空虚な時間 ② / 『佐藤中華そば楼 by ねぎぼうず』で味噌ラーメンを食ス
山下達郎のハイトーンボイスを鳴らしながら、車を南へ走らせた。
と、カッコつけて書いたはいいが、動機は単純だ。とりあえず本能に従ってラーメンを食いにいこう。帰りには温泉に浸かってしまおう。3連休&半日を満喫するには、まず好きなことをやってしまうのが吉だ。
それにしても達郎の曲は、なんでこんなにも都会を感じさせるのだろう。「City Pop」という言葉は、40年前にはなかったけれど、津軽に暮らすジャイゴワラシにとっては、まさに「東京」を感じさせてくれる音楽だった。
達郎の曲が終わりに近づいた頃、ちょうど大館の街に入り始めた。
大館のラーメンは、煮干しが中心の津軽のそれとはちょっと違う。車で1時間ほどで行ける距離なのに、県境を越えるとこうも変わるのだろうか。それだけに、大館のラーメンを食べに行くのは、ちょっとした新鮮さもあるのだ。
4年前は、ロードバイクで行った。そのときに訪問したのが、「佐藤中華そば楼 by ねぎぼうず」だ。( → 大館のラーメン / 「佐藤中華そば楼 by ねぎぼうず」)
大きな総合病院の前を過ぎると、やがて白と黒の建物が見えてきた。
4年前は、「しょう油ラーメン」を食べた。津軽ではあまり食べたことのない「しょう油」だったが、少し物足りなさも感じたラーメンだった。
そのときのブログにも書いていたが、ここは「味噌ラーメン」が人気らしい。ちょっと変わった「味噌」らしいのだ。
店内に入るとすぐ食券の自動販売機がある。メニューを制覇するには、何年もかかりそうなくらい豊富なラーメンメニューだったが、迷わずに「味噌」を選ぶ。連休だし、ちょいと贅沢に「味噌チャーシュー」でいこう。
夕方17時という中途半端な時間が幸いし、店内には客がいなかった。私は窓際の席に座った。
それにしても、「ただラーメンを食うためだけに大館まで車を走らせる」というのは、空虚な時間を楽しむには良いスタートだ。
そんなたわいもないことを考えているうちに「味噌チャーシュー」がやってきた。
おお、よく食べる味噌ラーメンとはビジュアルが違う。
炒められた野菜も見当たらず、ネギと胡麻がスープを覆う。メンマは白っぽい。
スープを一口。
(お…..なんとこれは….ほのかに酸っぱいぞ)
次は麺を一口。
(お….この細めのストレートな麺は….博多のとんこつっぽいな)
津軽で食べる「こってりと濃い味の味噌」とは全く違う味。
「熱々の味噌」をじっくり味わうというよりは、するする〜と入っていくような感じ。チャーシューもとんこつラーメンによくあるような、薄いチャーシューだ。
もはや「味噌ラーメン」を食べている感覚がなかった。
替え玉が待ってるのでは…というくらいの勢いで一気に食べた。そしてスープを一気に飲み干した。
「味噌ラーメン」を食べたという充実感はなかったが、「食べたことのない美味しいラーメン」を堪能したという充実感があった。
またいつか食べたくなるだろうな、こりや。
空虚な時間は、上々のスタートを切った。
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