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2021-05-01

2021年の静かなる桜 その2


 

前回、こんなことを書いていた。

 

どんな被写体であれ、光と影は何かを気づかせてくれる。

薄々分かってはいたが、モコモコと競い合うように咲く桜よりも、ひっそりと静かに主張する桜に心が動くらしい。

 

五月に入り、桜ほとんど花を落としてしまった。

それでも山の方ではまだ咲いているかもしれない。ツーリングやドライブに出かけているときに、ひっそりと静かに咲いている桜に出会うことがあるが、不意に現れる薄桃色には気持ちが動く。

 

五月最初の休日。車で嶽温泉を目指した。温泉も楽しみたいところだったが、今回は時間がなく断念した。

東目屋から三本柳を経由して百沢に向かう。実は、東目屋に好きな桜の木があった。しかし残念ながらほとんど花は散っていた。

 

百沢に出て、嶽に向かうネックレスロードでは、まだ咲いている木もあったが、多くの桜は茶色や黄緑色に変わっている。

スカイラインゲートのところに来ると、数台の車が停まっていた。自分が「アスリートの路」と勝手に名付けている桜のトンネルはまだ少し花が残っていて、記念写真を撮る家族やカップルの姿があった。

私はそのままゲートのところを通り過ぎた。しばらく進んで湯段へと向かう路を左折。ここの桜並木にも数台の車が停まっていた。

結局一度もカメラを取り出すことなく、そのまま嶽を後にして、来た路を戻った。

 

山間まで車を走らせたからといって、ひっそりと静かに咲いている桜に簡単に出会えるわけでもない。むしろ、この界隈は意図的に整然と植えられた桜が多い。

もちろん、それらはそれらで美しいが、今の自分が撮りたいものではなかった。

 

再び百沢に戻る。右折し、まだ見ぬ路を走ってみる。いくつかの桜の木を見ることができるが、ここでもやはり花は半分ほど散っていた。

それでも陽当たりのあまり良くないところでは、まだ花が残っている。ここで初めてカメラを取り出した。

 

百沢の桜

 

百沢の桜

 

ひっそりと静かに咲いてはいたが、時期を過ぎていたためか、心を揺さぶられるというものではなかった。

絶景スポットに夜明け前からスタンバイして臨む…というスタイルからは、程遠い自分を考えれば、こんなものだろう。

 

それでも、四月に弘前の郊外を走っていたときに、こんな風景に出会っていた。

「岩木山に桜」という、津軽ではお決まりの組み合わせ。

 

桜と津軽富士

 

しかし、何故かその構図は、絵葉書写真のそれには思えなかった。

それは、この桜が、ひっそりと静かに咲いていたからだろうか。

それにしても、相変わらず地味な写真である。

 

 

 

 


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