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2018-12-02

師走のツーリングはモノクローム


師走の初日はわずか1時間で雪が数センチ積もった。師走の二日目は快晴だった。外に出てみると、頂を白くした岩木山が、蒼い空に朝日を浴びていた。

久しぶりに走ってみようか。ほんの少しだけそんな思いが頭をよぎる…が、昨日溶けた雪が路面をリンクに変えていた。この秋は、ほとんど天気に恵まれなかった。走れたのは月に1回ほど。トレーニングというには程遠く、身体は無残なフォルムをかたどっている。もちろん、朝5時から走る!とか、自分次第で時間はいくらでも作れるし、実際数年前はそれも実践できていた。今は単に覚悟が足りないのだろう。

午後は娘と買い物に行く予定だったが、急に娘の友達が遊びに来ることになったらしい。部屋の中で一緒に過ごすのもいいのだが、どうせみんなしてiPadとかスイッチとかするのだろう。付き合うだけでも疲れる。外をみるとリンクは溶け乾いていた。

ビンディングシューズだと咄嗟の時に怖いので、ベルクロのスニーカーを履いて久しぶりにペダルを回した。朝と変わらず、岩木山はくっきりと見えていた。百沢の路面はどんなかんじだろうか。街とは違い凍っているかもしれない。多少の不安はあったが、白くなった山に向かってペダルを回した。

百沢のバイパスを上るとすぐに太腿が張ってきた。スニーカーで引き足も使えないので尚更だ。チャリを乗るのが久しぶりだと、写真を撮るのも久しぶりになる。

美しきツートーンの津軽富士

ところどころ日陰になっているところに、少しだけ雪が残っていた。濡れているところもある。朝は凍っていたに違いない。津軽で12月にロードバイクを乗る人はほとんどいない。多くのチャリダーは11月に走り納めをするのだ。

やはり、走り納めをしないとなんとなくサッパリしない。今日が走り納めになるのかどうかわからないが、やはり岩木山神社で拝み納めをしないと、これまたサッパリしない。

日曜日の神社は多くの車で混雑していた。いつもの看板の前にチャリを立てかけた。向かいの店の販売機でリアルゴールドを買って、一気に飲み干した。津軽富士の頂がクッキリと鳥居の上にあった。

自宅にいる娘の友達は、16時までに帰らなければならないようだ。神社でのんびりしている時間はなかった。すぐにロードバイクを走らせた。

バイパスを下る途中、あちこちにまだ実のついたリンゴの木を見ることができる。その中に混じって、蛍光色のような橙色の柿の木も見える。どうして果実はこんなにも鮮やかなのだろう。

なぜか収穫されていないリンゴの木が1本

と言いつつ、モノクロームの写真。逆光で果実の色が出なかったのだ。こうやって走りながらも、景色を撮るときはカラーがいいのかモノクロがいいのかなど考える。風景はやはりカラーで撮るのがいいと思う。自然界にはいろんな色が存在するから。

でもたまに、その自然が作り出す思いもよらない造形の美しさを垣間見ることがある。その造形の美しさを、光と影、モノクロームで表現したくなるのだ。白い雪で覆われる冬の季節は、とくにそうだ。

バイパスの歩道をゆっくりと走っているときに、ふと目がとまった。風景ではない。光景というのとも違う。歩道に散らばっていた小さな小さな小石だった。

この時期の15時半は陽も傾いている。歩道に散らばっている小さな小石たちにも、長い影があった。

無機質で小さな存在でしかない小石たちが、「自分はここにいるよ」と主張していた。


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