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2021-11-26

ツール・ド・ツガル / 『森田温泉』


 

 

「ツール・ド・ツガル」は、

ロードバイクで津軽路を走りながら津軽の風景を写真に収め、津軽の食を味わい、津軽の温泉を楽しむという、まさに自分の趣味を凝縮したツーリング(旅)だ。

昨年の秋冬は骨折のため、楽しめたのは温泉での湯治くらいだったが、今年は以前のような「ツール・ド・ツガル」を再開できるのではないかと思っていた。

 

しかし、この夏、妻が旅立った。

それ以来、私のツーリングは楽しむというよりも、妻との思い出を振り返る追悼ライドとなった。

「ライド&フォト&グルメ&温泉」というテンコ盛りツーリングは、それなりに準備がいる。が、とてもそこまでの気力は起きなかった。

 

かつての日常が戻ることはないが、まるっきり新しい日常を作り上げていくというのも、到底できるものではない。

やはり、これまでの自分のライフスタイルを少しずつ踏襲していくことで、自然と新しい日常が出来上がっていくのだろう。

 

先日の追悼ライドで金木を走った後、初めて訪れた木造の「大番食堂」で美味しいラーメンを食べた。

ロングライドとは言い難かったけれど、あとは温泉に浸かれば、以前のようなツーリングの再開となる。車には、いつ思い立ってもいいように風呂道具を積んでおいた。

 

 

 

生まれ育った西津軽だったが、慣れ親しんだ温泉は「山海荘」と「地球村」くらい。

木造や五所川原には結構温泉が点在しているが、平野にあるせいか、どの温泉もスーパー銭湯的に思え、あまり足が向かなかったのは事実だった。

 

そんな西津軽にあって、すっと気になっていた温泉があった。

それが「森田温泉」だった。

地図で見ると森田の集落のど真ん中にある。しかし、車で通ってもまともに目にしたことはなかった。

だがネットで検索してみると、温泉の様子は他の温泉と趣を異にしている。めちゃ鄙びている。鄙びているからといって、山奥にある情緒ある温泉とはまた違う。

私は、「大番」でマニアックなラーメンを食した後、さらにマニアックな温泉「森田温泉」を目指した。

 

 

「ごめんください。温泉、やってますか?」

玄関を開けると、左手の居間らしき部屋に人の気配があって、やはりそちらの方から「は~い」と年配の女性の声があった。

「やってますよ~」 「あ、そうですか!じゃあ、車から風呂道具持ってきます」

私は車に戻り、風呂道具と着替えを持ってきた。おばさんに料金(300円だったかな)を渡す。

「そっちのドアが男湯です。せめ(狭い)はんでの~」と、おばさんは笑いながら居間へ消えていった。

 

森田温泉

 

玄関に「森田温泉」と書かれていなければ、田舎の普通の民家にしか見えない外観。

玄関に入れば、すぐ目の前の廊下がある。廊下に上がり、すぐ右手のドアは、まるで子供部屋にでも入る感覚だが、そのドアを開けると男湯があった。

他人の家の風呂に入りに来た感覚。この感覚はこれまでなかったかもしれない。

 

 

中に入ると誰もいない。

一目見て、(これは絶対いい湯だ!)と確信した。

とにかく、これでもかとドバドバ溢れ出る源泉の湯量が良い。お湯はほぼ無色で、ほんのりした塩気と炭酸味、金気臭あり。ツルツル感もあり。

決して広くはない浴室だけに温泉の臭いが充満していて、目を瞑ってどっぷりと浸かっていると、山奥の秘湯にいるような感覚。

源泉ドバドバだけれど、そんなに熱くはない。温めに長く浸かるのが好きな自分には、最高の湯だな。

 

 

 

ドバドバ溢れ出る湯のそばに、関係者以外立入禁止の札が!なかなか笑える。

カランは3つで、源泉をそのまま利用。まあ、髪や身体を洗うというよりは、ゆったりと湯に浸かる…それだけで満足な温泉という感じだった。

 

「どうも〜」と言うと「は〜い、どうも〜」と居間の方から声が返ってきた。

友達のウチから帰るような、このほんわりした気持ち。温かくなったのは身体だけではなかったようだ。

 

『 森田温泉 』

つがる市森田町森田字月見野110-2

営業時間 12:00〜20:30 (たぶん)

 

 

 


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