激坂を登坂したら、ボリュームたっぷりのカツカレーを / 大鰐「さかえ食堂」
激坂の頂上で遠くに見える岩木山を眺めていた。
それにしても、よくここまで上ってきたものだ。今の自分のチカラ、体重、を考えれば、正直、上りきるのは無理だと思っていた。
でも、なんとか上れた。上ってみて改めて、もう少し身体を絞ろうと思った。脚力や心肺を向上させるよりも、身体を絞ることの方が、軽快に走るための条件だと再認識した。
コロナウィルスの影響だろうか、ワイナリーホテルは休業中。営業していたとしても、この格好でホテルのランチを食べることはない。
私は素直にロードにまたがり、上ってきたばかりの激坂を下ることにした。
ロードバイクで坂を下るのは気持ちの良いイメージがあるが、それは緩やかな坂の話だ。嶽温泉から百沢まで下る路は、斜度が3〜5%ほどで時速50kmほどで爽快に下ることができる。
しかしロイヤル並みの激坂になるとそうはいかない。ヘタにスピードが出てしまうと制御できなくなる。
しかも路は九十九折りの箇所も多く、路肩に砂や小石が溜まっている。万が一落車すればそのまま崖下へ転がっていくだろう。
前後のブレーキをかわるがわる握りながら、ゆっくり下りる。しかし体重がこんなだからスピードが勝手に出てしまう。やっぱり、身体を絞らなくてはならない。
急な下り坂で、体勢がキツい。前方をしっかりと視認しなくてはならないので首を起こしたままで走る。首の後ろ側がガチガチに固くなっているのがわかる。
まったく、上りがキツいのはわかるが、これほど下がキツい坂も珍しい。
それでも1時間近くもかけて上った坂を、ほんの数分で下りきってしまった。
リフト乗り場を過ぎると、向こうに食堂の看板が見えた。最初の激坂の途中にあった「さかえ食堂」だ。
(そういや、上りきった自分への褒美は、ここのカツカレーにしようと決めてたんだっけ)
店の看板が近づくにつれ、少しずつブレーキを強めて、食堂の敷地にロードを滑り込ませた。
店の奥にサイクルラックがある。が、とりあえず店の前で記念撮影。
サイクルラックにロードを立てかけると、窓から店内が見えた。男の客が二人いた。
店内に入るとすぐに、ちょうど二人の客の目の前に注文した品が置かれたところだった。二人とも「カツカレー」だった。
私も迷わずに「カツカレーひとつ、お願いします!」と言った。
じつは、3年前にも同じようなブログを書いていた(ツール・ド・ツガル 「さかえ食堂のカツカレー」)
でもグルメブログを書いているわけでないし、日記みたいなものだから丸かぶりしてもいいだろう。それにしても3年前か… 坂を上るのが厳しくなるのも頷けるというものだ。
先客は、あっという間に「カツカレー」を平らげて、「どうも〜」と店を出て行った。常連なのだろう。
私は、テレビの中で早口にまくし立てている宮根誠司をボーっと見ていたが、いきなり「お待ちどうさま〜」と、あの「カツカレー」が目の前に置かれた。
前にも書いたかもしれないが、ここの「カツカレー」の特徴は、肝心のカツが見えないのだ。それは、カツが小さいからではない。ルーがた〜んまりとカツの上から豪快にかけられているからだ。
ご飯はめちゃ多いわけではなく、ちょうど良い量なのだが、ボリュームたっぷりのカツに、さらにボリュームたっぷり(具もたっぷり)のルーがかけられ、見た目は「大盛りカツカレー」に変身している。
がぶり。うん、やはりウメーーー!
サクサクの分厚いカツ。ドロリとした熟成感のあるカレールー。エネルギーを欲している身体が、ワナワナと震えながら喜んでいるのがわかった。
「ごちそうさま〜」「ツーリングで来た人は50円引きで、650円です!」
これもまたサイクリストにとっては嬉しいサービス。だから何度も訪れて、何度も同じメニューを頼んでしまう。そんな、激坂の途中にある「さかえ食堂」は最高です。
この「カツカレー」を自分への褒美として、いつかまた、この激坂に挑戦してみよう!
超満腹になった自分の身体は、すでに「身体を絞る」という目標を激坂の上に置いてきたらしい。
さかえ食堂
青森県南津軽郡大鰐町虹貝清川113-264
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