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2020-03-30

ツール・ド・ツガル / 「つがる地球村温泉」


 

しばらくの間、モノトーンの空と海を眺めていたが、身体が冷え始めていることに気づき、私は再びロードバイクを走らせた。

鰺ヶ沢の海から吹き付ける風に煽られながら、ペダルを回す。鰺ヶ沢の海が見えなくなった頃、国道の向こうに人だかりが見えた。わさおのところだ。

例のウィルスの影響で、どこも人出がないかと思いきや、ここは相変わらずの人気のようだ。私は人だかりの脇を走り抜けた。

 

「道の駅もりた アーストップ」までは10kmほど。道はほぼ平坦。若干の追い風もあったのだろうか、脚は軽快に回ってくれた。

道の駅を過ぎ、右折して山側に向かうと、急勾配の坂がある。しかし距離は短い。最後の2kmを必死に回すと、朝見た光景が再び目の前に現れた。

 

「つがる地球村」は、野外円形劇場を備えることでも知られる複合レジャー施設。かつては、けっこう有名なアーティストもここでライブをやったらしい。

コテージや「藤山邸」という宿泊施設も備えているが、多くの人に人気なのが「つがる地球村温泉」である。

私も年に2~3回ほど、娘を連れて一緒に来たものだった。娘はここの露天風呂が好きだった。

さすがに高学年になってからは、一緒に男湯に入るのが恥ずかしくなったらしい。なので、私自身も久しぶりの訪問となった。

 

「つがる地球村温泉」

 

入口を入るとすぐに受付があり、そこで料金を払う。

500円は少し高めだが、ここはシャンプーやボディソープを備えている。タオルひとつあればOKで、故にふらっと立ち寄れるのも良い。

意外にも混んでいた。いや、いつも通りの光景なのかもしれないが、このご時世、温泉や銭湯にあまりお客さんは来ていないのかなと思ったが、そうではなかった。

 

ここの温泉は薄茶色に濁っている。そしてトロッと少しぬめりがある。

メインの大きな湯船は少し熱めなので、露天の方でゆっくりと浸かることにした。

露天は全てを木で覆われていて、4人ほどが浸かれる大きさだ。湯は少しぬるめ。3月の外気はまだまだひんやりしていて、それがまた気持ち良い。

 

露天。外の景色が見れたら、なお良しなのだが。

 

それにしても今の日本、いや世界が、なんとも形容できない世の中になっている。

「感染拡大を防ぐために、外出を自粛しよう」 「しかしこのままでは経済が破綻するので、どうにかしよう」

「じゃあ『お肉券』を発行しよう」 「アホか!『現金』の支給しかないだろ!」

世の誰もが経験したことのない「自然災害」を目の前にして、誰もが不安になり、うろたえる。自分の心の中にも、モヤモヤと何か得体の知れないものが常にいる。

だが、これはまぎれもない現実であって、その現実をしっかりと受け入れながらも、冷静に自分たちができることをするしかない。

 

ほんの少しの間だったが、私は現実を忘れようと、薄茶色に濁る温泉に顔の半分をうずめた。

 

温泉情報 ↓↓↓

 

つがる地球村温泉

住所:つがる市森田町床舞藤山244 (MAP

立寄時間:6:00~22:00 定休日:無休

 


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