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2017-12-19

「拝見させていただきます」は、間違いか?


ここ数年、写真をやり始めてから「写真展」などに顔を出すことが多くなりました。

自分自身もこの3年で4回ほど「写真展」や「作品展」に参加しました。また娘が合唱部に入っているので、いろいろな演奏会を聴きに行く機会も増えました。

 

 

若い頃から、写真やアートは好きだったので、気になる作品展があればよく観に行ったし、歌もやっていたので、知り合いの定期演奏会やコンクールなどを聞きに行くことも多かった。

でも昔と少しだけ違うのが、今では「展覧会」や「演奏会」の情報の多くは、インターネットから得るということ。ネット環境のなかった時代だと、そういった情報源は、クチコミだったり、街のポスターだったり、お店に置いているフライヤーだったり。

もちろん、出品者や演奏者に仲のいい友達がいる場合は、直接メールをいただくこともあったけど、昨今のように老いも若きもスマホを持ってたわけではないので、やはり情報が欲しい場合は自分から探す必要もあったように思います。

空いた時間があれば、スマホ片手に誰もがピコピコやる時代。情報の収集もものの数秒。いや便利になったものです。便利になった分だけ、情報も多く、いろんな「会」のお誘いも多くなります。「SNS」のツールを使って、多種多様のメッセージが毎日のように届くようになりました。

不特定多数の人に拡散された「ご招待」はスルーしてしまうことも多いと思います。正直、すべてに付き合っていたら大変。それでもやはり、友達や知り合いからのメッセージだったりすると、返事は欠かせません。

仲の良い友達なら「了解!絶対見に行くよ~!」ってなかんじでOKだと思うのですが、先輩や目上の方だとそうもいかない。

「先輩の作品展!必ず、伺います!」とか「〇〇先生の写真展でしたら是非、拝見したいです」といった返事になるでしょう。

会話や電話のやりとりでは、「伺います」や「おじゃまします」が多かった気がしますが、メッセージなどの所謂「書き言葉」になると、この「拝見」を使うことが多くなりました。演奏会の場合はもちろん「拝聴」です。

インターネットを見ていると、他人同士のメッセージのやりとりを見ることも多くなりました。自分のやりとりではなく、他人同士のやりとりが「まる見え」って何だか怖いですね。でもそういう時代です。

 

 

そこで、よく使われるのが「拝見させていただきます」です。

もちろん「是非、拝聴させていただきます」も、です。この言い方、使い方。日頃からなんとなく気になっている方いると思います。自分もそうでした。

「させていただきます症候群」という言葉がありました。

おそらくは、相手と話すときに「自分がへりくだったほうが話しやすい」「相手に嫌われたくない」という気持ちが強すぎて、どんなときでもこの「させていただきます」を連発してしまうこと。のようです。

(ただ、この「症候群」という言葉の使われ方も、本来の医学的な使われ方から全く違う方向へ行ってしまっているようですが…)

特にテレビなどのバラエティやトーク番組で、若手の芸人やタレントが使っていますね。「昨年、あの番組に出させていただいて…」というのが一番多いと思う。

喋る本人がへりくだっているので、聞いててもそんな変な感じはしないし、今ではその言い回しが普通になり耳が慣れてしまった気がします。

テレビやネット、多くのメディアがこぞって「させていただきます」を連発するので、誰もが日頃から言う「言葉」になってしまいました。

なので、「写真展」を観に行くときも「是非、拝見させていただきます」

「演奏会」を聴きに行くとき「是非とも、拝聴させていただきます」

タイトルにもありますが、この使い方は合っているのか?間違いなのか?つまりは、これって「二重敬語」なのかどうか?ってことなのですが。

実は、かなり前に気になって、グーグル先生に訊いてみたことがあったのです。そのときの答えは…「×」でした。「これは二重敬語なので、『拝見します』が正しいです」というものでした。

それ以来、私はずーっと「拝見します」「拝聴します」を使っています。

それでもやっぱり、「拝見させていただきます」を目にすることが多いのです。

「拝見」「拝聴」には、すでに相手を敬う意味が含まれているのですが、単に「拝見します!」というと、妙にぶっきらぼうで丁寧さに欠けるように感じる人もいるかもしれません。

なので、どちらかといえば若い人、この「拝見」を使い慣れてない人が「拝見させていただきます」を使っていることが多いようです。

なんとなく教養のありそうな年配の方は「拝見します」と言っているような…確かに年配の方が言うと、重みがあってカッコいいですね。

 

 

先日、自分にとって写真の大先輩にあたる方の「写真展」がありました。

そのとき、メッセージを差し上げたのですが、「拝見しました」を思わず「拝見させていただきました」と書きそうになり、「オッと、ヤバい」と思ったのですが、ふと、再びグーグル先生に訊いてみようと思いました。

ネット検索というものは、ほんとに便利なもので、なんとなく疑問に思うことがあればすぐに調べることができますから、一度調べたことでも特段面倒くさくないのです。

世の中には、同じようなことを考えている人間がとても多いらしく、「この件」に関しても、たくさん出てきます。

そしてその中に、ある答えを見つけました。

「拝見させていただきます」は….「〇」…。です。

なんと!この「拝見させていただきます」の使い方は正しかったというのか?

 

少々動揺しながらその記事を読みました。

これは、二重敬語ではありません。二重敬語は、一つの言葉に同じ種類の敬語を重ねて使うことです。「拝見させていただきたい」は、「見せて」と「もらいたい」という二つの言葉をそれぞれ謙譲語「拝見させて」、謙譲語「いただきた」にしてますから、二重敬語ではありません。二重敬語とは例えば、「食べる」という一つの言葉に尊敬語「召し上がる」と尊敬語「れる」を重ねて使って「召し上がられる」とする類のことです。
「~させていただく」が問題になっているのは別な理由です。もともと「~させていただく」は、相手や第三者の許しを得て~をし、それにより何らかの恩恵を受ける場合に使う言葉なのに、そうではない場合にもやたらに用いることが問題視されているのです。その点においてもご質問の文は、写真を見せてもらうことについて相手の許しを請うているのですから、「拝見させていただきたい」は大変適切な表現です。「よろしければお写真を拝見したいです」よりも「よろしければお写真を拝見させていただきたいです」 のほうが優ります。「~させていただく」を用いるにふさわしい典型的なケースです。

 

ふ~む。なるほど。

他の記事も検索してみましたが、同様に「間違いではない」というものがありました。簡単に言うと、これは「二重敬語」ではなく「敬語連結」というらしいのです。

「見させて」→「拝見させて」と「もらう」→「いただく」とそれぞれが敬語になっただけらしい。

確かにクドい形だとは思うが、「敬語連結」であって「二重敬語」ではないのだそうです。そうはいうものの、いろいろ検索してみると、相変わらず「それは誤用…」というのも出てくる。

う~む。

来月また、知り合いの演奏会や写真展があるのですが…「拝見させていただきます!」とメッセージを打てない自分が、まだここにいました。

少し、考えさせていただきます。

 

 


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