雪の日の朝
のそのそど雪が降っている。
静かに音も立てずに、のそのそど雪が降っている。
明け方から降り続いた雪が、15cmほどに積もっている。
いつもより早く出勤して、雪かきをしなければならぬ。
しかし、8時半に私は学校に向かった。
今日は「こども音楽コンクール全国大会 重唱の部」の審査用の録音があるのだ。
音楽室に行くと、4人が練習をしていた。
ステージで歌っているような緊張感を持つために、娘は前髪を上げおでこを出している。
もう、これまで何十回、いや何百回と歌ってきたかもしれない。
顧問の先生も、何度も何度も同じことを指導したことだろう。
(ここは、こうやって歌えばいいのに)ということがわかっていても、今のチカラではこれが精一杯というところもあろう。
それでも、最後の最後まで、ギリギリの時間まで練習をするのだ。
TBC東北放送のバスが来た。
先生がお迎えに行っている間、少しだけ子どもたちと練習をした。
「ソプラノが高い音にポンと上がるところは、張り上げずに、なるべく軽く」
「4声に分かれたところは、アルトはしっかりと音を鳴らす」
「クレシェンドは勢いを持って、デクレシェンドはすぐ弱くせずにゆっくりと」
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自分が小学6年生の頃の冬休みは、何をやっていただろう。
中村川の土手に小さなジャンプ台を作り、ミニスキーで飛んでいた。札幌オリンピックで金メダルを獲った笠谷幸生の真似をして。
部屋の中をシンナーの匂いで充満させながら、プラモデルにレベルカラーを塗っていた。「TAMIYA」の1/24スケールの兵士を熱したドライバーで改造し、ブルースリーを作った。
冬休みの宿題で、いつも「雪の岩木山」を描いていた。
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TBCのスタッフの方々が音楽室に来た。
「がんばれよ〜!」
私は、4人に一言だけ発して、音楽室をあとにした。
のそのそど雪が降っている。
静かに音も立てずに、のそのそど雪が降っている。
明け方から降り続いた雪が、20cmほどに積もっていた。
早く店に行って、雪かきをしなければならぬ。
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