幻のラーメンを求めて 大館〜能代往復120kmを走ル
天気の良い休日。
(走ったことのない路を走ってみよう…)という気持ちが、不意に湧き上がった。
津軽の路はだいたい走った。でも南部方面まで走る脚は備えていない。
(そうだ!噂に聞く、あのラーメンを食べに行こう)
車にロードを積み込んで、南へ向かった。
大館の郊外に車を置いて、走ったことのない路を今度は西に向かって走る。
走ったことがないといっても、それはロードバイクでの話であって、車では何度も走った国道7号。
娘を連れて男鹿の水族館「GAO」にも行ったし、大館能代空港の近くにある「北欧の杜公園」にも行った。
弘前から大館までの国道7号は、ロードで走ったことがあるけれど、あまり良い路とは言えない。
それは、大館から秋田へと向かう路も同様だった。国道だからといって、路がキレイに整備されているわけではない。むしろバイパスができて、古くからある国道は路面が荒れたままということが多い。
勝手に平坦な路を想像していたが、意外に高低差がある。そうだ、ここは津軽平野ではなく秋田の山間部なのだ。
それでも酸ヶ湯へ上るような激坂はない。淡々と足を廻してれば、いずれ目的地に着くだろう。
そんなことを考えつつ、早くも最初の休憩。
昔はでっかい太鼓があったような記憶があるけど…違ったかな?
ここでスポドリを買って脱水に備える。
それにしても、津軽平野は田んぼばかりで退屈だけど、
時おり姿を現す一級河川の「米代川」が救いだ。
しばらく走るとようやく「能代市」の標識。でも市街地はまだまだ先だ。あと20kmはあるだろう。
日本海からと思われる内陸に入り込む向かい風がキツい。
やがて視界の向こうに大きな建物がみえてきた。
ここの道の駅は初めて来た気がする。規模が大きい。
「塩ソフトクリーム」というのに惹かれたけど、
ふたついの道の駅を出て、米代川に架かる橋を渡ると、
線路の向こうに立派な木々が並ぶ。秋田杉というやつだろうか。
チャリを停めて急いでスマホカメラを出す。
パシャリ!
間に合わなかった。
気を取り直して山を下り降りると、視界が開けてきた。向こうに街が見える。
再び海からの向かい風。たかだか50kmを走っただけなのに、脚に疲れが出ている。
何をしにここまで来たんだっけ?
そうだラーメンだ。
腹も減ったし、水分も欲しいし、塩分も欲しい。
街の中心部までひた走る。能代駅前の大きな通りに出た。確か、この通りの裏にあったはずだ。
閑静な住宅街に入ると、その店はひっそりとあった。
なんとも控えめな看板。店の周りには、ひと気がない。
(こりゃ、運良く客がいない時間帯に来れたのかな)と思いつつ、店の中に入ると…
なんと、狭い店内の全てのテーブル席は満員状態だった。
奥にも座敷テーブルがあるようだが、それも全て満席だった。
「しょうゆの並、本間です」と厨房にいる店員さんに伝える。
希望のラーメンと自分の名前を伝えるのが、ここのやり方だというのは事前に調べておいた。
次々とお客さんがやってきては、次々と食べ終え店を出て行く。どのテーブルも相席が当然だ。
私の向かいの席でも若者がスマホをピコピコやりながら、ラーメンを待っていた。
「はい、お待ちどうさま〜」
厨房のすぐ近くにいたせいか、名前を呼ばれることなく目の前にラーメンが置かれた。
それは、初めて見るラーメンのビジュアルだった。
どんなラーメンだったかは、次回。スンマヘン
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