第7回「今。切り撮る」展 〜出展作品の記録 ②〜
「今。切り撮る」展の出展作品の記録、その②は、残りの2ペア4点とおまけのフォトブック。
今回、一番質問が多かったのが、この作品。
その質問のほとんどが「これは何を撮ったモノですか?」だった。
自分でも(ちょっとオモシロい写真だな)とは思っていた。
しかし「何を撮ったモノですか?」という質問を受けるのは意外だった。
「何を撮ったのか」は、自分がわかっているのはあたり前だが、それを知らない他人が観たら「わけのわからない写真」だったようだ。
これは、深浦の十二湖の中でも人気のある「青池」で撮った写真である。
湖面を漂っていた一枚の黄葉を撮ったものだ。黄葉が一枚だけという画もオモシロいと思ったが、それ以上に湖面の表情に惹かれた。
「青池」が持つ透明度は、他の湖にはない表情を持つ。
湖面が揺らぐ表情。湖面に映る空や木々の表情。そして湖底に沈む古木や落葉の表情。それらが混然となり、混沌とする。
「青池なのに青くないじゃん」というご指摘は、この際お許しください。
次が、この「yellow」とペアになった作品。
こちらは、「十和田湖」をロードバイクで一周した時に撮った一枚。
かなり早い時間帯に撮ったモノだと思う。
「全部モノクロの中にあって、yellowはイイですね」と言われることもあったが、実はコレもカラーだった。
少々色味を抑えすぎたかもしれないが、でも朝靄の十和田湖はこんな感じだった。
数年前までは、朝4時くらいに起きて、十和田湖まで走り写真を撮る…など、今の自分では考えられない動きをしていた。
そろそろ、数年前の自分を見習って、もう少し身体を動かそう。
最後のペア2作品。
4年前の夏、勤めていた店の二階のギャラリーで、友人数人が写真展を開催した。
私は出展していなかったが、終日在廊していた。
客がいない時間は、ベランダに出て街の風景を撮っていた。
考えてみれば、退職した店で撮った写真というのは数えるほどしかない。
自身にとっても、記憶に残る思い出の写真と言えるかもしれない。
「真夏」と対になるといえば「真冬」
数年前の夏、津軽半島の北端、龍飛崎までロードバイクで走った。
往復200kmという過酷なロングライドだった。
その時に出会ったのが、旧三厩村の漁師小屋群。
それからは毎年のように、夏と冬、カメラを携えて津軽半島の北端へ足を伸ばした。
とくに、冬の暗く物寂しい風景は、生まれ育った故郷を思わせた。
写真は、寂れた漁港に並んでいた漁具。
おそらく碇(いかり)だろう。
この三厩の光景を収めたのが、フォトブックとして置いていた「NORTHERN TSUGARU」である。
以前、「堀内カラーフォトコンテスト」に応募した作品が『ファインアート賞』を受賞した。
そのときの賞品が「オリジナルのフォトブックを一冊作ります」というものだった。
ちょうどその頃、撮りためていた「北津軽」の写真を一冊の本にしてみたいと考えた。
表紙の装丁、作品のレイアウトなど、すべて自分でデザインした。
写真そのものはさておき、プリントはさすが印刷専門プロのクオリティ。
これもまた、自分にとって記念となる一冊となった。
こうしてみると、写真というものは、やはりプリントしてみるべきと感じた。
スマホやPCの画面で見ているだけでは、その本当の良さ(悪さ)がわからない。
(時間を作れるようになった自分は、これから何をするべきなのか….)
今回の写真展を通じて、そんなことを問われている気がする数日間となった。
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