ツール・ド・ツガル / 『稲垣温泉 ホテル花月亭』
十三湖から真正面に岩木山を見据えながら、真っ直ぐな道をひたすら走る。(前回のブログ → 「ツール・ド・ツガル / 津軽平野 〜 十三湖」より続く)
するとポツポツと何かが顔に当たる。(ん?雨降ってきたか?)一瞬思ったが、頭上に雨雲はない。
どうやら、小さな虫のようだった。右も左も田んぼという津軽平野。目に見えぬ無数の虫が舞っているらしい。
虫が口の中に入らぬよう、口を真一文字に結んでペダルを漕いだ。く、苦しい。早くこの小さな虫と、びっしょりとかいた汗を洗い流したい。
出発地点だった「稲垣温泉」目指し、私はひたすら脚を回した。
つがる市は津軽平野のほぼ中央に位置している。山はほとんどない。しかし意外にも温泉が多く点在する。
ただ、山あいにある温泉とは違い、広い駐車場を完備し多くの人が利用できる、いわゆる銭湯的な趣のある温泉がほとんどだ。
しかし、稲垣温泉は「ホテル花月亭」という立派な宿泊施設と一体となった温泉であり、その外観も他の温泉銭湯とは趣を異にする。
それにしても、八甲田山や岩木山界隈に温泉が湧くのは、なんとなく理解できるが、なぜこんな平野のど真ん中に温泉があるのだろう。
ちょっと調べてみたら、1966年にボーリングを実施し、源泉の開発の成功したのだとか。昔から聞く温泉名ではあったが、やはり山あいの温泉に比べると歴史は浅いらしい。
日帰りの入浴だけをする場合は、ホテルの正面玄関の左側の通路を進む。そうすると浴場へと通じる玄関がある。
受付で料金を支払う。大人は400円。他の温泉銭湯よりは気持ち高めだろうか。
休憩所を通り過ぎて浴場へ向かう。客の姿はあまりない。午後2時頃という時間帯は狙い目なのかもしれない。
男湯に入ると、中には年配の方が一人しかいなかった。最近の温泉巡りはツイているようだ。
主浴槽はかなり広めで、源泉(おそらく)がドバドバと掛け流されていた。温度は程よい熱さ。泉質は山あいの温泉のような硫黄くささはなく、ほんのりと金属臭が漂い、肌がつるつるとするような泉質。
主浴槽の向こう側に露天が見えた。
外へ出る戸を開けると、大きな石で囲まれた露天風呂があり、周りには紅葉した木々。段差に気をつけながら風呂に入ると、主浴槽よりは少しだけ温い。
ツーリングで凝り固まった身体をほぐしながら、じっくりと温泉に浸かった。
露天から上がると、先客はすでにいなかった。前回の湯段温泉に続き、またもやたった一人での独占浴となった。
頭と身体を洗い流した後、再び露天風呂に浸かった。少しだけ曇ってはいたが、晩秋の空を見上げながら、ぼーっとする。
ドバドバと音のする方に目をやると、太い竹筒から源泉が流れ落ちていた。高いところから流れ落ちているので、打たせ湯にちょうど良さそうである。
打たせ湯も楽しめるなんて、最高の露天風呂ではないか。流れ落ちる源泉の下に、自分の身体を置いた。
「アちゃちゃちゃーッ!」
露天は温いが、流れ落ちる源泉はめちゃ熱いです。お気をつけください。
温泉情報↓↓↓
『稲垣温泉 ホテル花月亭』
住所:青森県つがる市稲垣町豊川宮川3-4 (地図)
電話:0173-46-2821
泉質:ナトリウム塩化物泉
日帰り入浴:13時から19時(年中無休)
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