空虚な時間 ⑦ / 平川市尾上の『大和温泉』でレトロを満喫ス
3日間と半日の「空虚な時間旅」も、連日のグルメ&温泉と、充実した時間を過ごしてしまい、危機感を感じている。
3日目はだらっと過ごそう…そう決めていたわけではないが、目が覚めたらすでに11時近かった。いい出足だ。
珈琲を飲んでいたら娘も起きてきた。
「今日はどうする?」「ん?今日、塾ある」「え?そうだっけ?」
週に一日だけ塾に通っていた。苦手な数学だけ。でも最近は数学の調子がいいらしい。
さて、自分はどうしよう。
二日続けて温泉行ったんなら、今日も行ってしまおうか。よし、そうしよう。
一昨日は南、昨日は北。じゃあ、今日は東か。東なら黒石温泉郷か、平賀のアップルランドか唐竹か。
グーグルマップで温泉マークを探す。黒石と平賀の間に、聞いたことのない温泉を見つけた。
「ちょっと、温泉行ってくるわ」
娘にそう言って、私は車を東に走らせた。
20〜30分ほどのドライブ。
あまりにすぐ着くのも味気ないので、黒石周りで行くことにする。
田舎館駅の踏切で一時停止したら、いきなり踏切が鳴り出した。
どうやら、温泉だけでなく撮り鉄も二日続けて体験できそうだ。今回はスマホだけど。
ハンドルにスマホを固定していたら、黒石方面から弘南鉄道の銀色の列車がやってきた。
少し西に傾きかけた陽を浴びて、シルバーの車体が通り過ぎていく。
津軽鉄道ほどではないが、弘南鉄道の車体もなかなかレトロモダンでいいな。
黒石からまっすぐに一本道を走ると、数分で尾上に着いた。
尾上といえば、盛美園や猿賀神社など、歴史を感じさせる小さな街だが、温泉が目的で訪れたことはなかった。
街中のくねくねした細い道を走ると、やがて弘南鉄道の尾上駅に出る。
温泉はその駅の目の前にあった。
『大和温泉』
見るからにレトロな佇まい。尾上の街中にこんな温泉があったなんて、まるで知らなかった。
館内もレトロな趣だ。アイスのケースや懐かしのマッサージ機。
しかし、ただ古いだけではなく、古さを生かした温泉として発信しているようだ。
そういえば、外の暖簾もお洒落な感じだった。
入り口のすぐ目の前に番台があって、「いらっしゃいませ〜こんにちは」とご主人のやさしそうな挨拶。
私は料金を払おうと思い、ポケットに手を入れると…ない。入浴料のために用意しておいた500円玉がない。
どうやら車に忘れてきたようだ。私は再び駐車場に戻った。(ヤレヤレ…)
入浴料を払い、中に入るとけっこう人がいた。地元では人気なのだろう。
服を全て脱いでカゴに入れる。さて、いざ浴場へと思ったら…ない。
風呂道具一式がないのだ。なんと、風呂道具一式もまた車に置き忘れてきていた。(ナンテコッタ…)
タオルや着替えを入れたエコバッグだけは持ってきていた。
(取りに戻ろうか…)と一瞬思ったが、すでにフルチン状態だ。
とりあえずバスタオルと手ぬぐいはある。温泉に浸かりさえすれば、目的は達成だ。ひたすら風呂に浸かろう。
まさに「空虚な時間旅」にピッタリではないか。
浴場はこじんまりとした街の銭湯といった感じ。(ちょっと混んでたのでスマホ撮影は無し)
真ん中に4〜5人サイズの少し小さめの浴槽があって、泡がブクブクと出ている。
その奥には、ジャグジータイプの寝湯がある。寝湯が温めだったので、そちらに先に入ることにした。
どうせシャンプーも石鹸もないのだ。湯にのんびり浸かるしかない。
しばし寝湯に浸かった後、とりあえず手ぬぐいで体を洗う。
そういえば小さかった頃は、石鹸つけずにひたすら垢コスリで、ゴシゴシと親父にやられたっけ。あれは痛かったな。
次にシャンプーをつけずに頭を洗う。シャンプーがないから、二度洗う。あまりサッパリしない。
ブクブクと泡の出ているメイン浴槽に浸かる。
ちょうど良い熱さだ。泡の感じも良い。これなら、少し長い時間使っても良さそうだ。
それにしても気持ちの良い温泉だなあ。
目の前に「超音波浴泉」と書かれてある案内板がある。いろいろな効能が書かれてあった。
「温熱作用・殺菌作用・乳化作用があります」
「ストレス解消・マッサージ効果・美白効果があります」
すげえなあ。なんでもありの温泉だ。
でも、どうせなら「ボケ防止効果」も書いといてほしかったな。
『大和温泉』
青森県平川市中佐渡南田1−2 (尾上駅 駅前)
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