【 NHK全国音楽コンクール 】青森県大会 和徳小合唱部『金賞』に輝く!
リンクステーション青森のホールは静まり返っていた。
「金賞を発表します!」
「第86回NHK全国音楽コンクール青森県大会、小学校の部、金賞は…弘前市立和徳小学校!!」
「ヤッターーーー!」
ホールの右側最前列に座っていた子どもたちは、喜びを爆発させていた。私の前に座っていた顧問のH先生は、泣き崩れていた。
「先生、よかったね!」と言うと、先生は振り返り、私の手をぐっと握った。
ほんの数ヶ月、いや1ヶ月前まで、誰がこの光景を想像していただろうか。
4月、13人で始まった合唱部。コンクールに出場することすら諦めていた合唱部。5月頃から、小さい子どもたちが少しずつ入部し、6月末にようやく24人になった。
夏休みに入り、毎日が30度以上の過酷な暑さの中で、子どもたちはギリギリまで練習を重ねた。先生が全体の曲作りに必死になる間、私は一人づつに声の出し方や言葉の発音をアドバイスした。
そんな2〜3年生が半分を占める合唱部24人が、ステージに並ぶ。しかし、小さな子どもたちは、初ステージとは思えぬ堂々とした表情で立っていた。
さあ、「課題曲」だ。
素晴らしい出だし。これまでの和徳の音よりも柔らかい。音の強弱、メリハリもいい。そして何よりも声に強さがあった。それは裏を返すと、荒削りで雑な歌い方にも捉えられてしまう。
しかし子どもたちは、未来に希望を感じさせてくれる歌声で「課題曲」を歌い上げてくれた。
次は「自由曲」
「わらべうた」から2曲を選曲した。
1曲目は、広島地方わらべうたより「烏かねもん勘三郎」 青森県に所縁のある作曲家「間宮芳生」による編曲。
2曲めは、「7つの子ども歌」より「一番はじめは」 昨今では最も人気のある作曲家「信長高富」による編曲。
昭和と平成の、「わらべうた」の名曲を歌い比べ。
どちらも無伴奏曲。小学生が歌うとはいえ難度は高く、音がぶつかり合うところも多い。しかも、どちらも4部の構成で、1パートは5〜6人ほど。
ところが、歌い始めた彼らの声を聴いた瞬間、私の頭の中にバッと何かが光った。
「すげー、こいつら!子どもたち、すげえぞ!」
昨年までは、感極まりながら涙を流して聴いていたが、今年は素直に彼らの歌に引き込まれてしまった。
最後の最後に、素晴らしいハーモニーをビシッと決め、彼らは自分たちができるすべてのことを出しきってくれた。
後半、実力ある青森や十和田の学校の演奏も聴いた。正直なところ、声の質、発声、歌い方、すべてにおいて和徳よりも上の学校があった。
顧問の先生も、自分たちの演奏直後は手応えがあったようだが、他校の演奏を聴いた後は、(これは厳しいなあ〜)という表情をしていた。それは、私も同様だった。
しかし、「自分たちが何かを表現しよう!先生がやりたいと考えていることを自分たちの歌で表現しよう!」という思い。彼らの演奏からは、確かにそれが伝わってきたのだ。もしかしたら、自分の娘が歌っているから、そう感じるだけなのかもしれない。
いや、それでも私自身がそう感じたのであれば、ホールで聴いた人たちも、きっと何かを感じてくれたのではないだろうか。
自由曲の「わらべうた」を2曲。ぜひお聴きになってみてください。
※ イヤホンかヘッドホンをおすすめします。また、プライバシー保護のため、映像は津軽の風景となっていますこと、ご了承ください。
お盆の入り。明日は鯵ヶ沢のお墓参りに行く予定だ。
娘が生まれる前に亡くなった親父とおふくろに、この歌声を聴かせてあげよう。
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