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2023-07-22

「 草取り 」


 

土曜の昼、草取りをした。

わざわざ炎天下の中、草取りをしたのには理由があった。

 

ひとつは、雑草が伸びてきて見栄えが悪いこと。当然これが一番の理由である。

自宅の駐車場のアスファルトの隙間から、にょきにょきと雑草が伸びている。

いや、伸びているというよりも、雑草は横に横に広がっているので、にょきにょきは正しくない。わさわさ…だろうか。正しいオノマトペが思いつかない。

 

二つ目は、ここ最近運動不足が続いていて、無性に汗をかきたくなったからである。

炊事や洗濯をしては汗をかく毎日であるが、家事をして汗をかくのと、汗をかこうと思って汗をかくのでは、天地ほどの違いがある。

本当であれば、ロードバイクに乗って爽やかな汗をかくべきなのだろうが、ここ最近はどうにも暑すぎて…

草取りであれば、家事(?)と少々の運動も兼ねるので、なんとなくの言い訳も成立する。

 

そして、三つ目。

これが大事である。心を整えるためである。

心を整えるといえば、ちょっとカッコつけすぎだった。

日々、いろいろなことに気持ちが追いついていないところがあって、そんな気持ちを整理するため、とでも言えばいいだろうか。

でもそれも正直言えばカッコつけすぎであって、草取りをしている途中で思いついた後付けの言い訳である。

 

裕福でもなく財産があるわけでもないのだが、自宅の目の前には広めの駐車場がある。

車を数台停めることのできる駐車場は他に利用価値があるわけでもなく、むしろ真冬の雪かきを思うと今から体が凍える。

アスファルトが敷き詰められてはいるが、春になると、そのわずかな継ぎ目からはいろんな雑草たちが顔を出してくる。

今年の春も(ああ…草取りしなきゃ)と思っているうちに、二度ほど義母が草取りをしてくれていて、申し訳ない気持ちになった。

 

前々日からスマホのスケジュールに、土曜日は「草取り」と入れておいた。

好きなことは思い立ったその日に動けるタイプではあるが、好きではないことは予定に入れておかないといけない。

 

敷地の端の方から草取りを始める。

実は昨日、ホーマックで草取り用の新しいカマを購入していた。気合は入っていた。

しかし、いざ草取りをすると、上方にぼうぼうと生えている雑草にはカマは有効だが、地に這うように生えている雑草には使えないことがわかった。

いや使えるのではあるけれど、アスファルトの隙間にガツガツとやると、すぐに刃がボロボロになってしまう。

(そういえば、そうだったな)と、以前やった草取りを思い出し、何度も草取りをして刃がこぼれかけたカッターナイフで作業を再開した。

もちろん、カットするよりも根こそぎ抜く方がキレイになるし、後々生えづらい。しかし草の種類によってはなかなか抜けてこないものもあるのだ。

 

30分ほど作業をしただろうか。

上半身は汗でぐっしょりとなり、頭から汗が滝のように流れていた。

ちょうど前日に思いっきり髪を切っていたので、汗が気持ちよく頭皮を伝わり流れ落ちていた。

 

玄関の中に入り、一回目の休憩をとった。

保冷の効くタンブラーに入れておいた麦茶をゴクゴクと飲む。そしてそのまま廊下に大の字になった。

こうして無心になって草取りをするのはとても良い。

正確には、子どもたちに指導している歌を口ずさみながらなので無心とは言えないが、余計なことは考えなくて済む。

そして、休憩には大の字になって天井を見上げながら、日々の上手くいかないことを頭に書き出してみる。

 

誰でもきっとあると思うのだが。

仕事のこと。家族のこと。年老いた親のこと。反抗期の子どものこと。

将来のこと。お金のこと。自分のやりたいこと。自分の人生のこと。

 

すごく大問題になっているわけでもないが、少しだけ上手くいってないことが、二つとか三つとか重なると、人間はとても不安定になる。

家庭に問題はなかったのに、仕事で上手くいかないことがあると、家族に当たったりして不和が生じる。友達との間にも軋轢が生じたりする。

でも、少し冷静になって考えると、もともとのひとつ目の上手くいかないことも、大したことではなかったりする。時間が経てば、自然に解決するようなことだってある。

タオルで汗を拭きながら、天井を見上げているうちに、少々面倒と思っていたことも大したことではないことに気づいた。

 

使わなかったカマ

 

 

少しだけ気持ちが軽くなって、草取りを再開した。

雑草が視界から消えていくと、それだけで気持ちもどこかすっきりとしていくのがわかった。

それにしても暑い。雑草を刈り取ってキレイにすることと、ガッツリと汗をかくことの目的は、ほぼ達成されそうにあった。

しかし、全体の7割を刈り取ったあたりで、問題が生じた。足腰に痛みが出始めたのだ。

たまらず二度目の休憩を取る。

 

タンブラーの麦茶を飲み干し、再び大の字になる。

考えようとして考えてるわけではないが、勝手に頭がアレヤコレヤを思い描く。

そしてやっぱり、アレヤコレヤのひとつひとつが、大したことではないことに気づく。

草取りという作業が、気づかせてくれる。心の整理をしてくれる。

 

さあ、あと少しだ。

普段、料理をしたり洗濯をしたりと家事をしても、なかなかしゃがんだ姿勢で長い時間作業をすることはない。少しふくらはぎがプルプルしてきた。

慣れない姿勢もあるだろうが、アミノ酸が足りないような気がする。ロングライドでハンガーノックになった時も似たような感じだった。そういえば、朝飯も昼飯も食っていなかった。

炎天下の中で刈り取られた草たちは、すでに緑色から黄緑へと変色していた。

変色した彼らを大きなゴミ袋に入れ、玄関の脇に置いた。

 

どんなことに心の整理がついたのか…

そんなことはすべて忘れて、私は買っておいた「つけ麺」を食べるために、プルプル震える手でデカい鍋に湯を沸かした。

ついでに煮卵も作ろうっと。

 

 

 


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