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2019-04-26

「 弘前の桜 」


弘前さくら祭りが開幕して5日になるが、早くも満開となった。しかも外濠は散り始めているらしい。

開幕前後は気温が24℃前後もあり、開花が一気に進んだ。と思いきや、満開になった途端、昨日からの雨。そして今日に至っては強風、いや暴風に近い。園内は花吹雪となっているに違いない。

さらに夜からは雪が降るらしい、なんとも不安定すぎる4月の空模様である。GWを楽しみにしていた観光客にとっては、恨めしい天気。とくに年に一度、この弘前の桜をカメラに収めようと目論んでいるカメラマンにとっては一大事だ。

そんなカメラマンのずっと端っこにいる自分ではあるが、桜が散ってしまうこと自体は、そんなに一大事ではない。ただ、この期間、娘と散歩する間もなく花が散ってしまうのはちょっと残念だし、さすがに一枚も写真を撮らないというのは、どうにもさっぱりしない。

というわけで、仕事の前にほんの少しの時間ではあるが、桜散策に出かけることにした。車に「X-T1」と「X100F」を積んで、公園方面に向かった。雨が降っていたが、傘をさして外濠を歩いている人が結構いる。

道路も渋滞し始めていた。どうせ車を停めるところもないだろう。私は、散りかけた外濠の桜を眺めながら、そのまま岩木川のほうへ下った。

弘前の桜と言えばもちろん「弘前公園」だが、桜の街というだけあって、街のいたるところに桜の木がある。岩木や相馬と合併した弘前市の範囲はとても広く、岩木山麓や西目屋の手前も弘前市である。

私は、まだ見ぬ「弘前の桜」を求めて岩木川沿いを走った。かつてロードバイクで目屋界隈を走ったときに、あちこちに桜の花を見た記憶があったからだ。

下湯口の交差点に来ると、警察車両や道路整備の車両がたくさんいて作業をしていた。そういえば、岩木川の橋のところで弘南バスと乗用車による大きな事故があったらしい。街灯が折れ曲がっていた。

道路の封鎖は解かれていたようで、なんとか目屋方面に進むことができた。しばらく行くと、道路沿いに桜の木が咲き並んでいた。品種はよくわからないが、ソメイヨシノよりは色が濃く、上方に向かって咲いているものが多い。

個人的に気に入っている小さな桜の木があるのだが、その木のところに来ると、まだ三分咲きほどであった。私は雨の中、カメラを持って外に出た。が、ファインダーから見る桜は、思うような構図が取れなかった。あと何日かしたらもう一度来てみよう。

東目屋に入ると、立派な桜並木が列をなしていた。ただ、桜並木というのは遠目に見ると綺麗なのだが、近づくと写真に収めるのがなかなか難しいものだ。

私はそのまま車を走らせた。はるか遠くの山並みにポツポツと桜色が見えた。雨が降っているので、その全体像は霞んで見える。

もう少し近くで見ようと、私は細い道を左折し、小さな集落の方に入った。ロードバイクでも入ったことのない集落である。

しかし、道は思いがけなく急勾配となり、先ほど見た桜とはまるで違う方向へ走ることになった。

私は諦めてUターンをし引き返した。すると、ふと目の前に立派な桜の木が一本立っていた。

私は車を道端に止め、カメラを持って外に出た。今年初めての桜の写真は、この一本の木となった。

少し走ると、再び先ほどの山並みの桜が遠くに見えた。雨が降り続いていたので、遠くの山は霞んで見えたが、私はカメラをもって外に出た。

青空の方が、綺麗に映えわたるのは間違いないが、このうっすらと霞がかった山の中にひっそりとある桜色も悪くない。

 

「弘前の桜」をほんの少しだけカメラに収めて、仕事に向かった。

 

 


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