【 全日本合唱コンクール 青森県大会 】和徳小合唱部 再び『金賞』に輝く!
18日、青森市駅前にある「リンクモア平安閣市民ホール」にて、【全日本合唱コンクール青森県大会】が開催された。
つい先日、【NHK全国音楽コンクール】に出場したばかり。いつもの夏休みであれば、お盆期間は少し練習をお休みしてから、再び練習が始まる。しかし、今年はお盆を返上しての練習が続いた。
これまで「小学校の部」がなかった【全日本合唱コンクール】だが、今年から「小学校の部」が新設され、和徳小合唱部はこちらにも参加することに決めたからだ。
今年の夏は、異常とも思えるほどに暑い。音楽室には、朝早くから太陽が差し込み、練習開始時には30度を超えていた。しかし、子どもたちはその暑さにへこたれることなく、汗をフキフキ、水分を補給しながら頑張っていた。
暑さ、そして厳しい練習に耐え抜いた24人の子どもたちが、「小学校の部」5番目にステージに立った。「Nコン」とは違い人数制限はないので、和徳よりも人数の多い学校はたくさんあったが、子どもたちは堂々とした表情でステージに立った。
課題曲は「Nコン」の自由曲として歌っていた「烏かねもん勘三郎」 歌い慣れているのもあるのだろう。堂々とした演奏だった。
自由曲は「母の胸の中で」 母の胸に抱かれながら眠った、幼い頃の自分を歌った情緒あふれる歌。子どもたちは、言葉に気持ちを込めながらたっぷりと歌いあげてくれた。
演奏が終わったあとは、数校の演奏を聴き、すぐに弘前への帰途につくことになっていた。【全日本合唱コンクール】は、小学校、中学校、高校、一般と、すべてのカテゴリーを一日で終える。だから、午前中は早く始まるが、審査の発表は夕方になる。
部長と私の娘を残して、子どもたちと顧問の先生は、先に弘前へ帰ることになった。
娘が残ったのには理由があった。今回のコンクールには、私自身も「みちのく銀行男声合唱団」のメンバーとして参加することになっていたからだ。
一般の参加団体は、4団体と、小学校や中学校に比べはるかに少ない。社会人となってからも歌を続けるというのは、なかなか難しいのかもしれない。現に、私自身も8年ぶりの参加だった。
正直なところ、ほとんど練習もしないまま本番に臨むことになってしまっていた。自由曲は3月の【アンサンブルコンテスト】で歌ったのでなんとかなるが、課題曲はまともに音が取れていない。子どもたちに聴かれていたら、「口パクやん!」なんて言われていただろう。
しかし、いざステージに上がると、思いのほか課題曲はしっかりと歌い込むことができた。ピアノ伴奏があったからかもしれない。
ところが、自由曲になると思い描いていたハーモニーが決まらない。無伴奏なので、いったんハーモニーが崩れかけると立て直すのが難しい。声を出すのもビビりがちになる。久しぶりに痺れるステージとなった。
観客席で拍手を送ってくれる娘の姿が見えた。親娘が、こうしてお互いの演奏を聴くことができるのも、なかなかない機会だ。それだけでも、今日という日は記念の日となるだろう。
演奏を終えた私は、ロビーに出てきた娘たちと合流した。30分ほどすると、審査結果が発表され、表彰式がある。そのために、部長も残ってくれたのだ。部長のお父さんも一緒に残ってくれていた。
少しの間、ロビーで過ごした後、私たち4人は再びホールに入った。審査の結果を待つ多くの観客、そして出演者で、ホールは埋まっていた。私たちは、一番前方に座った。
【全日本】の発表は【Nコン】とは異なり、発表の前に出場団体の代表者すべてがステージに上がる。そして、一団体ずつの表彰ごとに賞が発表されるのだ。これは緊張するというものだ。
今回の【全日本】は、「小学校の部」に関しては、金賞校の中の一番成績の良かった1校のみが全国大会へとコマを進めることができる。
「小学校の部」の発表だ。いきなり最初の2校が金賞だった。5番目。和徳の番だ。
「弘前市立和徳小学校。ゴールド!金賞!」
「やった!」 観客席に3人しかいない我々は小さな声を出して、小さなガッツポーズをした。
青森市内などのほとんどの学校の生徒は会場に残っていたので、代表者が表彰を受けると、「ありがとうございました!」と部員全員による大きな挨拶があった。
だが和徳は、部長がステージに上がっているので観客席には娘一人。壇上で部長が賞状を受け取り、観客席に向かってお礼のお辞儀をしたときだった。
「ありがとうございました!」
と、隣にいた娘が、一人で大きな声をあげたのだ。
結果は金賞だったが、順位は惜しくも2位だった。全国大会への切符を手にしたのは、やはり【Nコン】で金賞を受賞したもう一つの学校だった。嬉しいけど、悔しい「金賞」となった。
しかし、声楽家でもある一人の審査員の方が、和徳に1位をつけてくれていた。これまで発声に難があると言われていただけに、これは嬉しいことだった。
私が歌った「みちのく銀行男声合唱団」も、なんとか金賞を受賞することができ、9月末に開催される東北大会へとコマを進めることができた。
帰り道。部長のお父さんの車に乗せていただいた。私と娘は後部座席に座った。正面遠くに、沈みかける夕日が見えた。
初めて親娘共に出場したコンクール。そして、共に金賞を受賞することができ、まさに忘れ得ぬ一日となった。
が、私は、金賞を受賞したこと以上に、娘の、あの「ありがとうございました!」という一声に、一番の驚きを覚えた。娘なりの使命感があったのか義務感があったのか、どんな思いで声を発したのかはわからない。
その姿に娘の少しの、いや、大きな成長を見たような気がした。
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