能代のラーメン『十八番』 大館〜能代往復120kmを走ル ②
それにしても、店の周りには全くひと気がなかったのに、この店内の混み様はどうだ。
カウンター席はなく、全てテーブル。そして奥の小上がり席。客は皆、相席が当然とばかりに慣れた様子だ。
「〇〇さ〜ん、醤油ど〜ぞ〜」と名前で呼ばれる。まるで、病院の会計のようだ。
幸い、厨房の一番近いところに座った私のところには、名前を呼ばれずにラーメンが置かれた。
津軽で見られるシンプルな煮干中華そばとは、ちょいと違うだろうとは想像していた。
しかし、その見た目は想像以上に違っていた。
まずは一目でわかるレモンの切れ端。
これは秋田ご当地のものらしく、ここ『十八番』がレジェンドと言われているらしい。。そういえば、大館の「ねぎぼうず」のラーメンにも入ってた。
そして何といっても、スープ一面に浮かぶ細かな粒々の物体。これは、なんでもピーナッツや胡麻を細かく擦り砕いたものらしい。これが津軽だったら煮干粉と勘違いしそう。
スープは鶏ガラに煮干し、カツオ節などの魚介系を思わせるアッサリ醤油。しかし、トッピングのカットレモンとナッツや胡麻の風味がオリジナリティのある一品に仕上げている。
麺は適度の縮れた細麺で喉ごし良し。具もチャーシュー、メンマ、ネギ、海苔とバランス良く、チャーシューは小さめではあるが燻した感じの味で美味い。
食べ始めると、なぜか箸が止まらない。
もちろん60km近くを走り、身体が水分・塩分を欲していたこともあるが、なにか、あっさりしてるんだけど不思議に食べ応えのあるラーメンだ。
地元の人を始め、多くのラーメン好きをリピーターにさせているということも頷ける。
メニューは、醤油・塩味・味噌とシンプルに3種。それぞれ、並・中・大とあり。次は塩を食べてみたい。
定休日が水曜日、土曜日、日曜日、祝日と、なんと強気で偏屈な店なんだろうと思っていたが、平日でもこの人気ぶりを見ると、土日はやってられないだろうなと思ってしまった。
いつか娘を連れて再訪したいと思ったが、夏休みか冬休みじゃないと…だな。
それにしても美味かった。
ごちそうさまでした。
『十八番』をあとにし、再び大通りに出る。
交差点の建物が、ひときわ異彩を放っていた。
営業しているのかな。それにしても存在感がスゴい。
この交差点を左折し、能代港の方に向かう。
しばらくすると国道101号の交差点に出る。故郷鯵ヶ沢へと続く国道だ。
少しだけ鯵ヶ沢方面へと走ってみる。米代川に架かる大きな橋があった。
橋の中心に立つ。上流側を望むことはできるが、河口側には歩道がなく海を望むことができない。
私は来た路を引き返し、河口の方に向かって走ってみた。
米代川の河口はあまりに大きく、川と海の境目がわからぬほどだった。鯵ヶ沢の中村川河口とは比べ物にならない。
岩木川の河口も大きいけれど最終点が十三湖である故に、海へと注ぐ河口の姿を見ることはできない。
港を周遊する路を走る。
不思議と潮の匂いがしない。鯵ヶ沢であれば、海が近づくと途端に潮の匂いがする。それは、イカや魚を干しているからだ。
能代の港は大きいが、見た感じでは漁港というよりは工業港であり、そして材木の積出港のようでもあった。
路の先には公園があるらしく、展望台らしき建物が見えた。
『十八番』でお腹が満たされていた。私は少しの間、公園の芝生に座り、海を眺めることにした。
子どもの頃にいつも見ていた日本海は、やはり何故か心が落ち着く。
「顔で笑い、心で泣かず、声に出して叫べばいい」
ふと、岸壁に殴り書きされた詩が目に入った。
よし、復路は、でかい声で歌い叫びながら走って帰ろう。
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