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2023-10-23

秋田での失敗 / 「末廣ラーメン本舗 秋田駅前分店」


 

すでに3週間ほど経ってしまったが、全日本合唱コンクール東北大会に出場するために秋田市へ行ってきた。

「ロードバイクでラーメンを食べに行こう!」と、無謀にも大館から能代まで走ったのはつい昨年のことだったが、秋田市へはここ何年も行ったことがなかった。いつ以来かも思い出せない。

今回はコンクールということで、ロードバイクではなくJRに乗った。

 

ずっと前に秋田に来たときは、駅舎が随分と古い建物のようなイメージがあったが、現在では様変わりしていてお洒落な感じになっていた。

ホテルは駅から10分程のところにある「ドーミーイン秋田」で、道路を挟んで目の前が千秋公園。本番ステージの会場である『あきた芸術劇場ミルハス』が公園の一角にあり、視界の向こうに見えた。

 

『あきた芸術劇場ミルハス』

 

夕方から練習をし、その後居酒屋で決起集会。

決起集会で気合を入れたのだが、コンクールの結果を先に言ってしまえば「銀賞」であった。県大会のときと同じ「銀賞」。

「金賞!いざ全国大会へ!」となれば、文章ももったいつけて書くのだが、「銀賞」なので結果は先にお伝えしておく。

 

昨年の東北大会は郡山だった。しっかりと事前に郡山ラーメンの名店をチェックし、無事に食することができた。今年も当然下調べはバッチリ。候補は3軒ほどあった。

しかし誤算があった。練習後に決起集会があったことだ。ひとり気ままにラーメンを食べに行くつもりだったが、大学の先輩に誘われれば断る理由はない。ラーメンは断る理由にはならない。

(でも、帰りにこっそりラーメンを食べに行くことはできるかな…)そう思ったが、またもや誤算があった。

ドーミーインには有名な「夜鳴きそば」というのがあって、それは少なめのラーメンなのだが、宿泊客は無料で食べることができるのだという。

 

公式サイトより

 

決起集会の帰り際、みんなでそれを食べようということになった。断る理由がなかった。

ホテルに帰るとすぐに、1階食堂の奥にある丸テーブルに座り、皆で「夜鳴きそば」を食った。味はまあまあ。でも無料で食えるなら十分な味だ。

私は満足したような、何か物足りないような気持ちで部屋に戻った。

別にラーメンが原因というわけではなかったが何故か眠れず、明け方近くの4時頃まで起きていた。

最上階にある温泉に入ることにした。さすがにこの時間には誰もいず、明け方前の露天風呂を独り占めした。なかなか良い湯であった。

 

本番ステージは午後の遅めの時間帯だったのが幸いで、チェックアウトぎりぎりまで寝ていた。

昼の練習はホテルすぐ近くにあるヤマハ音楽教室。皆で歩いて行ったが、天気がいまいち怪しい。

練習が終わると外は雨が降っていた。念のため傘を持ってきていた。会場までも歩いて10分ほどであったが、ヤマハを出るといきなりの土砂降りになった。

私の小さな折り畳み傘は全く役に立たなくなり、全身ずぶ濡れになった。本番で着る服も靴もびしょびしょ。会場で再び前日と同じ服に着替え、リハーサル直前まで乾かすことにした。

 

立派な秋田杉の木レンガ壁

 

昨年完成したばかりの「あきた芸術劇場ミルハス」は立派な建物だった。

ホール内壁の木レンガは秋田杉が使われていて赤茶色をしている。聴く側には心地よく響いてくる会場である。

昼食を済ませ、再び着替えをしリハーサルへ。リハーサルも順調にこなし、いざ本番ステージ。

しかし実際にステージに立ってみると、客席で聴いていたような響きがなかなか感じられない。

まわりの仲間の声が少し生声に聴こえてしまい、それに動揺したわけではないのだが、思ったようなパフォーマンスは発揮できなかったような気がした。

ホールで聴いていた知り合いは「素晴らしい演奏だったよ!」と言ってくれたので、やはり聴いている側にはそれなりの出来に聴こえたのだろう。

結果的には上で書いたように「銀賞」だったわけで、実力がそのまま判断されたかな…という印象だった。

 

結果発表までの間に、1時間ほどの時間があった。

結果はともあれ(この時点ではまだ結果を知らなかったので)、昨日達成できなかったミッションを敢行することにした。

多くのサイトでも「秋田市のラーメンならここ!」と一位になっていたラーメン屋が、歩いて15分のところにあった。青森市にも分店があるらしいのだが、やはり本場で食ってみたい。

15分歩いて30分で食って15分で戻ってくればイケる。イクしかない。私は小雨が降る中、秋田駅方面に向かって歩いた。

行ったら営業時間外ということがあってはいけない。何度も確認したが、営業は朝8時から深夜3時までと書いてある。

 

宿泊したホテルを通り過ぎ右に曲がり、大きな通りを渡ると向こうに黄色い看板が見えた。あそこだ。

数人が店の前にいた。並んでるのだろうか。人気No.1なら行列も少しは覚悟したほうが良かったか。

それでも店に近づくと、その行列は店の向こうに去っていった。食べ終わった人たちだったのかもしれない。

店の前に来ると「末廣ラーメン本舗」という堂々とした看板が目に入る。

京都の屋台ラーメンが発祥らしいが、後にここ秋田で東北に合う味へとさらに進化を遂げ、今や秋田市No.1のラーメン屋になった。

 

私はワクワクを抑えきれずに入り口へと向かった。入り口に小さな看板が立っていた。

貼り紙がしてあった。

「ラーメンのスープが売り切れたので、夜までお休みします」

 

帰りの奥羽本線の中。

とくに「銀賞」のショックもなく、ほぼ鈍行に近い快速列車にゴトゴトと揺れながら、

私は黙々とおにぎりを食べていた。

 

 

 

 

 


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