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2019-05-17

ツール・ド・ツガル / 八甲田山一周 谷地温泉〜銅像茶屋まで


ここ最近になり、ようやくロードバイクを走らせることにエンジンがかかってきた(エンジンはついていないが)。

ただ、ロングライドに出るということに、どうもイマイチ自信がない。ほんの3〜4年前までは、弘前から出発しての津軽半島一周や十和田湖一周などに挑んでいた。しかし昨年あたりからは日頃の練習不足もあり、100kmあたりが限界のような気もする。

往路はいいのだが、復路が怖い。近場ならまだしも、ロングに出て途中で脚が切れたら帰ってこれないかもしれない。昨年は動悸がヒドかった時期もあったので尚更である。

ただ、いつも近場ばかりだとやはり飽きる。そこまでストイックに走っているわけではないし、たまには気分転換も兼ねてのんびりと山や海沿いを走ってみたい…というわけで、久々に車にチャリを積むことにした。

目的地は八甲田方面にしよう。この際、たっぷり気分転換も兼ねて、温泉にでも入ろう!

ロードバイクでロングライドに出たときは、いろいろな温泉地を巡ることも多い。例えば、岩木山麓の嶽温泉や八甲田の酸ヶ湯温泉。しかし、だいたいはその温泉地が目的地(折り返し地点)になることが多く、当然のことながら帰りもロードで帰ってくるわけだ。

だから、仮にその目的地で温泉に浸かったとしても、再度汗まみれのジャージを着ることになる。それに温泉でゆっくり疲れを癒したあとに、またロードに乗るというのもなかなかシンドい。

八甲田界隈には有名な温泉が数多く存在する。もちろん酸ヶ湯温泉が最も人気があるだろうが、猿倉温泉や蔦温泉など観光的にも有名な温泉がある。

酸ヶ湯はなにかと訪れる機会も多いので、今回は日本三秘湯として知られる「谷地温泉」を目指すことにした。「谷地温泉」はまだ訪れたことがなかった。

黒石のもみじ山から酸ヶ湯までの長い坂道を車で登る。チャリだとかなりきつく長い坂だが、車だとほんの20分くらいで酸ヶ湯に到着する。そのまま十和田方面に向かい、「笠松峠」を越えて坂を下る。やがて交差点が現れ、左の小さな道を入ると「谷地温泉」はあった。

建物は古そうに見えるが、黒く塗られた板壁や建物全体の形が、少し北欧的な雰囲気を醸し出している。走ってきたあとの温泉が楽しみだ。

駐車場に車を置き、すぐさまロードを取り出して、私は走り出した。ルートは、今来た道を戻るカタチで、時計回りに八甲田山を一周するコース。距離にすると約40kmと、そんなにロングではないが、かなりアップダウンのあるコースだ。

まずは、「谷地温泉」から「笠松峠」まで上りの5km。標高差270mをひたすら上る。走り出しだから、とりあえず脚も気持ちも元気は良い。

道の両脇にはまだ1mほどの雪壁がある。その雪壁から溶け出した水が勢いよく道に流れ出している。上りのトロい走りだから、水が跳ね上がる心配はない。

やがて遠くの方に車が数台駐車しているのが見えてきた。「睡蓮沼」のところだ。一瞬、立ち寄って沼を見ようか、という考えが頭をよぎったが、ビンディングシューズで雪の上を歩くのは厳しいと思い、そのまま通過した。

笠松峠

しばらく上り続けると、遥か向こうに八甲田の山並みをバックに、小さな青い標識が見えた。このコースの中で最も標高の高い「笠松峠」だ。いつもであれば、標識のすぐ下で写真を撮っていたが、今回は遠目に撮ってみた。ちなみにこのコースで一眼を背負うのはしんどいので、撮影はiPhoneにて。

「笠松峠」あたりは標高が高いので、最も雪壁が高いのかといえばそうでもない。標高が高い分陽当たりも良いのだろう。酸ヶ湯に向かって下ると、雪壁が高くなり始めた。

その雪壁から、「解放された!」とばかりに手足を思い切り伸ばす木々の枝が目の前に不意に現れる。

雪壁と木のアート

「笠松峠」から酸ヶ湯まではほぼ下り基調だ。ゴールデンウィークを終えたとはいえ、新緑の八甲田を満喫するために訪れた、県外ナンバーの車や観光バスが追い越していく。私はあまりスピードを出さずに慎重に山並みを下った。

プ〜んと硫黄の匂い。酸ヶ湯が近いことを知らせてくれる。右手前方に「地獄沼」が見えてきた。珍しく車が一台も駐車していない。私はロードを停めた。

「地獄沼」は今までに見た中で、最も青い色をしていた。もちろん十二湖青池のように透明度は全くなく、白濁しているが妙に青かった。

地獄沼

地獄沼を経つとすぐに「酸ヶ湯温泉」がある。が、今回は立ち止まらずそのままスルー。

残雪に幻想的な姿を見せるブナ林を左右に見ながら、ひたすら下る。下りはスピードが出るので、雪解け水が跳ね上がってくる。

八甲田のロープウェイが見えてきた。乗り場の近くに大きな桜が木があり、満開になっていた。このあたりの標高では、ちょうど今頃が満開になるのだろう。

やがて「長登り」という長い坂にさしかかる。この名前はもちろん青森方面から上ってきたときを指す名称であり、八甲田を反時計回りに一周すると最後に現れる激上り坂である。

初めてこの坂を上ったときは、しばらく歩いた記憶がある。そんなきつく長い坂であるが、下りはあっという間だった。

そのままスピードに乗って下りたいところだが、ブレーキレバーを握り減速して右折する。そこからは、再び上りが始まる。

映画「八甲田山」で有名な『雪中行軍遭難者銅像』がある「銅像茶屋」までの上り。およそ3.5km。

「笠松峠」付近の道とは違い、あまり路面が良くはなく、そして景色もパッとしない。いまひとつ退屈な道のりである。こんなときは歌うに限る。限るのは自分だけかもしれない。

今、合唱部の子供たちが練習しているコンクールの自由曲を歌いながら、私は「銅像茶屋」に向かった。「銅像茶屋」では、ひとつの目的があったのだ。名物の『豚丼』を食うことだ。

本当は「谷地温泉」で温泉に浸かった後に、「谷地温泉」名物の定食をいただこうと思っていたのだが、食事のできる時間が13時までだった。「谷地」を経ったのが11時過ぎ。どう考えても13時までに戻るのは、私の脚では無理なのは明らかだった。

何年か前に八甲田一周をした際、「銅像茶屋」で食べた『豚丼』がたいそう美味かった。行者ニンニクのタレで焼いた豚肉は、走り疲れた身体にパワーを充填してくれる、とっておきのメニューだった。

その『豚丼』を目指して、私はひたすら単調な上り坂を走った。やがて、少し空が開けてきた。上りも終わりだ。遥か向こうに三角屋根の「銅像茶屋」が見えてきた。

が…その光景は目を疑うものだった。

開いていない銅像茶屋

続く…


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コメント2件

  • アバター 田中幸樹 より:

    この時期行きたくても行けない八甲田をバイク目線で楽しめました。銅像茶屋ってたしか…

    • ferokie ferokie より:

      田中さん、お読みいただきありがとうございます。続きをお楽しみに!^^

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