失敗は続く / 「浪岡〜板柳〜藤崎 ラーメンライド」
前回のブログでは、秋田での失敗を書いた。
そして今回も失敗をした。人間は失敗を繰り返す生き物だ。
浪岡の「つねた食堂」のラーメンが無性に食べたくなった。
「つねた」は弘前の「たかはし」と並ぶ人気の老舗なので、今さら紹介するのもアレである。でもブログでは書いたことがなかった。いずれ書こうと思う。
浪岡までなら車でもいいが、せっかくならロードバイク。津軽平野を走りながら、途中で風景の写真を撮り、お気に入りのラーメンを食べる。
帰りに温泉に浸かることができれば、趣味を一度に4つも味わえるのだが、流石に風呂道具を背負って走るのはシンドいので今回は3つにする。3つでも十分だ。
国道は交通量が多く路面も良くないので、田舎館あたりから農道を走る。農道といっても道は綺麗に舗装され景色が良い。
道の両脇を遮るものがないので風の影響を受けやすいが、行きはやや追い風で走りやすかった。
「つねた食堂」までは約20km。昼飯前のライドとしてはちょうど良い。
ひとつ不安があった。「つねた」はとても人気があり営業時間も短いので、とても混むのだ。店の前に客が並んでいることもしばしば。
田園風景を眺めながら、約1時間かけて走り浪岡の街へ入る。
浪岡高校の少し先にある信号を右折し、しばらく走ると小さな看板が見えてくる。が、それより先に路駐する車の列が見えてくる。その路駐具合で店の混み具合も想像できる。
(ここに来たんじゃないよ)という顔をしながら、店の前を走り過ぎた。店の前には数人が行列を作っていた。
並ぶのは苦ではないが、チャリダースタイルで並ぶのは気が引けた。
また今度にしよう。
浪岡の街には、昔からラーメンやカレーの名店が多くある。
特にラーメン屋は、昔ながらの中華そばから昨今のおしゃれ煮干し系まで多種あって、そのどれもが人気店となっている。
浪岡では、5店舗ほどで食べたことがあるが、まだ行ったことのない気になる店があった。
国道7号から少し離れた丘に立つ「青森病院」の少し先にある「鹿内食堂」である。
何故気になるのかといえば、営業時間が13時までと短く、やっていない日もあったりするらしい。
そういった中々ありつけないラーメンにはそそられる。
国道7号から丘の上の病院までは思った以上の急勾配だった。ちょっとしたプチクライムをするハメになった。が、食べたことのないラーメンを食うとなればそれも良し。
時計を見たら12時45分。脚を廻せば、あと数分で着くだろう。それでも13時ギリギリに着くのはお店にも迷惑だろうと思い必死に漕いだ。
病院を過ぎ、やがて向こうに見える交差点を右に曲がったところに店があるはずだ。
道の右側に食堂らしき?建物が見えた…が、暖簾や幟旗は見えない。
その建物に近づくと、暖簾らしきものは入り口の中にあった。
10分前に着いたのに。
浪岡の街には、多くのラーメンの名店がある。が、再びここから街に戻る気持ちが起きなかった。
まあ、浪岡にはいつでも来れる。そうだ、せっかく走ったことのない道を来たのだから、そのまま板柳方面へ行ってみよう。
再び津軽平野の田園地帯を走る。強い向かい風になっていた。
2軒振られたくらいでは失敗のうちには入らない。でも、心は少しだけ萎え始めていた。
浪岡から五所川原方面へ続くこの道は、走ったことがなかった。
やがて橋に差しかかった。橋の下を流れるのは十川だった。そうか、ここから五所川原の方に向かって流れていき、やがて岩木川と合流するのか。
小さい頃から、道や川がどのように続いていくのかを想像するのが好きだった。
そしてこの橋から見える秋の風景がとても美しいことに気づいた。
少しだけ気持ちが穏やかになった。
そうだ、そういえば歌仲間のD輔くんが、少し前に板柳の美味しそうなラーメンをUPしていた。
なんでも、そこのスタミナラーメンがめちゃ美味いらしいのだ。
急に目的が定まると、私の脚は再び軽やかに廻りだした。
しばらくまっすぐな道を走ると、高増という地区に入る。有名な高増温泉が近くにあったはずだ。
ラーメン屋はその辺りにあるらしいのだが、複雑に入り組んだ住宅街にあって中々辿り着けない…と口コミに書いてあった。
ネットが発達したこの時代、そんなことはないだろうと思ったが、ホントに辿り着けない。
Googleマップを何度も拡大して、ようやく「拉麺 七輪」に辿り着いた。
幸い駐車場に車はいない。
「ふっ…」
思わず小さな笑いが出た。
近所で作業をしていたオッさんが、ジャージ姿のオッさんを不思議そうに見ていた。
私は何も考えずに、国道339号に向かって走りだしていた。
板柳の街中にあるラーメン屋は知らない。とりあえず弘前に向かって走ろう。
藤崎にもいくつかラーメン屋があったし、この時間なら「たかはし」でも食える。
別に失敗なんかしたわけじゃない。失敗なんかしていない。
なんの歌を歌って走っていたかは忘れたが、10曲ほど歌ったであろう頃に「ラーメン」の幟が見えてきた。
(ああ、そういえばここにもあったな)
リンゴ畑の中にある温泉「はたけのゆっこ」。その駐車場の中にラーメン屋があった。
私は店に入るなり、醤油中華を注文した。
濃厚とかいろいろあったが、あっさりしたスープをごくごく飲みたかった。そういえば水分補給もしていなかった。
ラーメンはとても美味しかった。
美味しかったが、よく味がわからなかった。どんな味だったかも良く覚えていない。
それでも食べ終えると、少しだけ安堵の気持ちになり、店を出て記念の写真を撮った。
どうやら、自分が最後の客だったらしい。
あぶねえ〜
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