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2023-08-07

『 弘前ねぷた 2023 』 〜 見送り絵美人画集 〜


8月5日、娘が『幻満舎』のねぷたに参加することになった。

久しぶりにカメラを持ってねぷたの待機場所に向かったが、ちょうど『幻満舎』が出発したところだった。

娘の勇姿をカメラに収めることはできなかったが、それでも灯篭を引く楽しそうな表情を見ることができた。

せっかくなので、待機場所に集まっているねぷたを撮ってから帰ることにした。

 

  

 

写真を趣味にしているとはいえ、実はねぷたを撮るのは得意ではない。

写真の上手い人が撮るねぷたは、ねぷた本体のみならず、引き手や太鼓を叩く人、笛を吹く人、観光客をうまく入れながら、祭りそのものの雰囲気を撮る。

だが自分は、つい本体そのものを撮ってしまうのだ。おそらく、小さい頃から「ねぶた」や「ねぷた」そのものが好きだったからだろう。

小学生の頃は、自分でも人形ねぶたを作っていたので、コレクションするかのごとく「青森ねぶた」の写真を集めていた。その癖が未だに抜けないのだ。

 

ただ「弘前ねぷた」に限って言えば、少しだけ違っていた。

正面に観る「鏡絵」ではなく、なぜか裏側にある「見送り絵」の方が好きだったのだ。故に「見送り絵」を撮ることの方が多かった。

描かれるのは美人画と決まっているが、そのモティーフは様々である。邪馬台国の時代のものから戦国時代はもちろん、明治の近代のものまであり、中国やモンゴルなどエキゾチックなものもある。

描かれ方も、妖艶なもの、勇ましいもの、狂気を感じるものなど、これまた様々である。

 

太鼓と囃子の音とともに遥か向こうから、火を灯した扇がゆらゆらと近づいてくる。

狂気迫る武者の顔がこちらに近づくと、太鼓の音とともに鼓動は高鳴り、グワっと目の前を過ぎていく。突如として、妖艶で、ときには恐ろしい美人画が現れる。

目の前を通り過ぎるまで、どんな女の絵が描かれているのかわからない。それが「見送り絵」の最大の魅力であった。

 

   

 

 

  

 

  

 

  

  

  

  

    

  

  

 

そして、名人三浦呑龍さんの描く見送り絵。

女性の美しさは勿論、色使いが素晴らしく、対角線方向に動きのある構図に見送り絵の真髄を感じさせる。

 

  

  

 

こうして撮った今年の写真のほとんどは、やはり「見送り絵」の美人画ばかりであった。

目の前を通り過ぎる「見送り絵」を見ることができるのは、一瞬のことだ。

すべての絵を撮れたわけではないが、見逃した方、ねぷたに参加して見れなかった方々に、今年の「見送り絵」を見てもらえれば幸いである。

 

個人的に「写真としても、なかなかいいかな」と思ったのが、こちらの写真。

待機場所で出陣を待つ、カオスな雰囲気があって好きな一枚。

 

 

まだまだ暑い日が続きそうな津軽。

ねぷたが終われば秋風が吹くというが、もう少し先になりそうな2023年の夏である。

 

 


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