2023 弘前公園の記録 ① 「モノクロームの桜」
「 真の旅の発見とは 新しい景色を見ることではない 新しい視点を持つことだ 」 ~マルセル・プルースト~
8年前の今日、Facebookにこのような言葉を投稿していた。
当時、絵葉書的な写真に疑問を持っていた自分にとって、腑に落ちる言葉だったのをよく覚えている。
しかし8年経った今、新しい視点を持って写真を撮っているかといえば、甚だ疑問である。そもそもカメラを手にするという行為自体、減っていた。
FacebookやInstagramに桜の咲き誇る画像が溢れるたびに、弘前公園に足が向かなくなった。
でもそれは自分が既存のイメージを持っているからであって、新しい視点を持ち得ていなかったことの証でもある。
ベッドの脇に愛用のX100Fがポツンと置かれてある。愛用というには長い間、触れていなかった。
バッテリーを入れ替えて、弘前公園に向かった。
考えてみれば、勤めを辞めて初めての桜祭りだった。
昨年までは、桜祭りといえば家族と行くか、朝5時過ぎにロードバイクで朝焼けの公園を走るか、そんな感じだった。
日中にひとりで桜祭りの公園を歩くのはいつ以来だろうか。少し観光客の気分で歩こうと、ヴィンテージのバーバリーのコートを羽織り、X100Fを首から下げて歩くことにした。
買ったばかりの真っ白なNIKEのスニーカーを履いた。真っ白すぎて履くのに抵抗があったが、一日公園を歩けば良い感じに汚れてくれるだろう。
観光客の気分を味わうために、しっかりと追手門から歩く。
4月初旬から続いた気温の高さによる早咲き。咲き始めたタイミングに合わせての連日の強風。祭りを前に外堀の桜はほぼ散ってしまっていた。
関係者にとっては頭の痛いところだと思うが、桜は人間に合わせて咲くわけではない。風も気まぐれだ。
絶景を撮りたいわけではない自分にとっては、大きな問題ではない。
ただ、新しい視点でモノを見ることができるのか。それは大きな問題だ。
今回は気の向くままに、いろいろなものを撮ったので、テーマごとに分けて記録しておこうと思う。
というのも、このブログには、あまり容量の大きい写真をUPできないのである。
「モノクロームの桜」「光と影」「reflection」「建築と桜」というテーマで連日書いてみたい。(テーマとはいっても、勿論あとづけである)
最初は「モノクロームの桜」
薄ピンク色の桜は、カラーで撮ったほうが美しい。でもモノクロームで撮るのは自分なりに新しい視点を模索しているからかもしれない。
カラーで撮って、現像の際にモノクロに編集することはできるが、それでは覚悟が足りない。
なので、予めカメラでモノクロームに設定して撮る。
枝垂れはまだ見頃だ。
ソメイヨシノとは異なるアングルで撮ることができる。
青空にピンク色はよく映える。
しかし、モノクロームだと青空かどうかわからない。
でも雲が白なのはわかるから、ああ青空なんだな…と想像できる。
美しい風景写真を撮るときに、常に目の敵にされる電線。
でも、電線の持つカオス感が昔から好きだ。
珍しく花鳥風月な一枚。
しかし、水面に映る影との対比はモノクロームならでは。
見終えて帰ろうとしたら、市役所前の濠で桜の花が宙に浮いていた。
花筏もいいが、浮いている花びらも良い。
明日のテーマは「光と影」
写真ではよくあるテーマだけれど、なかなか答えを見つけることができないテーマでもある。
明日へ続く。
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