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2022-03-28

空虚な時間 ⑨ / 西目屋大秋の『大白温泉』で「空虚な時間旅」を締めル


 

4日間にわたる「空虚な時間旅」も本日が最終日。

アンサンブルコンテスト全国大会が中止となり、無駄に過ごすことを目的に始めた「空虚な時間旅」。

美味しいラーメンを食したり、マニアックな温泉を楽しんだりと、どこが無駄なのだと自問自答する3日間であった。

最終日だけでも無駄に時間を過ごしたい。

天気も良い。ロードバイクでツーリングに出かけようか。南、北、東と出向いたから西だったら鯵ヶ沢までのツーリングか。

いやいや、そんなことをしたら大充実の4日間になってしまう。

 

最終日は、だらしなく、だら〜っと、やはり温泉にしよう。

方角だけはキチっと西を目指そうかな。となれば、まだ訪れたことのないあの温泉だ。

今日は風呂道具一式を忘れぬようシートの目立つところに置いて、ピンクの車を西へ走らせた。

 

のんびりと走っても40分ほどだろう。アルバム一枚を聴くにはちょうど良い。

自分にとってのマイアルバムのひとつでもある、佐野元春の1st アルバム「BACK TO THE STREET」を聴く。

そして、中でも最も好きな、自分にとってのマイソング「グッドタイムス&バッドタイムス」を聴く。

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まともにやろうとして くじけてしまう時

この濡れた街並みが 一度に淋しくなる

Good times & Bad times  答え求めて

Good times & Bad times  さがし続けて

ウィンクの数 またひとつ増えていく

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(良いときもあれば、悪いときもあるけれど、でも、この街で生きていこう…)

大学時代から弘前という街で生きてきた自分にとって、いつも、少しだけポンと背中をおしてくれた歌。

Jazzyな歌のバックで響くクラシックな弦の音も好きだ。

 

 

西目屋の大秋の激坂を上る。

ヒルクライムの鍛錬にはもってこいの激坂だ。さすがに今年は未登攀。

上りきると弘前から見るのとは形の違う岩木山が見える。

 

そこからさらに岩木スカイラインの方へ向かって走る。

さすがにまだ雪が深い。アスファルトは路に顔を出しているが、路肩には2〜3mほどの雪壁がある。

細い路をさらに山の方へ入っていくと、その温泉はあった。

 

 

『大白温泉』

かなりの山奥に位置するが、弘前界隈に住む温泉好きにとっては十分知られた温泉だ。

自身もロードで激坂をヒィヒィ登攀し訪れたことのある場所であったが、温泉には未だ浸かったことがなかった。

 

ここは村営の浴場で、観光案内所も兼ねているらしい。

思った以上にきれいな施設だ。

 

浴場には一人だけ先客がいた。

8人ほどの大きさの内湯がひとつ。露天とサウナもあったがチェーンが張ってあり、今はやっていないらしい。

 

 

一瞬だけ熱いかなと思ったが、すぐ慣れた。

いいお湯だ。

お湯は源泉掛け流しで薄い緑色。味や匂いはほとんどなく、若干ヌルヌル感があり。

 

先客が上がり、一人だけになった。

湯船で大の字になる。

柔らかい午後の光が満ちている。

時間が止まっている。

 

「空虚な時間旅」の最後を締めるにふさわしい、最高に無駄な時間が

ゆっくりと過ぎていた。

 

『大白(たいはく)温泉』

青森県西目屋村白沢字白沢口106

 

 

 


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