2023 弘前公園の記録 ② 「光と影」
「 真の旅の発見とは 新しい景色を見ることではない 新しい視点を持つことだ 」 ~マルセル・プルースト~
モノクロームで撮ると、おもしろい発見がある。
すべてが白と黒で表現されるが故に、余計な情報が削ぎ落とされ、自分が撮りたいものがクリアに見えてくる。
しかし、まわりにある赤や緑や青の色と同化して、何を撮りたいのか見えなくなることもある。
人間の目で見える光景とは違って見える。だからおもしろい。
白と黒で表現されるということは、光が当たっているところと、当たっていないところとの差で表される。
光による陰影や凹凸で表現できるものもあれば、表現しきれないものもある。それだけに想像力が試される。

杉の大橋から中濠を望む
追手門から入り、最初の橋に立つ。
向こうから舟がゆっくりと流れてきた。

橋の下を流れゆく舟
皆同じ赤いライフベストを着ていて、皆白いマスクをつけているので、モノクロで撮ると表情がおもしろい。
きちんと船頭さんをフレームに収めきれていないのが、腕の無さを物語る。
濠に浮かぶ桜の花も、またいとをかし。

南内門
秋の紅葉では「額縁構図」として一番人気となる南内門。
モノクロームだと大した映えのない写真になるが、門の重厚さを感じることができる。

園内は左側通行
「園内は左側通行となっています」というアナウンスが聞こえてくる。
どの場所にいても同じアナウンスが延々と流れるのはあまり心地よいBGMではないが、大切な案内であるからしょうがないか。
美しい桜の花よりも、こういったディティールを見るとつい撮ってしまうのが悪い癖。

桜の影
こうしてみると、桜の木の像はとても独特なのがわかる。
というよりも、剪定職人の賜物か。

西濠
春陽橋から美しく並ぶ桜を撮ることはない。正直ヘタクソだからだ。
水面には西に傾きかけた陽の光。

露店のテーブル席
蓮池沿いにある露店は、どこか渋くて趣がある。
平日の午後とあって、外のテーブル席に客の姿はない。テーブルと椅子が白く浮かび上がっていた。

蓮池に流れ込む水流
蓮池から上る階段のあたりは、歩く人が少なく、本丸の陰になっていて不思議な雰囲気がある。
本丸の賑わいとは対照的で、好きな場所のひとつ。

戯れる鳥たち
上の写真と同じ場所にて。水芭蕉だろうか。
モノクロームで撮ると、鳥たちが群れているように見える。

東内門
わずかに西陽を浴びた東内門。
三つ巴?の紋が、笑っているように見える。

中濠舟乗場
唯一のカラー写真。さすがに夕暮れの色をモノクロームで表すのは難しい。
最初の写真の舟は、ここから流れ発っていく。
「光と影」はモノクロ写真を撮る上で、最もおもしろく、そして難しい。
いつか「光と陰」を表現できるようになりたい。
* 次回のテーマは「reflection(リフレクション)」
( 参照 → 弘前公園の記録① 「モノクロームの桜」)
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