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2019-02-26

「写真を撮る理由 ⑦」 〜 X100Fの出会い 〜


「何を撮ったらいいのか」「何のために撮るのか」 そんな悩みを抱えながらも相棒の「X-T1」と3本のレンズで、写真は撮り続けていた。

難しくない「写真論」を読んだり、いろいろな「写真展」を観て、なんとなくではあるが自分のやりたいことも見えてきた。たとえ、撮る対象が絶景であれ、街角の風景であれ、そして娘の笑顔だったとしても、「自分の主題」を持って臨む。それが大切だということ。

きっと誰もが、自分なりのテーマや目的を持って撮っているはずだ。そして、それ自体も「その人の写真の歴史」の中で刻々と変化していくのかもしれない。構図がいまいちな頃もあれば、ピンボケを量産するときもある。現像にハマり、コテコテに彩度やシャドーを上げて、絵画みたいな写真を量産する時期もあるだろう。「絵作り」をする上で、誰もが通る道であれば、それをピンポイントにあれこれ言う必要もない。

肝心なのは、自分がどうしたいのか。

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しかし、それを繰り返していると、自分が何を撮りたいのか?何をやりたいのか?といことが、次第にぼやけてくるのだ。だから、気になる対象物があったときに、カメラを構える前に「これは今撮るべきか?」と一考する。ファインダーを覗いたときも「これは自分の主題であるか?」と一考する。そのままシャッターを押すのをやめるときもある。やめて、そのままその場を去り、どうしても気になって引き返しシャッターを押すこともある。

そんなことを繰り返していると「あー!あのとき撮っておけば良かった…」と、後悔することもざら。そんなことなら「とりあえず撮って」おけばいいのに、と思うのだが、でも、これでいいのだ。バカボンのパパ風になったが、これでいいのだ!

小さい頃のカメラは24枚撮りフィルムがメインだったから、一枚一枚が本番だ。その頃と今のデジタルを比べてもしょうがないのだが、その気持ちは忘れないようにしたい。露出や絞りを変えながら、同じ被写体を数枚撮ることはあるが、1日に何百枚も撮り、帰宅してから何百枚も捨てるという作業はしない。これは、あきらかに他の写真好きの方々とは、やり方や考え方が違うと思う。でも、これでいいのだ!

1年前、「X100F」という新しいカメラを買った。昔のフィルムカメラを思わせるクラシカルな面構えに惚れた。

「X-T1」の後継種も出ていたし、新しい一眼のシリーズも出ていたが、私が買った「X100F」は、レンズ固定式のカメラだ。レンズを交換できないカメラでもズーム機能のついたカメラはたくさんあるが、「X100F」はズームも付いていない。いわゆる「単焦点」というやつだ。

「単焦点」とは、画角(写る範囲)が決まっている。アップで撮りたいときは被写体にグッと近寄る。集合写真などで全体を入れたいときには、被写体から離れなくてはならない。背後が崖などであれば諦めるしかない。そんな自由度に欠ける少々不便なのが「単焦点」である。

「X100F」の焦点距離は、35mm換算で35mmである。35mmという焦点距離は、昔ながらのフィルムカメラにある標準的な画角であって、人間の目に近いとも言われる。だから撮りたいものに遭遇したときに、さっとファインダーを覗いても違和感がないのだ。

このカメラを持ち歩くようになってから、撮る対象に拘らなくなったように思う。「一眼」を使っていたときは、撮りたい対象がハッキリしていたし、そのためにどんなレンズを持っていこうかと考える。しかし「X100F」は、バッグにポンと入れて、眼に留まったものがあるとサッと取り出して撮る、というかんじだ。

初めての一眼「X-T1」は、自身のフォトライフを劇的に変えてくれたカメラだったが、小さな「X100F」は「写真」というものを考えさせてくれるカメラになりそうだ。それは、ゆくゆくは「表現」や「生き方」を語ることになるのかもしれないが、自分自身がまだそれを語れる段階にはいない。

これからも、3本のレンズをバッグに入れて津軽半島の端まで行くこともあれば、ひょいとショルダーバッグから小さなカメラを取り出し、街角でシャッターを切ることもあるだろう。部屋の中でじゃれあう娘と猫の姿を、ファインダーから覗くこともあるだろう。「とりあえず」ではなく、「自分の主題」を持って。

何が「自分の眼に留まった」のか。それを「どう撮る」のか。そして最終的に自分の撮った写真を見た人が、はたして「何かを感じてくれる」のだろうか。「何かを感じてくれる」ことで、初めて写真は『作品』となる。それだけのことだ。

それだけのことをするために、この先も「写真」を撮っていこう。そう思った。


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