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2018-02-11

浅草とアート ② / 「 東京スカイツリー散歩 」


朝、6時半に目が覚めた。思いのほか眠れたらしい。

シャワーをするかどうか迷ったが、窓の外を見ると、雲ひとつない快晴になるのが一目でわかる夜明けの空だった。すぐに着替えて、カメラを持ち外に出た。

まだ薄暗い雷門から仲見世を通り、浅草寺へ向かう。遥か向こうに見える五重塔の上の方にだけ、朝日が当たり輝いていた。浅草寺の中から、大人数による読経が聞こえてきた。私は階段を上り、賽銭を入れて手を合わせた。

 

浅草寺 五重塔


 

東の方を見ると、スカイツリーのシルエットが見えた。

てっきり日の光を浴びたスカイツリーが見えるのかと思いきや、方角が東なのでツリーはシルエットになるのだ。

私は東に向かって歩いた。道はわからなくても、巨大な目印に向かって進むことができる。

しかし、さらに進むには隅田川を渡らなければならない。少し迂回して吾妻橋に出た。

 

 

吾妻橋を渡り、隅田川沿いに歩く。向こうから早朝のジョギングをしている人が走ってくる。

普段、弘前では弘前公園を走る人が多い。ロードバイクの朝練なら岩木山を望みながら岩木山神社まで。田舎ならではの贅沢な風景だと思うが、スカイツリーを眺めながら隅田川沿いを走るというのも、なんとも贅沢なコースだと思う。

 

川沿いを離れる。塔の近くまで行ってみたい気持ちもあったが、そこまでゆっくりできる時間はなかった。

隅田川に合流するらしい、小さな川のほとりから塔を眺めていると、浅草方面から電車の来る音がした。思わず、カメラを構えて5枚ほどシャッターを続けて押した。

写真は好きだけど、いわゆる「撮り鉄」ではないので、普段から列車などを撮るということはほとんどない。でも何気に風景を見ていた時に列車の音がするとドキドキしてカメラを構えてしまう。

実際に走っている列車を撮ったことは何度かあるけれど、自分が思っている以上にあっという間に通り過ぎ去ってしまうのだ。だから、けっこうスリルがあるし、一期一会的な気持ちになるのかもしれない。

 

スカイツリーと早朝の電車


 

なんとなくキリのいい写真を撮ったところで、ホテルに帰ることにした。

「ちょっと腹が減ったなあ」

ゆっくりであったが、もう1時間近くも歩いていた。腹も減る。

 

数日前に「浅草・朝食」で検索したら、美味しいモーニングセットを出す老舗の喫茶店が何軒もあるらしい。でも、なんか気分は蕎麦になっていた。

浅草といえば、「牛かつ」や「もんじゃ焼き」など美味しい食べ物がたくさん思い浮かぶが、蕎麦も美味しそうなイメージ。

 

私は再び、雷門あたりをうろうろと歩いてみた。

仲見世通りの一本裏には、いろんな食べ物屋が並んでいる。しかし、さすがにまだどこも開いていなかった。まだ8時だもんな。

私はなんとなく諦めきれずに、たまたま通りかかった交番で訊いてみた。「蕎麦屋?この時間はないねえ〜。駅前の「富士そば」くらいじゃない?」と優しそうな笑顔のおわまりさん。

浅草にまで来て「富士そば」か〜と思ったが、もうかなりの時間歩き続けて「老舗の喫茶店」を探す気力も無くなっていた。

 

今回の「浅草散策」で一番後悔したのは、この「富士そば」で朝食をとったことだ。もちろん「富士そば」が美味しくないと言ってるのではなく、やはりその地ならではのものをいただくべき、と後になって思ったのだった。

 

ホテルに戻ると、すでに数人の若者がソファで読書をしてくつろいでいた。

さすがに朝から読書をする気持ちにはならず、シャワーをすることにした。ここでは予約の時に洗面セットも頼んでおくこともできる。薄い布のトートバッグにタオルやシャンプーや歯磨きセットが入っていた。バッグはそのままもらえるらしい。

共同のシャワー室は何室かあったが、少し狭い。やたらと小さい浴槽もあったが、別にこれはなくてもいいので、シャワーするスペースがもう少し広いほうがいいと思った。

シャワーを終え、チェックアウトの準備をする。狭い部屋で屈んだままで荷造りをするのは、ちょいとしんどい。

 

BOOK AND BED ASAKUSA


 

私は、少しだけ若者旅行の気分を味わったホテルを後にして、浅草の駅に向かった。

そういえば、帰りがけが妙に静かだなと思ったら、あのフレンドリーな彼女はいなかったようだ。

つい先ほどまで、巨大なシルエットだった塔は、すでに銀色に輝きはじめていた。

 

 

二日目の展示会巡りを無事に終え、東京駅に向かった。

娘にお土産の本を買い、車内で食べる駅弁とビールも買った。駅弁は鹿児島の小海老の唐揚げ弁当にした。

この二日間、かなりの距離を歩いた。特に浅草の早朝散歩がだいぶ効いているらしく、脚のいたるところが痛かった。

不思議なことに、帰りの新幹線では一睡もしなかった。

 

自宅に戻ると、11時になるというのに娘はまだ起きていた。

私は風呂にザバッと浸かり、疲れきった脚を揉みほぐした。足の裏が異常に痛い。ちょっと歩きすぎたかもしれない。

若い頃から、東京に行くとやたらに歩き回る癖があった。この歳になってもその癖は変わっていないようだった。

 

これだけ疲れていれば、横になるなり寝入ってしまうだろう。ワインを一杯だけグビっとやって、布団に入った。

今日も一日お疲れさまでした!

 
 

夜中3時。右脚の太腿裏のハムストリングが大胆に攣りまくり、私は悶絶した。

 

* 今回も「浅草とアート」というタイトルなのに、アートに触れてませんでしたが、それは再び後日…ということで。


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