ツール・ド・ツガル / 八甲田山を一周して、酸ヶ湯温泉でぬぐだまル その壱
水曜日の朝、空気はキンとクリアで、空は青く晴れ渡っていた。
岩木山がクッキリと姿を現していたので、岩木山一周でも良かったのだが、この日は東へ向かうことに決めていた。
Facebookの「思い出」に、ある写真が出てきたからだった。

城ヶ倉のスノーシェルター
7年前のこの日、メグチャンプとチエちゃんと3人で酸ヶ湯までツーリングしたのだった。
あの頃は自分もかなり走りこんでいたので、少しはヒルクライムには自信があったのだが、すでにチャンプと言われていたメグは、僕らを置いて、あっという間にあの激坂を駆け上がっていった。
私は、まだビギナーだったチエちゃんをサポートしながら、少しずつ休憩をとりながらゆっくりと上った。
ビギナーだったチエちゃんは、今ではヒルクライムMTB部門では表彰台の常連となった。一緒に走ったら私がサポートされる側だ。
岩木山が美しい姿を見せていたが、八甲田山も珍しく鮮明に見えている。
黒石の中野もみじ山に車を置いて酸ヶ湯までのヒルクライムをするのが、最近の酸ヶ湯ライドだったが、この日はドライブ気分で車のまま酸ヶ湯まで上った。
BGMは「NIRVANA / ニルヴァーナ」のアンプラグド。グランジロックの祖とも言われるニルヴァーナだが、このアルバムはアンプラグド、つまりアコースティックなサウンドで構成されている。
それが故、ヴォーカルの「カート・コバーン」の声がより魂ある叫びに聴こえてくる。
カートといえば、モヘアのカーディガン、チェックのシャツ、コンバースのジャックパーセル。90年代後半、裏原宿を中心にブームとなった彼のグランジスタイル。
カートがこの世を去り20年以上経つ現在でも、彼のスタイルはファッションの業界に大きな影響を与え続けている。
城ヶ倉へと向かう路は青々とした木々で覆われている。
新緑の季節は過ぎていて、初夏の木々の少しむせ返すような匂いがする。
鳥なのか虫なのか、はたまた蛙なのだろうか。いくつもの生き物の鳴く声が響き渡っている。
城ヶ倉大橋にさしかかると、岩木山がクッキリと見えていた。

城ヶ倉大橋より望む
八甲田の上空がこれほど青く晴れ渡っているのを見たのは、初めてかもしれない。
硫黄の匂いが漂う駐車場に車を置いてロードを取り出す。
八甲田山を一周してきたら、硫黄の匂いのするここの湯に身体を埋めよう。

蒼空の酸ヶ湯温泉
地獄沼で途中下車することなく、一気に傘松峠まで走る。
訂正。一気にというのは語弊があった。
ゆっくりと傘松峠まで上る。

八甲田一周ルートの最も標高の高い地点
初夏とはいえ、路肩にはいくつかの雪の塊があった。
傘松峠まで上ると、その後は下り基調となる。
本当は猿倉温泉に浸かりたかったのだが、
猿倉を過ぎて、そのまま田代平高原まで走る。

田代平から望む八甲田
田代平を過ぎると、しばらく食堂はないのでこの辺りで昼飯を食べるとしよう。(以前は銅像茶屋があったけど閉店してしまったからなぁ…残念)
前に来たときは、箒場のラーメンを食べたので、
仕方がないので、さらにそのお隣の「高原茶屋」で食べることにした。

高原茶屋
なんとなく蕎麦の気分だったので、山菜蕎麦を注文する。
外にあるテーブルで食べることにした。
天気は良いが、さすがに山の空気は冷たい。

山菜蕎麦
山菜蕎麦は、キノコやたけのこがたっぷりと入っていた。
蕎麦は少し白い色をしていて、「
美味しい蕎麦を食べ終え、ゆっくりと休むことなく出発。
八甲田のブナ林に囲まれる路を走る。

八甲田のブナ林
八甲田一周の3分の2ほどは走っただろうか。
ここからは、やや下り基調となるが、青森市から酸ヶ湯へと向かう国道103号線と合流した後には大きな苦しみが待っている。
この周回コースの中でも最も勾配のキツい、しかも長い激坂が待っている。
でもこの坂を上りきれば、あの硫黄の匂いに包まれた湯が待っている。
交差点を左に折れると、どこまでも果てしなく続く長い坂が目の前に現れた。
私は、ふっと気が遠くなるような感覚を覚えた。
(続く)
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