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2020-07-18

ツール・ド・ツガル / 龍飛埼 〜ウニ丼を食べ損ねた日〜


 

天気予報では、津軽一帯は快晴のマークが並んでいたが、薄曇りでどんよりとしていた。

科学が発達した現代でも、豪雨災害を予測することが難しい近年の天気。快晴の予報が、少し雲のある天気に変わったとしても、しょうがない。

しかし、長い距離を走るのであれば、快晴よりは少しぐらい雲がある方が負担が少なそうだ。

 

7月のうちに、龍飛を走ってみたいと思っていた。毎年、夏にロードバイクで一度、写真を撮るために冬に一度、訪れている。

数年前は弘前から自走で200kmを走ったりもしたが、今の自分の体力では全く自信がない。半分の100kmでもどうだろうか。というのも、龍飛へ行くためには、標高差が500mもある「竜泊ライン」という激坂の峠を越えなければならないのだ。

海沿いから「竜泊ライン」を走る時計回りにするか、山中を走り三国峠を越えて今別に出る反時計回りにするか。予報によると「津軽海峡の海沿いは東からの強い風」とあったので、反時計回りを選択した。

 

十三湖の駐車場に車を置き、蟹田方面に向かって出発。

海に比べ山は大丈夫だろう、と思っていた。が、その予想は大きく外れることになった。東に向かって走っている間、終始、強い向かい風がこのタルんだ身体を襲った。

(こりゃ選択を間違ったかな〜) と思いながらも引き返す勇気もなく、ただ黙々と走り続けた。

 

春先に上った「酸ヶ湯」「ロイヤルの激坂」同様、「龍飛」も、年に一度は走ることにしている。

「長距離を走ること、激坂を上ること」は、年々厳しくなっていることを感じていた。何もせずに、日々、食べて、仕事して、飲んで、寝る。を繰り返していれば、身体がだらしなくなっていくことは明らかだった。

かといって、食事を制限して、お酒も飲まずに健康的に過ごす…というのも、意志が強ければとっくに実践していたわけで。

小さい頃から、野球やバスケットボールなどの球技は大好きだったし、けっこう得意だったが、マラソンなどの持久系はまるっきしダメ。

なのに、何故ロードバイクで100km走ったり、激坂上ったりするのだろう。美しい景色を楽しんだり、訪れた地での美味しい食を味わったり、といろんな楽しみがあるからなのだろう。

でも、どこかに自分の老いに対する挑戦があるような気がするのだ。

 

トンネルが見えてきた。

 

十和田湖まで

 

十三湖から蟹田へ向かう道中に、どうして「十和田湖まで109km」という案内があるのだろうか。「青森まで◯km」ならまだわかる。この道を走るたびにいつも思う。

 

蟹田の数キロ手前で道を左折、「三国峠」へ向かう。向かい風が収まったので、ようやく脚が回り始めた。

この峠を越えるのもキツいイメージを持っていたが、比較的スムーズに上りきった。あとは海まで下り基調で真っしぐら。

弘前を出たときはどんよりとしていた空だったが、津軽海峡の空は晴れ渡っていた。

 

津軽海峡

 

ハンドルに巻きつけていた「G-SHOCK」をみると11時を過ぎていた。

この道を走るのであれば、やはり「漁師の店 ささ木」で昼飯を食べることにしよう。( 3年前のブログ → 「ツール・ド・ツガル 「ささ木」の生ウニ丼」) 

 

海岸沿いの一本道の向こうに、見覚えのある小さな食堂が見えた。でも、以前見た食堂の記憶とは何かが違っていた。

店の前に出ているはずの、のぼり旗がなかったのだ。暖簾も出ていない。

しかし、中を覗くと客らしい姿が3人ほど見える。私は店の隣にあった物置にロードを立てかけた。すると、物置の中から音が聞こえたので、窓から覗き込むと、いつものオバちゃんの顔があった。

「あれ、オバちゃん!今日、休みなの?」

「あ〜今日限定だけでさあ。予約分だけだのさあ。ごめんね〜」

 

 

「また来るはんで〜」

と、挨拶をして、私は龍飛に向かった。

名物のウニ丼を食べ損ねたが、どういうわけか思ったほどのショックはなかった。もしかしたら、この日は最初からウニ丼の気分ではなかったのかもしれない。

ロングライドで海に行くと、ウニ丼とか海鮮丼とかを食べることは多いのだが、長い距離を走ったときは身体がウニ丼を欲しているかといえば、実はそうでもない。

前回も十三湖で「しじみラーメン」を食べたけど、身体にギュ〜っと染み入る味のラーメンの方が良かったりするのだ。身体が水分と塩分を欲してるからだろう。

 

龍飛まで3kmほどの、いつものところに来た。

身体の負担を少なくするためにカメラは持参していなかったので、スマホで漁師小屋を撮る。

腐食を防ぐためなのだろうか、真っ黒に塗られたコールタールの匂いがあたりに漂っていた。

 

 

海抜1mほどの海岸沿いの道から、龍飛埼灯台のある高台までヒルクライム。

これがなかなかの急坂である。

キレイな紫陽花が道の両脇に咲いている。

最後の坂を上りきり、高台の駐車場に着いた。

そこからは、ロードを引きながら灯台のあるところまで歩いて登った。

 

 

青い空に白い灯台が映える。

その灯台の名前は、「龍飛崎」でも「竜飛崎」でも、「竜飛岬」でもなく、「龍飛埼」灯台だった。

 

残り50km。あの激坂も待っている。

美味しい龍飛のラーメンはあるだろうか。

 

 


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