うんだけど。

 

一番高い地点にある「眺瞰台」までは、およそ6.5km。

「眺瞰台」まで◯km、の標識があったと記憶していたが、目の前に現れるのは「10%」の勾配を示す黄色の標識ばかり。

太腿も張りはじめていた。ここで無理に負担をかけても良い結果を生まないことは、過去の失態からわかっている。あまり踏み込まずに、できるだけ大きく円を描くように脚を回した。

 

歌を歌うこともできず無言になって上り続けていると、黄色ではなく青い標識が見えた。

「眺瞰台 2km」 (よし!あと2kmだ!) 

少しだけチカラがみなぎってきた。脚と腰の筋肉をほぐすためにダンシングでペダルを回す。ダンシングをすると、気持ちも高ぶってくる。

視界の遥か向こう、高いところの頂に小さな建物が見えた。「眺瞰台」だ。

さらにチカラが湧いてきた。気持ちも高まってきた。あと少し。

少しだけ斜度が緩くなった道で、ここぞとばかりに脚を回す。大きなカーブを右に回る。坂が現れた。

 

「10%」

(ふっ…)

ここの激坂は、最後まで甘くなかった。

 

 

灯台と津軽海峡

 

自分の脚で上りきった「眺瞰台」から望む景色は格別だ。

日本海と津軽海峡を一望できる。ついさっきまでいた龍飛埼灯台も小さく見えた。

 

龍飛側から「竜泊ライン」の激坂を上りきると、津軽半島北側一周を終えたような気持ちになる。

それは、いつものことなのだが、実はここを下ってからがキツいのだ。

「道の駅ポントマリ」から小泊へ抜ける峠。小泊から脇元集落へ抜ける峠。そして最後に十三湖高原と、いくつかの峠を越えなければならない。

これがまた、エネルギーを使い果たした太腿に追い打ちをかける。

 

日本海

 

しかし、目の前には美しく広がる日本海が見える。

海面がキラキラと輝いていた。私は美しい風景を愛でながら、焦らずにゆっくりゆっくりと脚を回した。

 

そのとき、どこからともなく音が聴こえてきた。

「….つまの…が、発見されま…」

よく聞き取れないが、どうやら町の情報がどこかに設置されているスピーカーから流れているらしい。

(誰かの奥さんが行方不明にでもなっていて、どこかで発見されたのだろうか…)

 

再び音が流れてきた。

「クマの糞が、発見されました。ご注意ください」

 

エネルギーの切れかかっていた脚は、何倍にもなってグルグルと回った。

 

 


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