鉱山の町「小坂」の名物『 かつラーメン 』

それにしても、小坂の歴史的建築には驚いた。これだけの広大な敷地を整備し、これだけの建物を復元建築するとは、町としても相当チカラを入れた事業であることは容易に想像できる。
そして、それを実現させた方々はかなりの実力の持ち主なのだろう。しかし、これが数年後、数十年後にどうなっているのかは誰にもわからない。建物を維持・管理しながら、観光施設として長い間支持されるためには、ハードだけではなくソフトのデザインも必要になる。
自分の住む街「弘前」もまた似たような側面を持っている。来春開館予定の「弘前現代美術館(仮称)」も然り、「前川建築」も然り。
そんな小難しいことを考えながらペダルを廻していたら、腹が減っていることに気づいた。
気づいたなどと書いているが、当然のことながらツーリングで遠くの街を訪れるときは、「どこの店で何を食べるか」をしっかりチェックするのが常。
そして、ググってみて驚いた。山間にある歴史的建築にも驚いたが、鉱山の町「小坂」の名物はなんと『 かつラーメン 』なのだそうだ。
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『かつラーメン』は、昭和40〜50年頃、小坂町七夕祭の山車作りに携わる人々のリクエストから誕生したもので、醤油ラーメンに卵とじのカツを乗せたものが発祥である。その後、町内の数店舗にて裏メニューとして提供されて来た。
口コミでその存在が広がり、2013年に小坂町内の飲食店5店舗で「こさか
まちかつらーめんBoo会」を設立し、通常メニューとして提供が始まった。
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と、ググったら書いてあった。
ラーメンにトンカツをトッピングする、と言う大雑把なルールらしく、提供している店はラーメン屋もあれば中華料理屋もあるし、とんかつ屋もあるようだ。
街の中心部を走る街道沿いにほとんどのお店があるらしいのだが、どの店がいいのか見当がつかない。
ラーメンが美味しいほうがいいのか、かつが美味しいほうがいいのか。もちろん両方美味しいほうがいいのだが、なんとなくとんかつ屋さんが提供する『かつラーメン』が美味しいような気がして、「とんかつ栗平」という店に行ってみることにした。

「とんかつ栗平」は、鉱山資料館からすぐのところにあった。隣に中華料理屋さんがあり、そこでも『かつラーメン』を提供しているようだった。
店の入り口近くにロードを立てかけて、中に入った。意外にも客は自分一人だった。とんかつ屋だけに、メニューはとんかつが多いのかなと思ったが、ラーメンを始めいろいろある。
しかし今回は『かつラーメン』を食べると決めてきたので、『かつラーメン』一択である…が、『カツカレーラーメン』というのもあるではないか。しかも値段は同じ800円。
迷ったが、やはりここは基本の『かつラーメン』にしよう。基本?…というのもよくわからないが。
そもそも、何故ラーメンに「かつ」を入れたのだろうか。「食べたボリュームとカロリーなどを考えると、鉱山で肉体労働している方々に好んで食べられた」という説もあるし、上記の「山車作りの若者のリクエストから始まった」という説もあり…真偽のほどは定かではない。
「お待ちどうさま〜」
と、カウンター席の前に『かつラーメン』がドンと登場した。

なるほど。ラーメンの上に「かつ」が乗っている。しかし、ここのは卵とじではなかった。シンプルに「とんかつ」が乗っている。
最初のオリジナルと言われているのは、「奈良岡屋」さんという日本料理店が出した卵とじの『かつラーメン』らしい。そちらは、また次回に食べてみよう。(たぶん来る機会はないかもだけど)
まずはラーメンをいただく。スープはごく普通の醤油味。麺もごく普通のちぢれ麺。全体的な味は、まあごく普通の醤油ラーメンといった感じか。
そして肝心の「かつ」の方はどうかといえば、これが少し予想と違っていた。カリッとした「とんかつ」が乗っていると思っていたのだが、衣もしっかりとスープに浸っていて全体にしっとりとしているのだ。
一口いただく。もちろんカリッとはしていない。しかし美味い。「かつ」そのものの厚みがしっかりとある。どうやら「桃豚」という地元の豚を「かつ」として使うのがルール?らしく、その「桃豚」の脂が甘くて美味いのだそうだ。
ラーメンと「かつ」を交互に食べた。ラーメンは普通。「かつ」は美味い。ラーメンは普通。「かつ」は美味い。
美味しく食べることはできたが、最終的に(なぜラーメンに「かつ」が乗っているのか?)はわからなかった。正直言えば、美味しい「かつ」だけに、この「とんかつ」をおかずにご飯を食べ、スープ代わりに小ラーメンを食べたほうがいいのでは?などと思った…
が、ご当地B級グルメにそんな「正しそうに思える意見」など、いらないのだ。「つゆ焼きそば」も「味噌カレー牛乳ラーメン」も、皆そうなのだ。
でも考えてみたら、どれもあまり食べないな…自分。かといってA級グルメ人間であるわけでもない。もしかして、C級?
そんなことを考えながら、膨れて丸くなった腹を抱え、再び私はペダルを回し始めた。果たしてこの膨れた腹で、あの「坂梨峠」を上れるのだろうか。
(次回へ続く→ 津軽の秘湯『古遠部温泉』)
B級グルメ好きの方は是非! 「とんかつ 栗平」の店舗情報⇩⇩
『とんかつ 栗平』
秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字栗平11-29 (地図)
電話:0186-29-3461
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