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2019-08-04

【 NHK全国音楽コンクール 】青森県大会 直前


5月のブログ(「学校から見えた風景」)でも書いていたが、今年の合唱部は13人という人数から始まった。

昨年は25人ほどいたが、半数近くを占めていた昨年の6年生が卒業し、わずか13人の合唱部となった。

しかも新6年生の半分が男子で、そのうち二人が変声期を迎えていた。同声で歌う児童合唱において、声変わりをした声で一緒に歌うのはとても難しい。ファルセット(裏声)で歌うというのも、一朝一夕にできるものではない。さらには、変声期の過渡期の声はとてもハスキーで、歌う側も辛いのである。

実質、子どもの声質で歌えるのは11人。新学期を迎えても、新しい部員が入部する気配はなかった。

顧問の先生とも話していた。「コンクールに出場するのは、とてもじゃないが無理でしょう」と。

比較的簡単に歌える二部合唱などは何とかなるが、コンクールに出場するために歌う三部や四部の合唱を歌うのは不可能に思えた。コンクールは諦め、老人施設の訪問、カルチャーロードでの出演など、そういった活動にシフトせざるをえないと、先生も父兄も考えていた。

 

ところが5月に入り、ふたりの2年生が入部した。そして間もなく3人の3年生が入部したのだ。即戦力になるというわけではないが、部は賑やかになった。

6年生たちからも、「金賞は獲れなくてもいいから、コンクールを目指して頑張ってみたい」という声が出るようになった。

顧問の先生も「よし、コンクールに出ましょう!」という決断をした。それとともに私も再びボイストレーニングの指導におじゃまするようになった。

土曜日か日曜日の午前中、私は部活に顔を出した。仕事があるときは、昼からの出勤にさせてもらい週イチのペースで欠かさず練習に参加した。

週イチで乗っていたロードバイクは月イチくらいになった。バイクは来年でも乗れるが、6年生の娘がいる合唱部の練習に参加するのは、今年が最後になる。

コンクールに向けての曲作りは、もちろん顧問の先生の仕事なので、私は子どもたち、特に新しく入部した2年、3年生の子どもたちの発声の指導を担当した。

まずは、下手でもいいからとにかく大きな声を出して歌ってみる。人の前で物怖じしないで歌うこと。そして、歌うことが楽しいと思えること。それを目指した。

 

でも考えてみれば、2年生なんかは、ほんの1年半前までは幼稚園や保育園に通っていたのだ。

「ときどき、あのヒゲのおじさんが来るから怖い〜」

ウチに帰ってそんなことを言われてたら大変だ。小さな子どもたちが、楽しく歌えるよう、私はギャグを交えながら指導をした。

それからしばらくして、驚くようなことが続いた。

ひとクラスしかなかった3年生だったが、クラスで「合唱部たのしいよ!」という話でもしているのだろうか。指導に行くたびに3年生が増えていたのだ。

7月に入ると、なんと2年、3年生の新入部員は、合わせて11人にもなっていた。合唱部はさらに賑やかになっていた。

合計24人になった合唱部。しかし半分は2年、3年生の、しかも歌を始めたばかりの子どもたち。6年生が半分を占めていた昨年とはまったく逆。

おそらくコンクールに出場する部員数の多い学校は、しっかり歌える高学年の子どもたちが選抜され、低学年の子どもたちは今後のために演奏を聴くというかんじだろう。

中学の1年生と3年生は、そんなに差がないと思うが、小学生の3年生と6年生の差は大きい。コンクールに出場することに決めたとはいえ、部員数の多い学校にはとても敵わない。

そして合唱は吹奏楽のコンクールと違い、いきなり青森県大会から始まる。初めてのステージが県大会となる2年、3年生は緊張するかもしれない。

 

いや、こちらがそんな悲観的な気持ちになっていては、子どもたちに失礼というものだ。スポーツと違って、芸術はいきなり爆発することもあるかもしれない。岡本太郎の言葉を思い出した。

そして指導しながら一人一人の歌声を聴いていると…なかなかいい声をしている子もいる。か細い声だが音程がしっかりしている子もいる。低い声を出せる子もいる。

24人の中に入ると、それが全体の音量の大きさにもなるし、ハーモニーの厚みにもなる。

 

7月も後半に入り、表現力を高める練習の段階に入ると、イイ線までいけるような演奏になってきた。長年、小学校の合唱に携わり、幾度となく東北大会のステージへ子どもたちを導いてきたH先生の指導はさすがだ。

確かに先生の指導は厳しい。小学校の文科系の部活でここまで厳しいところは少ないだろう。ただ、このくらいの厳しさがなければ、次のステージに進むことはできない。

しかし、意外にも2年、3年生の子どもたちは、この厳しい指導にもしっかりついてきている。そして毎日楽しそうに部活に来ているようだった。

日曜日、文化センターでの練習に参加した。少しだけ時間をいただき、発声や発音の指導をした。

明るく深く柔らかく声を出すこと。

「あ」は明るく、「お」はしっかり、「い」「う」「え」は深く。明るくはできても、深く発声するのは2年、3年生の子どもたちには難しい。

いや大人でも難しいのだ。

 

初めて出場した2年前の県大会の朝

 

3ヶ月前までは、コンクールに出場することすら諦めていた合唱部。

人数の少なさを生かした、意思疎通のあるアンサンブル。

子どもたちなら、きっとやってくれると思う。

 

練習を終えて外に出ると、ねぷたの囃子が聴こえてきた。

本番は、5日後だ。

 

 


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