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2018-12-25

【 津軽三大テノール クリスマスコンサート 】 / 弘前市立百石町展示館


クリスマスイブの午後、弘前市立百石町展示館にてコンサートが開催された。開演は15時からだったが、私は娘と二人で14時頃に会場に向かった。

展示館裏にある駐車場に入ると、すでに満車だったが、運良く一台が出てくれた。館内では他のイベントはなかったはずであるが、いい席を確保しようと早めに来館されている方が多いのだろう。このコンサートの人気をうかがい知ることができる。

娘と二人で館内に入ると、ちょうど副館長のH山氏が事務所から出てきた。H山氏とは通う高校は違ったが、10代後半からの友人である。私が弘大生だった頃、彼は東京に住んでいた。東京に遊びに行くとよく泊まらせてもらい、お互い服好きだったこともあり、一緒に洋服屋巡りをした。

数年前から、展示館で写真展を開催するようになり、副館長でもあるH山氏には友人という域を超えて随分とお世話になった。「大輔たちいる?」と聞くと「上の控え室にいるよ」と言われたので、娘と一緒に2階へ向かった。

写真展の時にいつも使わせてもらう馴染みのある控え室に行くと、彼らはいた。「お疲れさ〜ん」と手を振ると、大輔くんが笑顔で返してくれた。「あ、どうも〜」と上原さんも笑顔で返してくれた。

この日、開かれるコンサートは【津軽三大テノール クリスマスコンサート】 青森在住の高橋琢司氏、黒石在住の上原浩一氏、そして五所川原市在住の三橋大輔氏、の3名によるクリスマスコンサートである。

歌に関しては、お三方とも有名な方々ばかり。高橋氏とは直接の面識はないが、男声合唱フェスティバルなどで指揮をされているのを何度か拝見している。上原さんは、弘前オペラの主役を務める方としてすでに弘前では有名なテノール歌手だ。しかし、私は彼がオペラで歌う以前から彼のことを知っていた。どちらかといえば、歌を歌う人というよりは、靴や鞄やジーンズの好きな店のお客さんとして、20年以上前から知っていたのだ。当初、学校の先生ではなく鞄職人だとずっと思っていた。

ある日、店で話をしていて、私も男声合唱をやっていることなどを話したら意気投合し、その後お店にご来店いただく度に、服の話ではなく歌の話になることが度々であった。今回のコンサートも11月に上原さんが店に来てくださったときにお聞きし、そのままチケットを頼んだという流れである。

そして三橋さん、いや大輔くん。本人と話すときは「大輔」と呼び捨て。別に上から目線というわけではなくて、大輔くんとは五所川原高校音楽部の先輩後輩の仲であり、五所川原を中心に活動するアンサンブルグループ「合唱団Apio」で一緒に歌っていたメンバーでもある。「歌っていた」と過去形になっているのは、ここ数年自分が歌いに行けてなかったからだ。

30代に入り、ほとんど歌うことがなかった自分だったが、30代後半あたりに先輩の誘いを受けて参加したのが「合唱団Apio(アピオ)」だった。ルネサンス期の宗教曲を主に歌うグループで、音楽部の後輩、三橋大輔くんが作ったアンサンブルグループだった。大学まではそれなりの大人数で歌うことが多かったが、わずか十数人で歌うアンサンブルは一人一人に大きな責任があり、とても難しく、そして歌い甲斐があった。

毎年12月に青森市で開催される「アンサンブルコンテスト」に出場し、何度も金賞を獲得した。私は参加できなかったが、アンサンブルコンテストの全国大会に出場し、全国1位を獲得したこともあった。私以外のメンバーは、誰もが素晴らしい声をしていたが、大輔くんの声は群を抜いていた。彼の声が音楽全体の流れを作り出していたし、宗教曲の荘厳さを表現していた。そして今現在もその歌声は健在である。

今回のコンサートは、仲の良いお二人が歌うということもあり、楽しみにしていた。しかしそれだけではなく、今回は娘の合唱部にも度々ボイストレーニングに来てくださっている虎谷亜希子さんも参加されるとのこと。早速、娘と一緒に隣の控え室に挨拶におじゃました。虎谷さんも上原さんと同じく、弘前オペラでは常に主役を務めるソプラノとして有名な方だ。私たちが大学で歌っていた頃は、声楽家でいらしたお母さまの虎谷千佳子さんと、弘前オペラのステージでご一緒させていただいたこともあった。

15時からの本番まであと30分ほどとなったので、私と娘は1階の客席に戻ることにした。しかし、本番中はなかなか写真を撮れないと思い、2階フロアで写真を撮らせていただいた。

大輔くんと
虎谷さんと

開演。三大テノールによる「ホワイト・クリスマス」  会場は決して広くはないが、隅の隅までお客さんが入っている。迫力ある3人の歌声に拍手が響いた。プログラムはクリスマスに合わせ、15曲もの多彩な内容で構成されていた。

高橋氏の歌声は迫力があり、情感に溢れていた。上原さんは、さすがオペラの主役を張るだけあり、パワー溢れるハイトーンボイスが凄い。店にいらしたときも話していたが、年齢を重ねるごとに高い音が出るようになってきたとか。私自身は、ずーっと下の下(Bass)で歌ってきた人間なので、高い音を出せる人は、その音を出せるというだけで「スゲ!」と思ってしまうのだ。

そして大輔くん。明らかに他のお二人とは違う声をしている。常にアンサンブルの中で歌っているからだろうか。聴く側にすーっと入ってくる真っすぐな声が素晴らしい。そして心地よい。かなり高い音を綺麗なファルセットでさらりと歌いこなすあたりも、さすがだなあと思った。

また虎谷さんと、同じくソプラノの工藤紀誉美さんとの女声デュエットもまた素晴らしかったし、村田恵理さんのピアノ、工藤千尋さんによるフルートの響きもまたクリスマスを感じさせてくれる優しい音色だった。

最後の15曲目。窓から見える外の様子も、暮れた空に雪がかすかに舞い始め、まさにクリスマスイヴといった雰囲気。再び三大テノールによるクリスマスソング「レット・イット・スノー」で、館内は最高潮に達し、最後まで拍手が鳴りやまなかった。前半は退屈そうに半分寝ていた娘も、最後は大きな拍手を送っていた。

三大テノール

展示館を出ると、外はすっかり暗くなっていた。「なんか、お腹が空いた〜」と娘が言ったので、展示館向かいのSAKIを覗いてみた。店の中ではクリスマスソングが流れ、イチゴのショートケーキがたくさん売られていたが、私たちはクロワッサンやカレーパンを買った。

二人で車の中でパンを食べた。私の頭の中では、先ほどまで聴いていた三大テノールの歌声が響いていた。目の前にあるのはクリスマスケーキではなく、クロワッサンやカレーパンだったが、心はなぜかクリスマス気分に溢れていた。


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