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2018-10-15

【 チャレンジヒルクライムランニング岩木山 2018 】


今年も開催された変態レース【チャレンジヒルクライムランニング岩木山】。岩木山スカイラインを自分の脚のみで走るという、恐ろしいレースだ。しかも今年は8合目まで上りきり、そこからまた嶽温泉まで走り下るというトータル20kmのバケモノレースに進化していた。

主催者のKSK氏からレースの撮影依頼を受けていた。3時半に起きて外を見ると、まだ真上にオリオン座の1等星がくっきりと輝いていた。カメラとレンズを準備する。そういえば、昨年は途中でバッテリーが切れたのだった。ランナーを連写で撮るので、すぐバッテリーを消耗してしまう。予備を2個持った。

途中のコンビニでパンとおにぎりを調達して、スタート地点となる嶽温泉に向かった。夜明け前ではあるが、うっすらと岩木山のシルエットが見えていた。どうやら快晴のレースとなりそうだ。

嶽温泉に着くと、ボランティアスタッフや出場するランナーたちがすでに集まっていた。真っ暗な中にいても、ツ〜んと鼻をつく硫黄の匂いが、ここが嶽温泉だということを教えてくれる。私はKSK氏と撮影の場所について打ち合わせをした。今回は嶽温泉まで下ってきてのゴールとなることから、料金所ゲートの手前あたりで写真を撮ることにした。

撮影のロケーションを確認したかったので、一足先にスカイラインに向かった。「岩木山スカイライン」の大きな看板のところにある駐車場に車を停めた。そういえば、6月のチャリのヒルクライムに出場したときも、ここに停めたんだっけ。

車の中で望遠レンズをセットした。おそらくこのレンズしか使わないだろう。いろいろ撮ってみようと思っていても、いざランナーが見えると、あっという間に目の前を通り過ぎていく。ランナーは速いのだ。

真っ暗な外に出てみる。東の空がうっすらと赤みを帯び始めていた。この暗さでは、スタート直後の撮影は厳しいかもしれない。ISO感度を上げてもブレまくるに違いない。と、その時、何やら怪しげな声がすぐそばから聞こえた。少し喘いでいるような声だった。

私の停めた車の周りにも、十数台の車が停まっていた。どれかの車で何やらいやらしいことでもしてるのだろうか?などと勘ぐっていると、再び「ア〜ン」という声が聞こえた。しかしそれは、車ではなく少し上の方から聞こえた。視線を上の方に移すと、白んできた東の空に何匹もの猿のシルエットが浮かんでいた。

猿たちは、電線につかまりながら器用に渡り歩き、そして時折立ち止まり「ア〜ン」と叫んでいた。猿の鳴き声といえば、ロードで走っていると木々の中から「キィー!」という叫び声が、度々聞こえてくる。しかし暗闇にいる猿は「ア〜ン」と、なんとも官能的な甲高い声を発するのだった。

そんな猿たちが電線を伝い、一斉に移動し始めた。電線から電線に、電線から木の枝にと、あっという間に散ってしまったかと思うと同時に、トップ集団が目の前を駆け抜けていった。私は、彼らの後ろ姿をカメラで追ってみたが暗すぎて撮ることができなかった。「猿、たげいるから気をつけて〜」と叫ぶと「マジか〜」という声が暗闇から返ってきた。

次々と駆け抜けていくランナーたちとともに、私も少し上の方まで車で上った。すべてのランナーが走り去った後、私は車を停めて撮影ポイントを探した。やはり、できることなら岩木山をバックに入れたい。昨年は8合目付近でいろいろと動き回って撮ったが、今年は岩木山が入るよう定点で撮ることにした。

8合目まで行かずに、5kmで折り返してくる計10kmのコースもあるので、トップの人はあっという間に駆け下りてくるかもしれない。まだ薄暗い中でとりあえずの撮影位置を決める。すぐそばには、ボーリングしているのだろうか、巨大な掘削機がライトアップしながら稼働していた。

日の出とともに、次第に岩木山の姿がはっきりとしてきた。しかし、路上はまだ暗い。オートでは対応できないので、感度とシャッタースピードを設定してトップのランナーを待った。

はるか向こうの料金ゲートのところから、チィの叫び声が聞こえた。相変わらず、彼の声は選手を鼓舞してくれるようだ。その彼の声の合図とともにトップのランナーが来た。やはり今年もトップは齋藤さんだ。

大きなストライドで勇壮に走る姿は圧巻である。それにしても「齋藤」という字を書くときは、どの「サイトウ」で書けばいいのか、おそらく世の「サイトウ」さん以外の方には永遠の悩みであるに違いない。

トップのあと、何人かが私の前を駆け抜けた。しばらく間が空く。その間に周りの木々が陽を浴び始めたので、私はカメラの設定を変えた。

やがて、次々と顔馴染みのランナー達がスカイラインを駆け下りてきた。「ガンバ〜!もう少しー!」掛け声をかける。

綾香スマイル!
弘前RCの顔「トミー」
万歳が似合う田澤さん!
危機管理の鬼は自分管理にも厳しい「のんべ先輩」
セーラー服とナイスラン。我らが「アチャコ」
「シェー!」青森からチャリで駆けつけて、スカイラインを走るド変態の極み「盛さん」

最初に、「変態レース」「恐ろしいレース」「バケモノレース」と書いたが、なぜか誰もが爽やかな満面の笑みで駆け抜けていく。こんなに過酷なのになぜなのだろうか。そうか「変態レース」に出るのは「変態達」なのだった。

自分が走っているわけでもないのに、レンズの向こうの変態達から今年もチカラをいただいた。定点観測につき、おんなじような写真ばかりだったけど、選手一人ひとりにとっては、朝焼けの岩木山をバックにした思い出に残る写真になってくれることを願っている。

Facebookの画像もどうぞ!→「チャレンジヒルクライムランニング岩木山2018」


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