空虚な時間 ⑨ / 西目屋大秋の『大白温泉』で「空虚な時間旅」を締めル
4日間にわたる「空虚な時間旅」も本日が最終日。
アンサンブルコンテスト全国大会が中止となり、無駄に過ごすことを目的に始めた「空虚な時間旅」。
美味しいラーメンを食したり、マニアックな温泉を楽しんだりと、どこが無駄なのだと自問自答する3日間であった。
最終日だけでも無駄に時間を過ごしたい。
天気も良い。ロードバイクでツーリングに出かけようか。南、北、東と出向いたから西だったら鯵ヶ沢までのツーリングか。
いやいや、そんなことをしたら大充実の4日間になってしまう。
最終日は、だらしなく、だら〜っと、やはり温泉にしよう。
方角だけはキチっと西を目指そうかな。となれば、まだ訪れたことのないあの温泉だ。
今日は風呂道具一式を忘れぬようシートの目立つところに置いて、ピンクの車を西へ走らせた。
のんびりと走っても40分ほどだろう。アルバム一枚を聴くにはちょうど良い。
自分にとってのマイアルバムのひとつでもある、佐野元春の1st アルバム「BACK TO THE STREET」を聴く。
そして、中でも最も好きな、自分にとってのマイソング「グッドタイムス&バッドタイムス」を聴く。
…………………………………………………
まともにやろうとして くじけてしまう時
この濡れた街並みが 一度に淋しくなる
Good times & Bad times 答え求めて
Good times & Bad times さがし続けて
ウィンクの数 またひとつ増えていく
………………………………………………..
(良いときもあれば、悪いときもあるけれど、でも、この街で生きていこう…)
大学時代から弘前という街で生きてきた自分にとって、いつも、少しだけポンと背中をおしてくれた歌。
Jazzyな歌のバックで響くクラシックな弦の音も好きだ。
西目屋の大秋の激坂を上る。
ヒルクライムの鍛錬にはもってこいの激坂だ。さすがに今年は未登攀。
上りきると弘前から見るのとは形の違う岩木山が見える。
そこからさらに岩木スカイラインの方へ向かって走る。
さすがにまだ雪が深い。アスファルトは路に顔を出しているが、路肩には2〜3mほどの雪壁がある。
細い路をさらに山の方へ入っていくと、その温泉はあった。
『大白温泉』
かなりの山奥に位置するが、弘前界隈に住む温泉好きにとっては十分知られた温泉だ。
自身もロードで激坂をヒィヒィ登攀し訪れたことのある場所であったが、温泉には未だ浸かったことがなかった。
ここは村営の浴場で、観光案内所も兼ねているらしい。
思った以上にきれいな施設だ。
浴場には一人だけ先客がいた。
8人ほどの大きさの内湯がひとつ。露天とサウナもあったがチェーンが張ってあり、今はやっていないらしい。
一瞬だけ熱いかなと思ったが、すぐ慣れた。
いいお湯だ。
お湯は源泉掛け流しで薄い緑色。味や匂いはほとんどなく、若干ヌルヌル感があり。
先客が上がり、一人だけになった。
湯船で大の字になる。
柔らかい午後の光が満ちている。
時間が止まっている。
「空虚な時間旅」の最後を締めるにふさわしい、最高に無駄な時間が
ゆっくりと過ぎていた。
『大白(たいはく)温泉』
青森県西目屋村白沢字白沢口106
コメントを残す