ITALIAN / イタリアン
仕事を辞めてから、毎日が退屈でしょうがない…と思いきや、そうでもないのである。
辞めたと言っても、長年勤めていた店を辞めただけで、働くことを辞めたわけではない。
自宅に居ながらも、あれとかこれとか、ちびちび仕事はしている。ここではあまり詳しく書けないけど、犯罪に手を染めるようなことはしていない。
夏休み中だから、娘の昼飯も作らなければならない。
家の中に大量にある、洋服や靴、CDや本、雑貨や家具。妻はいろんなものをコレクションするのが好きな人だった。
これらを、数年かけて少しずつ片付けていくのも仕事のひとつだ。
なにかと忙しいのだ。
忙しいとはいえ、人間、飯は食わねばならぬ。
掃除は少しくらいサボっても、誰も文句を言わぬが、飯の用意をしないと文句を言う家族がいる。
だから飯は作る。
昔から飯を作るのは嫌いではなかったが、とくに凝ったものを作るということはなかった。食えれば良い。そんな感じ。
しかし、自分以外に食べてくれる人がいると、それは今までとは別の仕事になった。
ワンパターンにならないようにするし、少しずつ味にも工夫をするようになる。ちょっとは見た目も気にするようになる。
クリエーションというには大げさすぎるけれど、ほんの少しでもアレンジしながら新たなものを作ってみる。
元々、そういうことが好きなのだろう。
ジャンルでいえば、イタリアンが好きだ。もちろん和食も中華も好きだけど。
フレンチは…よくわからない。あんまり食べることもないし。
ただ、イタリアンファッションはそんなに好きではない。(ファクトリーのクオリティは高いので、MADE IN ITALYは好きだけど)
どうもあの「コテコテ」で「イケイケ」の感じが得意ではないのだ。おそらく、自分には似合わないからだろう。
ファッションに関しては、フレンチのほうが好みだ。
古いものを取り入れたり、違うジャンルのものを組み合わせてみたり…そういった工夫を楽しむのが、自分には合っている。
もしかして、料理もさらに突きつめていけばフレンチに辿りつくのだろうか。
いや、自分がそこまですることはないだろう。ジャイゴワラシだし。
このところ、いつも大量のトマトが冷蔵庫にあるので、毎日のようにトマトのスープを作っていた。
少しずつアレンジしながら、玉葱を入れたり、ベーコンを入れたり、玉子を入れたり…
でも、さすがに飽きてきたので、基本にかえってサラダを作る。
トマトは細かく切って、キャベツは手で揉み解しながらバラバラにし、モッツァレラチーズも小さな角切りに。
シーザー的な食感を出すために、残っていたチーズおかきを粉々にしてふりかけてみる。
これのどこが「イタリアン」なのか?と言われれば、返す答えはない。
あえて言えば、自己流で作ったドレッシングソースがそれっぽかったから。
たっぷりのオリーブオイルをベースに、醤油、胡椒、ニンニク粉、バジル、そして白ワインで整える。
これをサラダの上からかけてあげると、あら不思議。
ジャイゴワラシには、十分イタリアンに見えるのであった。
そしてお供のBGMもイタリアンで。
MADRIGAL(マドリガル)とは、ルネサンス期に流行った世俗曲で、日本でいえば民謡なような曲。
ルネサンスといえば宗教曲が多いけれど、こういったマドリガルはノリがあるので、一杯やりながらイタリアンを料理するにはもってこいだ。
さて、そういえば今晩のメインメニューを書いていなかった。
今晩のメインは…
「生姜焼き」でした。
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