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2020-11-25

「誤用」の豆知識 / 『あの店は敷居が高い』は、現在でも誤用なのか?


 

『おばけやさい』という新鮮な野菜を売る店を始めた。

場所は自宅の敷地内で、店主は家内。宣伝もしていなかったし、限られたものしか売ってないので、お客さんが次から次へとやってくるわけでもない。

暇にしていることが多いと思うので、良ければ、ちょこっとでもお店を覗いてみてください。

 

お店自体はレンタルのコンテナで、そんなに洒落たものではないが、中の売り場は拘った雰囲気にしたようだ。ただ、野菜を売るのだから来た人が気軽に入れる感じの方が良いと思った。

「お洒落にするのは良いと思うけど、あまり敷居が高い感じにはしないほうがイイんじゃない?」

「ちょっと。『敷居が高い』って本来そういう意味で使う言葉じゃないでしょ」

と言われ、そこからお店のことはそっちのけで、「言葉の誤用」について喧々諤々(これも誤用らしい)の議論となってしまった。

 

「エルメスはちょっと敷居が高くて…」は間違い?

 

 

若い頃は、言葉の使い方についてそんなに神経質になることはなかった。社会人になれば、多少の敬語は使えないといけないが、日々の生活において困ることはほとんどなかった。

しかしここ10年ほどの間で、言葉の使い方について何かと議論されたり、記事になったりということを見聞きするようになった。それは明らかに、誰もがスマホを持つようになったこと、そしてそれによるSNSの普及が影響していると思う。

「他人と話す」だけではなく、書き言葉で「他人とコミュニケーションをとる」ことが圧倒的に増えたので、言葉の使い方の間違い=「誤用」が目視的にわかりやすくなってしまった。

一昔前なら、例えば「これで今回の分は相殺(そうさつ)になるね」と相手から言われたときに、(それって相殺(そうさい)でしょ)と思っても、指摘せずに流してしまう…ということもあった。

だが、書き言葉だと文字として残るし、ネットであれば不特定多数の人に読まれるわけだし、なるべくなら間違った使い方は直したほうが良い。

偉そうなことを書いているが、自分自身がこんなブログを書き始めて以来(なんと言葉の使い方や読み方を誤って覚えていたのだろう…)ということが、しょっちゅうだった。

 

 

 

「言葉の誤用」にもいろいろ。

「相殺」のように読み方を間違うもの。代替(○だいたい。×だいがえ)、凡例(○はんれい。×ぼんれい)、一段落(○いちだんらく。×ひとだんらく)、などなど。

早急(さっきゅう)、貼付(ちょうふ)、他人事(ひとごと)などもあるが、これらは、そうきゅう、てんぷ、たにんごと、という読み方が定着しつつあり、もはや誤用とは言われないようだ。

実際、会社のスタッフに「これ、ちょうふしてメールお願いね」と言っても「は?」と聞き返されそうだし、それ以前に自分がそんな読み方をしたことはない。

 

そして書き方を間違うもの。これは耳で覚えているから、会話で間違いが起きることはないが、文字に書き起こしたときに(アレ!?)となる。

先日、自分であったのが、「泥仕合」だ。泥んこまみれになって試合をするイメージがあるから「泥試合」かと思っていた。

「ちょっとしたことがから始まった二人の言い争いは、泥じあいの様相を呈してきた」は「泥仕合」なのだそうだ。(ただし、内容のひどい試合は泥試合だとか…難しい)

 


最も「誤用」が目立つようになったのが「言葉・慣用句の使い方における誤用」である。会話の中でも間違いもあれば、WEB中の文章で起こることも多い。

間違いがWEB上に残ると「はて?」と思い検索する人もたくさんいるし、中にはガッツリ指摘してくる人もいる。おかげでWEB上には「誤用」に関するサイトがごまんと存在する。(五万と巨万の説があり)

匿名で他人の間違いを指摘できる昨今。つまりは、「使い方の間違いが増えた」というよりも「間違いを指摘する人が増えた」から、「誤用」が脚光を浴びてきたのかもしれない。

 

最初に登場した『敷居が高い』だが、これも間違った使い方の代表例として、しばしば登場する。

本来の意味・使い方は「不義理・不面目なことなどがあって、その人の家に行きにくい」であって、(あの店は高級そうだから、気軽に行きにくいなあ〜)というときに使うのは「誤用」なのだ。

自分自身も、いろんな「誤用のサイト」を読んだことがあるので、この間違いについては知っていたが、ついつい使ってしまったのである。

では、知っているのに何故「ついつい使ってしまうのか」

それはやはり、世間一般的にそのような使われ方をしている(と錯覚している)から。その場で(ん?今これを使ってもいいか?)と考えずに、仮に考えたとしても(まあイイっか〜)と使っているのだろう。

現に、『2017年12月に発売された広辞苑の第七版には「高級だったり格が高かったり思えて、その家・お店に入りにくい」という表現が付け加えられた』のだそうだ!

「広辞苑にも載ってるし!」とムキになって言うと、「それはそれだけど、自分の年齢を考えて大人の使い方をするべき」と言われ、返す言葉がなかった。

時代とともに言葉の持つ意味も変化する…ということはよく言われるが、それでも「話す相手」「時と場所」によって使い分けが必要なのかもしれない。

 

じぃーーーーー

 

 

【「拝見させていただきます」は、間違いか?】というタイトルのブログを3年前に書いていた。

こんな語学に弱い私が書いた稚拙記事であっても、けっこうなアクセスがある。それだけ日本語の使い方について、日頃から疑問を持っている人が多いのだろう。

ただ、「言葉の誤用」について、詳細に書いている人の記事は、私のように「ちょこちょこっとググって書いてる」まがいモノではない。やはり知識に裏付けられて内容にも重みがある。その分、書いてあることが難しい。

 

だから「自分もついつい間違えて使ってしまうのです」くらいの内容で、この「誤用の豆知識シリーズ」を少しだけ軽〜く書いてみようと思います。豆ですから。

こんなこと書くと、あのオッさんに「御用だ!御用だ!」って言われそう〜

 

 


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